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~続ねぎし会~

火曜日にした第一回ねぎし会を、まさか4日後の金曜日にまたするとは。
今回の参加者は某鍼灸専門学校の2年生。今回はマンツーマン。先のシンツバ美容鍼セミナーで知り合い意気投合した人です。
まだ学生ということで実名、素性は明かさないでおきます。

 

 

鍼灸師になって早11年。教員養成科を卒業したのは4年前。学生時代がどんどん過去のものになってくる。


専門学校教員になった同期たちの話を耳にすると学生側と違った事情がよくわかる。当たり前といえば至極当たり前だが学生と教員では立場が違う。違うからこそ聞いていて違和感をおぼえる。
今の鍼灸学生が将来教員になるとは限らないが、鍼灸専門学校教員は(原則)全員が過去に鍼灸学生だった。かつての自分に先生からそんな風に思われていたとしたらどう感じるの?という思い。

 

5年生存率、3年生存率。医療の予後のことではない。教員の隠語のようなものだろう。鍼灸師になって鍼灸を5年間続けているか、3年間続けているか、という割合。学校によっては3年もたずに廃業する、5年間で大部分が業界を去っている、そのようなことがあるから出てくる言葉。
どういうことだろう。3年間もかけて高額な授業料を支払い、教材・道具・交通費など色々お金をかけて資格を取ったとしても、決して少なくない割合の“鍼灸”師が鍼灸をしなくなるという。
そして、それは仕方ない、学校はそこまで面倒見ない、という雰囲気を感じるのは。

 

教員になった同期たちの話に注意深く耳を傾けると、事情がみえてくる。
まず学校経営を考えたら生徒を集めないといけない。学生数がいなければ教員は要らないわけだから自分たちの生活を守るためにも必死に生徒を集める。
そうなると将来を熟考し覚悟を持って入学する生徒だけではない。親が言うから、国家資格あると食えそうだから、大学行くより就職良さそうだから、といった消去法で鍼灸専門学校を選ぶ人もいる。勉強するモチベーションが低いから授業についていくのは難しく、最低限国家試験合格させるのがやっと。

 

私の場合、大卒で一般企業の就職経験があり、民間資格の技術でリラクゼーション店の勤務経験がある上で入学した。20代後半でそれなりの年齢だから覚悟を決めての入学だった。学校選びも真剣に行った。教員になった同期たちも、教員養成科まで進むくらいの人間だからそれなりに意識が高い。勉強を率先してしようとしない学生には正直辟易とすることだろう。

 

また国家試験合格率は専門学校の評価と直結するので絶対に意識しないといけない。どれだけ充実した授業内容、カリキュラムであっても国家試験に受からなけばスタート地点にも立てない。専門学校の本分は厚生労働省が実施する国家試験を「受験するに足りる学力・技術を生徒に授けること」が前提である以上、ある意味しかたのないことではある。

 

教員になった同期から臨床で効果を出せるようにするのは、臨床の先生方(つまり私のような立場のひと)にお願いします、という意見を聞いてちょっと思うところがあった。
おそらく専門学校に入る学生は学校の授業を受けて勉強していればそれなりの鍼灸師になれると信じていると思う。それが国家資格合格までは面倒をみるけれど実力をつけるところまではできませんよ、と教員側に言われたらどうだろう。これだけの学費を払って、それは無いだろうと感じるだろう。

 

ただし、鍼灸師になって10年経つと、教員となった同期の意見もよくわかる。専門学校には厚生労働省からの決められた要綱を守らなければいけないから実践的な授業をする暇がない(授業数を増やせば別だが学生にとっては働く時間が削られる)。本当に活用できる技術や知識は学校とは別にあり、現場でないと学べない。もちろん専門学校で最低限習得しているという前提のもとだが


何が言いたいかというと、理想と現実があり、教員側の事情も理解できるといこと。重ねていうが立場が違うのだから仕方がない。

 

では現在進行形の鍼灸専門学生はどのように考えて学生生活を過ごしているのだろうか。そこに興味がある。

今週初めシンツバさんの美容鍼セミナーでは、本当に言いたかったことは「鍼灸学生当時、このようなことを知りたかったことを学生に教えてあげたい」ということだった。
これは新屋先生の、何を見据えて今学生をしていますか?という問いかけでもあるのではないだろうか。


懇親会で関東鍼灸専門学鍼灸科の学生さんとお話をさせていただいた。1、2年生だから仕方ないだろうと思うが、漠然とした感じ、だった。これをしたいから鍼灸師になります!というものがあまり感じられなかった。
別にそれは構わないのだが、将来というか自分の行き末についても漠然としていることに、勝手に私は危機感を感じてしまった(老婆心ながら)。

 

鍼灸師が卒後3年で廃業するというのならば、その原因は何か。考えたときに一つの仮説が、
学生時代に国家試験合格を目標にし過ぎるあまり将来を見据えることを疎かにしている
というもの。
それは教員側の試験対策に注力せざるを得ない状況と、学校数が増えすぎて意識が低いまま入学してしまう学生が考えられる。


学生に卒業後のことをリアルに考えさせて、もっとワクワクするような思いにさせるのは、臨床で一線に立つ我々臨床鍼灸師の役割なのだろう。それがあるから新屋先生は敢えて美容鍼のことよりも「これからの鍼灸を考えよう」「特化型鍼灸院の作り方」などのテーマに重きを置いたはず。

 

もう一つ鍼灸師になっても続かない理由は、
鍼灸しか知らないから
という仮説を私は持っている。


5年生存率の話を聞いて感じたのは、「え、俺の同期はみんな鍼灸続けているけど」だった。出産のため主婦業に専念しているひとを入れても私の鍼灸同期約60名、ほとんどが未だに鍼灸を行っている。情報が入ってこない人を入れてとしても廃業したと聞いたのは一人しかいない。
それは何故かと考えると、私が出たのは鍼灸マッサージ科(本科)であること。鍼灸の他に按摩・指圧・マッサージを学んでいるし資格を持つ。鍼灸以外に徒手療法を持っているのだ。それが大きいと考える。鍼灸できなくてもマッサージできるから、という余裕があるのだ。

 

鍼灸科(専科)卒で活躍している鍼灸師を見ても、鍼灸以外に別の方法や資格を持っている(例えば柔道整復師だったり他の技術だったり)人は鍼灸を続けている。また治療技術に限らず、何か没頭している趣味を持つ人は続いていることが多い。少なくとも私の周りには。
鍼灸だけで、鍼灸ファースト、鍼灸こそ全て、というメンタルの人間は結構脆いように思うのだ。

 

 

これらを含めて、仮にも10年以上(学生時代を含めれば約14年に渡り)恩恵を受けてきた鍼灸業界。開業鍼灸師として下の世代に少しくらい役立つことをしたいと考えていた。


美容鍼セミナーで分かったことは、私は他校の学生を知らないということ。本科、柔整科、教員養成科と全て東京医療専門学校。教員養成科に来た学校の事は何となく同期から聞いて知っているが、それ以外の学校の実情が分からない。母校の後輩ならば毎年行く学校主催の同窓会に行けば何となく雰囲気がわかるのだが。
また専科の鍼灸のみを勉強している学生の事も知らない。もともと鍼灸に興味が無くこの道に入ったため、鍼灸だけを学ぼうと入学した学生の気持ちが図り切れない部分がある

 

今回のねぎし会では他校の鍼灸科(専科)の学生さんと話をして実情を知りたかった。今の鍼灸(のみ)学生が何を考え何が不安なのかなど。
それには3年位前から考えていて実行に移していない考えを試してみたくなってきたから。第1回の「ねぎし会」に集まった先生方は、私も含めて、全員もっと鍼灸師がよい環境になってほしいと考えている。時間とお金をかけて資格を取ったのに廃業するなどもってのほか。
行動に移す好機なのかもしれない。

 

甲野 功

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