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電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

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~スキー場という臨床現場~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 スキー場
スキー場

 

スキー場は柔道整復師にとって修行の場である

 

私は柔道整復師でもあります。


普段は鍼や按摩マッサージ指圧がメインで仕事をしていますが、柔道整復師という国家資格も持っています。ですから整骨院を開業することもできます、敢えてしないのですが。そのことは別に、柔道整復師の知識と技術は目立たないながらも役に立っています。

 

柔道整復師とはどのようなものなのか。

簡単に言うとケガ(急性外傷)を扱うスペシャリストです。脱臼、骨折、捻挫、打撲、挫傷に関しては患者さんの代わりに保険請求することが認めらており、緊急時には脱臼・骨折の整復(骨の位置を手で戻す行為)を医師の指示なしに行うことが許させています。これが、あん摩マッサージ指圧師が勝手に整復を行うと罰せられます。
他にも包帯固定やギプス固定・テーピングなどの技術と、外傷はもちろん疾病疾患の知識を習得していることが特徴になります。現代医療の知識は鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師よりも広く深く勉強します。

 

整骨院を開業しなくとも外傷の知識、疾患の鑑別、人体の構造や運動学などを勉強することができたので資格の持ち腐れということにはなりません。間違いなく柔道整復師があることで患者さんに提供できることの幅が広がったと思います。

 

しかし、柔道整復師の本分を発揮する場所が現代の日本では少ないのです

私が住む新宿区ならばケガして骨折が疑われる人を目の前にしたら、無理に徒手整復するより動かないように固定して病院に送った方が患者さんのためになるでしょう。どちらにせよレントゲンは撮りますし、麻酔や鎮痛剤を打った方が患者さんの負担が減るでしょう。大昔のように町中に病院が少ないだとか、無医村ではありませんので。
現実的に専門学校で学ぶことと実務ですることが乖離している部分があるのが今の柔道整復師です。全てとは言いませんが、なかなか整復をする機会はありません。

 

それでも柔道整復師の本分が活かせる(このように表現すると失礼ですが)場所がスキー場なのです

まず場所によりますがゲレンデに常勤の医師がいるとは限りません。レントゲン設備を完備した施設があるとも限りません。それでいて大ケガをする確率が高い場所。それがスキー場です。

 

柔道整復師専門学校講師には冬休みにスキー場に修行する方がいます。都会ではなかなか扱うことができない新鮮外傷を体験できるチャンスだからです。
私は柔道整復師学生時代に講師陣がスキー場で修行するビデオ映像を見ました。手首の骨折、肩の脱臼、鎖骨骨折、下腿両骨骨折など交通事故レベルのケガが映像に映っていました。しかもどれもケガをしたばかりのもの。病院に連れていくにしても救急車をゲレンデ上まで呼ぶことはできませんから応急処置としてその場で徒手整復や固定をしていきます。整復する際に起きる患者の悲鳴。尋常でないくらい内出血で膨れた足。おかしな方向に曲がった手首。

 

本当に衝撃的でした。この映像を見てスキーをするのはやめようと決めました。

 

もともと小学生の頃に行ったスキー教室で嫌な思い出があり、スキー自体が好きではありませんでした。その上この映像と指先が重要な鍼灸マッサージ師という立場。自身が気を付けていても周囲から突っ込んでくるもらい事故があるかもしれません。

私の仕事は身体が資本とよく言いますが、一人で開業しているので「体が資本のほぼ全て」です。動く指先、何人も続けて治療できる体力、知識を有した頭脳、すべて体に備わったものが大切なものです。道具は買えばいいですし、治療院が無くても出張で行えば食つなぐことはできます。ですが体がダメになったら本当におしまいです。
病気以上にケガは防ぐことができるもの。凍傷の危険もありますから極力スキーに近づかないようにしてきました。

 

今回、娘のスキー教室を連れていくにあたり、不測の事態を想定し治療道具一式を持参していました。もともとバス酔いをする娘のために小児鍼用の鍉鍼(刺さないで擦る鍼)は持っていく予定でした。それに加えて保護者がギックリ腰になったり足首を捻挫したりするのでないかとテーピングや通常の鍼も持っていきました。

 

そして本当に起きました。不測の事態が。

 

最終日の朝、全員でスキー場に向かうために駐車場に出たときのこと。凍っている地面を踏んだ一人のお父さんが転倒。脇を地面に痛打しました。荷物を持っていたので受け身が取れなかったことと真下に落ちたため衝撃が逃がせなかったことが災いしました。

 

その場にすぐにいた医療従事者は私だけだったので身体を診ることに。最悪肋骨骨折しているかなという見立てでした。柔道整復師には「肋骨は折れるためにある」という言葉あり、折れることで衝撃を逃がして内臓を守る機能が肋骨にはあります。肋軟骨損傷でも肋骨骨折でも安静にしてくっつくのを待つのが基本です。

深呼吸でも痛みが変わらないのでそれほど心配することはないなと思いました。脇を傷めたお父さんは不安そうでしたので敢えて大丈夫ですよと振る舞い、あとでキネシオテープでテーピングをしました。ホワイトテープを持参しなかったことは甘かったです。事前に予想していたのとは別でしたが柔道整復師の知識と技術が役に立ちました。

(※東京に戻ってレントゲン検査をしたところヒビ(不全骨折)ではなく完全に折れていたということでした)

 

やはりスキー場は貴重な現場であると再認識しました。

 

甲野 功

 

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