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~近所の自賠責保険詐欺~

自賠責保険。正式には自動車損害賠償責任保険。自動車損害賠償保障法によって、自動車を使用する際に全ての運転者への加入が義務づけられている損害保険です。この自賠責保険に関して近所の整骨院を舞台に詐欺事件が起きました。元院長が逮捕されたのです。

 

詐欺の疑いで逮捕されたのは、東京新宿区の「北原整骨院」元院長の北原靖朗容疑者(44)と交通事故治療で通院していた患者の男(45)の2名。警視庁によると、2人は去年、3日間で終わるはずの治療を55日間の通院と水増しし、治療費や慰謝料などの名目で計82万円の保険金を保険会社からだまし取った疑いが持たれているとのこと。

 

つい先日も自賠責保険の水増し請求の容疑で、逮捕された福井県の整骨院院長が有罪判決が出たばかり。この北原整骨院は新宿区早稲田にあり、うちからも1kmと離れておらず近所と言える距離。遠い場所の出来事ではなく、生活圏内で同じ柔道整復師が逮捕された事件でした。

ここ数年、柔道整復師や整骨院・接骨院を舞台にした保険不正請求のニュースが多数報道されています。不正請求の中でも自賠責保険は、協会けんぽや健康保険組合など保険者に対する不正とは少し話が違ってきます。

 

自動車事故を起こした場合、程度によりますが、多額の損害賠償を請求されます。100%過失だった場合、対人・対物の保証、慰謝料は高額になることでしょう。事故に遭わせたしまった被害者が怪我を負ったとなれば、加害者がその治療費を支払うのが筋というもの。その際に整形外科を受診した上で整骨院・接骨院に通院した場合、後者の治療費も賠償の範囲になります。


ここで整骨院側が事故被害者(患者)と結託し過剰に通院した、やってもいない治療を施したことにしたする書類(施術証明書)に改ざんし、自賠責保険から必要以上にお金を請求することが、不正請求詐欺となります。
このとき、被害者も長い通院履歴があると、裁判でこれだけ被害を被ったのだから慰謝料は高く請求できるだろう、と話に乗るわけです。
相手側は交通事故を起こした加害者ですから、誠心誠意償おうとする心理が働き、過剰にお金を支払いがちですし、被害者の通院を疑うようなことはしないでしょう。負い目があるため不正請求をしやすいと言えます。
今回の事件でも報道では元院長が患者に話を持ちかけたとされています。

 

私も柔道整復師ですが、我々の業界には疾病利得という言葉あります。外傷や疾患にかかることで得をすること、を指します。この場合、交通事故に遭うことで慰謝料や賠償金をもらうことが得。他には、精神疾患にかかり休職となった際に仕事をしないで給料をもらえるということが得。
医療従事者は疾病利得を狙って患者が虚偽の態度をとる場合があるので注意することと、医療従事者側にも利得があるのでそれに溺れないようにしなければいけません。
本件は患者側にも術者側にも金銭的なメリットがあり利害が一致したため、詐欺事件が発生したといえます。

 

このような自賠責保険詐欺は割と簡単にできてしまいます。患者と結託し双方が嘘をつくためチェックが難しいのです。報道にも余罪があるとして調査をしているとありましたが、頻繁に行うと保険会社が不審に思い気付くはずです。
ところが、僅かな水増しですと発覚はかなり困難になるでしょう。逮捕された元院長の整骨院は交通事故治療専門を謳い、事故患者を多く取扱おうと画策していたと言えます。件数が多いゆえに調査が及んだのかもしれません。

 

昨今、交通事故専門をうたい文句にする接骨院・整骨院が増えています。理由はもちろん儲かるから。自賠責保険ですと健康保険よりも請求額を大きくしやすいのです。更には整骨院コンサルタントがノウハウを教えている現状もあり、一部問題化しています。

 

ここまでは一般的な自賠責保険詐欺のことでした。

 

今回逮捕された容疑者は商圏が新宿区で私のいる地域のそばということですから、同じ地域の同業としてはとても遺憾ですし迷惑です。


件の整骨院のホームページを見ると、祖父の代から治療を携わっているとあり、長年地域で活動していたように思えます。整骨院も15年以上続けているようですし。何より父親がテレビの取材で、「再三そういうことはするなってことを言ってたんですけども。十分罪は償ってくるべきだと思いますけど。」などと話しており、父親が事情を知っていたようです。同じ治療の道に入り、道を踏み外した息子のために恥を忍んで取材に応じたのでしょうか。容疑者の父親の気持ちを考えるといたたまれないのです。

 

他にも常連患者のインタビューもあり、信じられないとの声がありました。これだけ長く続いているのですから地域のひとに支援されていたことでしょう。家族も患者さんも裏切ったことになります。


更には事故被害にあって来院した患者をも容疑者にしてしまいました。本当に共謀したのであれば自業自得ですが、元々は事故にあって治療を受けにきた立場だったはず(仮に、実は当たり屋であり、賠償金をせしめるために最初から計画していたとしたら話は別ですが)。事故被害者を詐欺事件容疑者にしてしまったという負のスパイラル。

 

ういった事件はまじめに業務を行っている柔道整復師にとって足を引っ張る行為に他なりません。通院していた患者さんや整骨院関係者にも迷惑をかけます。
このような不正が横行するためだからか、来年度から柔道整復師専門学校では倫理の項目が必修として加わります。このままいくと「柔道整復師は詐欺をする人間たち」とレッテルを貼られかねません。
私ももちろんですが、業界全体として襟を正さないといけないでしょう。


甲野 功

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