治療時間

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~灸の話 棒灸~

以前、直接灸の話を書きましたが、今回は棒灸の話です。

 

「お灸を据える」という言葉があります。艾(ヨモギの葉を乾燥生成したもの)を指で形を作り、皮膚の上に直接乗せて線香で燃やすのが直接灸です。
皮膚上で艾が燃えるわけですから当然熱いわけです。大量の艾を燃やす打膿灸という、大きな火傷を負わせる手法もあります。お灸の熱さに耐えなければいけないので、受け手は文字通り身を焦がしてぐっと辛抱します。
その様が、「お灸を据える」が「罰を与える」という意味に重なったのでしょう。灸師がお灸を施すときはそのものずばりの意味でお灸を据えると言いますが、世間一般には印象が悪いので「お灸をする」と言い換えたりします。

かつてのお灸は熱くなければ意味がないものでした。


私が専門学校時代、教員に

灸は熱くなければ意味が無い、少し火傷するくらい耐えなさい、それも勉強だ

と言われたものでした。

しかし、時代が変わり農業の重労働から庶民が解放されるにつれ、極端に熱いお灸は美容上の問題もあり敬遠されていきます。


現在はむしろ温灸の方が主流かもしれません。私も治療院では、逆子や円形脱毛症などの特別な場合を除いて、直接灸は選択せずに温灸にしています。

 

その中で棒灸というものがあります。


棒灸とは燃やす熱源が棒状になっており、手に持って患者さんの皮膚に近づけるものです。画像では分かりやすく皮膚のすぐ上で行っていますが、実際には手拭いを介して行います。灰が落ちる可能性があるからです。
見ての通り術者が手に持っていますから、熱さの加減が容易にできます。熱すぎると言われたら離せばいいでわけです。


また、温める部位を変えることも簡単で、術者が好きな場所に動かします。点として固定することも、線として流れを作ることができるのも特長です。点で行うのは経穴(ツボ)で灸をします。線で行うのは経絡(気の流れ、ライン)にアプローチすることができると言えます。一点を集中して温めるもよし、流れを作って広い範囲を何度も往復するもよし。

 

デメリットとしては同時に複数のポイントを使えないということです。やろうと思えば両手に持つことができますが、危険なのでまず1本で行います。同時に複数の経穴に灸をするというこはできません。


また棒灸の種類によっては煙が大量に出るものがあります。棒状にしていますから当然太くなり、燃える面積も大きいので煙がたくさん出ます。煙が多いと術者の目が痛くなったり、患者さんの衣服や体に匂いがついたり、気管支に良くなかったりするのです。
うちの治療院では炭化させた棒灸を使うのでほぼ煙が出ないスモークレスタイプの物を使用しています。煙が出ない代わりに手が炭で汚れるのでグローブを付けて行っています。そうしないと患者さんの服を汚す恐れがあるからです。

 

鍼同様お灸にもたくさんの種類と手法があります。傾向として、鍼を刺されるのはいいけれどお灸は怖いという方が多く、灸を使う頻度は高くありません。棒灸ならば、私がミスをしない限り熱すぎる、火傷を負う、といった心配はありません。もちろん鍼を併用することもできます。

 

これから暑くなる季節。冷房のせいで反対に冷えてくることもあります。棒灸の存在がありがたい時期になるかもしれません。

 

甲野 功