治療時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休診日:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~巨人鍼施術ミス報道の続報~

鍼灸業界を大いに賑わしている、プロ野球巨人軍澤村投手の鍼施術ミス報道において、別の報道がありました。

 

まず、施術ミス報道についておさらいを。


プロ野球巨人軍の澤村投手がコンディション不足で1軍登録抹消されましたが、原因が鍼施術によって生じた可能性がある長胸神経麻痺、だと複数の医師が判断したとのこと。その件で巨人側が澤村投手に謝罪したという内容です(本人の調整不足がが原因ではなく、名誉を守るため)。

 

この報道に対して、鍼灸業界の団体が連名で質問状を出しました。このことについては以前ブログでも触れさせていただきました。追加記事が出たことで、鍼灸師側の声も記事に載ったと言えるでしょう。
なのですが、ちょっと記事のニュアンスが事実と違うように思い、新しい記事について触れたいと思います。

 

まず、ネットに掲載された週刊朝日の記事がこちらです。

以下記事↓

“鍼のせい”はおかしい!? 巨人澤村拓一の故障原因に鍼灸学会が大反論


巨人の澤村拓一の周辺がにわかに騒がしくなっている。9月10日に球団が澤村の不調の原因を「球団トレーナーの鍼治療での施術ミスによる可能性が高い」と発表し、診断結果を「長胸神経麻痺」とした。これを問題視した鍼灸(しんきゅう)団体から猛反発を受けるという事態に発展している。
澤村の今季の1軍登板はゼロ。9月1日に今季初めて1軍に昇格したが、マウンドに上がることなく4日には出場選手登録を外れた。詳しい説明もなく、その原因が鍼治療だとされては黙っていられないだろう。
思いもよらぬ形で注目を浴びてしまった鍼灸業界は信頼が揺らぎかねないこの発表を受け、球団に対し、21日付で質問状を送付した。鍼治療と長胸神経麻痺の因果関係を問う内容だ。
原因は鍼治療なのか。「長胸神経麻痺」は別名「リュックサック麻痺」とも呼ばれ、長時間の圧迫などによって神経が損傷すると筋肉が麻痺し、腕を上げられなくなるのが特徴。質問状を送付した全日本鍼灸学会に改めて聞くと、「鍼施術によって長胸神経麻痺が引き起こされる可能性は極めて低いと考えます」と回答。海外の症例報告を見ても因果関係を示すものはないという。そして続けた。
「野球選手であれば、投球動作に加え、筋力トレーニングは一般的に行われているのが常であり、これらが原因となった可能性は否定しきれないと考えます」
現場からも戸惑いの声があがる。都内で鍼の治療院を営む鍼灸師の男性は、
「同業者同士でおかしいよねと首をひねっています。日本の鍼は非常に細いので、末梢(まっしょう)神経を突くこと自体が難しい。そもそも長胸神経は感覚神経ではなく、運動神経なので、わざわざ刺激してあげる必要がないんです。巨人のトレーナーは優秀だと評判で、ミスをするとは思えません。今回の発表は不可解としか言えない」
と語り、医師の診断にも疑問を投げかけた。
「治療に使う鍼のことをろくに知らずに診断する医者もいます。鍼の現物を知っていれば、今回の診断がおかしいとわかるはず。時系列的に鍼治療をしたことがあるというだけで鍼のせいにされてはかないません」
巨人はどう説明するのか。その見解を待ちたい。(本誌・松岡かすみ、太田サトル、秦正理、永井貴子/黒田朔)>
以上記事↑

 

私が気にしているのは、見出し(記事のタイトル)と本文の内容です。
見出しを見ただけですと、鍼灸学会が書面で反論しているかのように読めてしまいます。私も含めて多くの鍼灸師が日本の鍼施術で長胸神経麻痺が起きるとは思えないと考えています。各自のブログで実名を明記した上で反論されている方もいらっしゃいます。記事本文には全日本鍼灸学会、及び取材を受けた臨床鍼灸師も同様の意見でしょう。


ただし、鍼灸団体ランドが出した質問状には反論や抗議する内容はありません。あくまで科学的な視点でどのような機序で麻痺が起こったのかを検証するために、そのときの状況を説明してもらうための質問状です。あたかも反論のために質問状を出したように読み取れてしまうのではないでしょうか。それが気になるのです。

鍼灸団体が出した質問状の文面を抜粋します。

 

記事では、はり治療によって長胸神経麻痺が発生したとのことですが、業界全体が大変な驚きをもって報道を受け止めているところであります。また、鍼灸師のみならず、一般の患者ならびにマスメディアからも多数の問合せが届いており、その多くは一般的なはり治療でそのような医療事故は起こりえるのか、また、今後の事故を防止するためにも施術内容ならびに診断に至った経緯を明らかにして欲しいというものであります。
本報道は、現在、はり治療を受けておられる患者とそのご家族、これから治療を受けようと考えている方、治療にあたっている鍼灸師ならびに関係者に大きな不安を与えております。我々鍼灸関連団体としましては、事件の詳細を明らかにすることによって、上記問い合わせに対して可能な限り正確な説明を行い、鍼灸師により適切な安全対策を講じさせ、今回の報道で生じたはり治療に対する国民の不安を軽減したいと考えております。
つきましては、施術から診断に至るまでの詳細な経緯について別添の質問状(2枚)にご回答いただきますようお願い申し上げます。

 

文面には、驚きをもって報道を受け止めている、のであり、反論している内容ではありません。そして質問状に名を連ねている団体及び代表者を挙げると以下の通りです。

 

公益社団法人 全日本鍼灸学会 会長 久光 正
日本伝統鍼灸学会 会長 形井 秀一
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会 会長 伊藤 久夫
公益社団法人 全国病院理学療法協会 会長 平野 五十男
公益社団法人 東洋療法学校協会 会長 坂本 歩
公益社団法人 日本鍼灸師会 会長 仲野 弥和
公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会 会長 安田 和正
社会福祉法人 日本盲人会連合 会長 竹下 義樹
日本理療科教員連盟 会長 栗原 勝美

 

見ての通り、全日本鍼灸学会だけではありません。日本あん摩マッサージ指圧師会、日本盲人会連合といった団体も名を連ねています。
これらの団体は
鍼灸を学問として研究する「学会」
臨床現場をまとめる「師会」
学校教育を担う「学校協会」
の3部門からなり、今回の長胸神経麻痺に対して冷静に向き合い、研究する姿勢が見られます。報道内容の情報では不十分なので情報を得て
可能な限り正確な説明を行い、鍼灸師により適切な安全対策を講じさせ、今回の報道で生じたはり治療に対する国民の不安を軽減したい
としています。

 

鍼灸業界から反論があることと、質問状を出したことが、一緒くたになっているようにみえる記事。
しっかりと読んで質問状の内容を知っていれば別のことだと分かるのですが、この記事を読んで、もっと言えば見出しだけみて、鍼灸業界(特に名前が出ている全日本鍼灸学会)は真向反論しているのだ!いいぞいいぞ!その調子だ!と鍼灸師側が盛り上がってしまうのではないでしょうか。今回の件は、とにかく情報が少なすぎて「憶測」と「願望」が溢れているように感じます。

 

どのような鍼施術をしたのか?どのように鍼施術が原因と判断したのか?具体的なことが公になることが重要だと考えています。私としては、早く巨人軍の回答が出ることを願います。

 

甲野 功

こちらをご覧ください。

業界について書いたブログはこちら→詳しくはこちらへ