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~競技会における選手のスケジュール管理~

先日熱狂の中幕を閉じた冬全(全日本学生競技ダンス選手権大会)。そこで引退を迎える母校の後輩4年生選手を応援しにいったときのこと。朝早くから会場に入り、ある選手に調子を聞いたところ、「ヒート練習で暴れまわって1次予選は少し落ち着いていきます」と返事がかえってきました。この言葉だけでも随分成長したと思いました。

 

冬の時期はなかなか体が温まらないし、最初の予選では力を出しらいもの。そのため一度ヒート練習で飛ばして動いておく。元々シルエットが崩れやすい選手なので本番の予選では形が崩れないように丁寧に、しかし攻めの踊りをするという考えです。
きちんと大会のタイムスケジュールを考慮して戦略を立てています。それも自分自身の弱点を分かった上で勝負所を合わせる工夫をしていて。

 

以前スポーツトレーナーの仕事は時間管理がとても大事と書きました。競技ダンサーに帯同して競技会に行くときは本当に大会スケジュールを確認し、選手に合わせた時間配分が重要になります。

怪我の治療や予防という一般的なトレーナー活動が、競技ダンスにおいては、さほど重要ではありません。怪我が少ない競技ですし、本番中に怪我をする可能性は低いからです。そうなると一番の目的は、選手に当日競技会会場でベストパフォーマンスを出させて本人が希望する成績を出すサポートをすること、になります。その目的遂行に向けてどのようなことをするのか?そこが腕の見せ所になります。

 

まず会場で私が実行可能な施術方法を把握します
マッサージ、ストレッチ、テーピング、鍼といったところが現場で可能な手段です。テーピングと鍼までが会場でできる限界で、火を使うお灸やオイルを使うオイルマッサージはほぼできません。


なお、体内にすぐに吸収されるクリームを使ったマッサージは可能ですが、器材を用意して後片付けなどを考えるとそこまでメリットを感じません。ドレスや衣装を汚してしまうリスクもあります。これが競泳の場合ですと選手の皮膚は最初から露出しており、簡単にシャワーを浴びることができる環境にあるためオイルマッサージはとても有効です。
競技特性によって選択肢が変わるのです。


鍼を使う場合もある程度周りに人がいない状況でなければ危険です。ぶつかられて意図しない方向や深さに鍼が刺さることや、鍼そのものを無くしてしまう恐れがあります。鍼は医療廃棄物ですから会場に残してはいけません。刺さない鍉鍼ならばこういった問題は解決されます。

 

やはりメインとなるのはマッサージやストレッチといった徒手療法。それらもフロアーサイドで簡易的に行うのか、控えスペースでしっかり行うかで違います。ラウンド(予選)が進んでインターバルが短くなってくるとずっとフロアーサイドで行わないといけなくなりますし、最初の予選ではインターバルが長いので控えスペースに戻って落ち着いて手技が行えます。

 

次に効果を考えて手技を選択します
しっかりとしたストレッチやマッサージは身体をリラックスさせて筋肉を緩めます。そうなると疲労回復や可動域向上には良いのですが、行った直後は力が出ないのでダンスパフォーマンスは落ちます。副交感神経が優位な状態です。
対して、短時間の求心性のマッサージやPNFは交感神経優位になりますのですぐに力が出せる状態に持っていくことができます。
その手技が選手にどのような効果があるのかを考えないと悪影響を及ぼすことになります。

 

大会のタイムテーブルを確認しておく。これによって選手の競技スケジュールを一緒に組み立てます。
アップのときには体が起きるように仕向けますし、開始までに時間が十分にある場合はしっかりとしたストレッチを行い、関節可動域を拡げておきます。その状態で慣れておく時間がある場合ですが。一度踊って次の予選まで時間があるときは一度身体を寝かせて休ませるか、起こしたままにしておくか考えます。
ペース配分を間違えるとダンス中に足が攣ることがあります。休ませておいた方が良い場合とそのまま高いテンションを保たせておいた方が得策の場合と状況判断します。

 

一番重要なことは選手の勝負どころを見極めておくことです。
例えば優勝しか頭になく、間違いなく決勝まで残れる選手ですと、決勝戦でベストを出せるようにスケージュールを組みます。予選で体力を使い過ぎないように気をつけ、疲労回復を中心に考えます。
反対に1次予選で落ちるかもしれない選手には、最初から持っている最大限の力が出せるように早いうちから身体を温めて動けるようにしていきます。
選手によって大会規模によって、ここが勝負というポイントが違うので、選手の意見を聞いてタイムスケージュールを組み、手技方法を変えていきます。

 

実際に経験した例を挙げてみましょう。

 

もうずいぶん前のことですが、財団(JBDF)東部アマチュアスタンダードB級戦に帯同したときのこと


担当した選手は優勝をするのは厳しいが決勝には残りたいという希望でした。そうなると勝負どころは準決勝戦になります。そして最後の方は足が動かなくなってしまうというのが選手からの話でした。
アマチュアB級ですと最終予選から5種目になり、それより前は4種目。その日は予選も最終予選を抜いて3次まであったと思いましたから、とにかく体力勝負になります。しかも1次、2次予選くらいはインターバルが長いのですが、予選を勝ち上がればどんどんインターバルが短くなります。
よって私のやることは準決勝まで体力をなるべく温存させ準決勝でよいダンスをしてもらうこと、そのためにスケジュールを組んで状況に応じた施術をすること、でした。
選手と相談し、1次予選何分前からアップをするのでそれまでストレッチをしておこう、最終予選は5種目どんどん踊ることになるのでフロアーサイドにて立った状態で足だけをひたすらマッサージしましょう、といった感じでした。


結果は事前の想定通り準決勝まで残りましたが決勝入りはなりませんでした。

 

 

次は学連の大会(レギュラー戦)の場合


数年前のこと、足を痛めたパートナーのケースです。強豪選手でしたから順当に準決勝進出を決めました。準決勝以降、下位決勝でも1種目につき最低2回は踊ることになります(ファイナルソロを入れれば3回)。最後まで満足に踊り切ることが目的でした。昼休みとフォーメーション競技があるため、準決勝まで時間がたっぷりあります。ドレスを一度脱いでいました。


予選を踊って少し足に痛みが出ていたので長めにしっかりマッサージとストレッチをして筋肉を緩めました。そうやって休ませてもまたアップして体を戻す時間がありました。
準決勝を終えて決勝入りを決めました。

それから決勝までは下位決勝戦が先に行われるためまた時間ができます。このときは疲労をなるべく取りつつも身体が寝てしまわないように刺激量に気をつけて行いました。ソロ競技が入るため時間があるので3種目前くらいまでに施術を切り上げました。

 

 

会場に入るときはこのようなことを考えて行動しています。


横から客観的にみてあげることで選手が安心できることもあります。格闘技ではセコンドというリング外でサポートするスタッフがいますが、競技ダンスの世界でもセコンドに相当する専属スタッフが必要になってくるでしょう。そのときに大会当日のタイムスケジュールと選手の勝負どころに関する部分が重要になると考えています。

 

甲野 功

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