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~競技ダンスにおける前後バランス~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 正しい姿勢の指標
まっすぐ立つときの指標

 

 

競技ダンス選手が来院されると問診がてら最初にすることが、立位でのチェックです

ここで身体の左右バランスがどうなっているか目視で確認します。


次に目を閉じてもらってしばらく立ってもらいます。そうすると頭が揺れてくるので、どの方向に揺れるか患者さんに聞きます。これは施術前の状態を患者さん自身に知ってもらうことと術者である私が確認するために行っています。

このときに左右の揺れを重視しているのですが、最近前後の揺れ、特に後ろに倒れそうになるのを戻すタイプの選手がいることが増えてきてちょっと気になっています

 

なぜ気になっているのか?

 「競技ダンス選手における前後のバランス」について書いてみます。

 

人間は立った状態で何もしなくても重心が自然と揺れてきます。
まず重心とは重さの中心ですからです。人体の重心は骨盤内の仙骨のやや前方にあるとされています。高さは成人男子で身長の約56%の、女性は約55%の高さにあると言われています。厳密な場所は解析しないと分かりませんが、だいたい臍(へそ)の下、ダンサーが使う用語で丹田の高さで体の奥にあると考えていいでしょう(鍼灸師の使う丹田とは少し違います)。


地面に足の裏が触れている部分、すなわち支持基底面の中に、重心があると人間が立っていられます。立っているだけで重心は揺れるので、立ったままでいるためには自然と重心を支持基底面の中心に戻そうとします。両足よりも片足で立つ方が難しい、ノーマルで立つよりもフットライズした状態の方が状態を維持しずらいのはこのことが原因です。支持基底面が狭くなることで重心の位置を保つことが大変になるからです。


ピシッと姿勢よく立っているためには体の反射・反応が必要なのです。20歳代で重心の動揺は最小になると言われていますが、この反射や反応機能が高いからです。高齢者になると反射機能が落ちてきて転びやすくなり、代償するために足を開いて歩くようになったり杖を必要となったりするのです。これは杖を使うことで支持基底面の面積を大きくすることになり、重心が大きく揺れても立位を保てるためです。

 

目をつぶると視覚からの立ち直り反射が無くなります
普段は周りの風景から倒れないように反射を起こしているのですが、それが無くなるので重心動揺が大きくなり頭の揺れが大きくなるわけです。このような状況に置くことで、より身体のバランスを見ることができるので、冒頭に書いた競技ダンス選手のチェックに行うのです。

 

人間は立ち直り反射が無ければ前に倒れるようにできています理由は重心が通る鉛直の線、すなわち重心線が通る場所が特定の関節の前を通るからです(細かい理屈は今回省きます)。
例えば立っている人が一瞬で意識を失うと前に倒れます。ボクシングを始めとした格闘技では後ろに倒れるダウンよりも前に倒れるそれの方が遥かに危険とされています。攻撃によって後ろに倒れたことよりも、意識が飛んで倒れた方が脳のダメージが深刻だからです。

実際に私も見たことがあるのですが、以前法事後の酒の席で酔っ払った父が椅子から立った瞬間に意識が無くなりまっすぐ前に倒れました。これは立ったときに一瞬で起立性の脳貧血を起こして失神したものと思われますが、意識を失った身体は何の抵抗もなく前に倒れこみました。

 

このような理由なので、目をつぶって立った時に前後に揺れるのはあまり気にしていませんでした


しかし自然と後ろに倒れそうなるのを反射で前に戻している選手を見たときに、違和感を覚えたわけです。前に倒れそうになるのを戻すのは合点がいくのですが、後ろに倒れそうなるのはおかしいだろうと。
この場合、普段の姿勢が悪いことを意味しているのではないかと。

 

後ろに倒れそうなバランスの選手は数少ないのですが、たまにいます。このような選手はダンスも当然バックバランス気味になると予想できるので、踊る際に余計な力が必要になるはずです。それをニュートラルなバランスに戻すことが、私が施術する役割の一つになるでしょう

 

どのように立てば前後バランスが良いかは指標があります。そこを説明しましょう。
横からみて、次に挙げる5つの指標が床から垂直にまっすぐ並んでいると、だいたい前後方向のバランスがよいです。厳密には筋力や反射能力などが関係するので若干変わりますが、基準はこのようになります。

 

1.側頭骨乳様突起:耳の後ろにある骨の出っ張り。
2.肩峰:気を付けをしたときに、肩で一番外側にくる骨の出っ張り。
3.大転子:太ももの外側で足の付け根にある骨の出っ張り。足を動かすと一緒に動く。骨盤ではないので注意。
4.膝蓋骨後面(膝関節前部):膝のお皿の後ろで膝関節より前。
5.外果の前方5~6cm:外くるぶしの少し前。

 

以上の5点がまっすぐ上から下まで並んだ状態が良い前後バランスであります。

余談ですが、以前東京理科大学のOBOG練習会で、学生チャンピオンに輝いたOGが講師に訪れて、紹介した場所にシールを体に貼ってチェックしたことがありました。つまりそれでけ大事ということ。

 

5点がまっすぐ並ばないのは日常生活の癖、筋力の問題、何か痛みがあってそれを逃がそうとしている、ダンスの癖、関節の固さ、など様々な理由が考えられます。ですが、身体全体をニュートラルな状態にすると自然とまっすぐ並ぶものです。それが立っているのに一番力を使わないため、身体にとって合理的であるからです。

 

後ろに倒れそうなバランスになるのは5点を結んだラインが歪んでいるか全体的に後ろにあると推測しています。また偏平足であると後ろに倒れやすくなります。

 

ダンスを踊る前にまず自然と力を使わずに立っていられる状態を作ることが大切です

以前書きましたが(ブログ~競技ダンスにおいて意識の負担を減らす~)、バランスを取るのに余計な意識を使ってしまっては勿体ないのです。
練習する前に鏡で自分の姿を横から見てチェックしてみましょう。

 

甲野 功

 

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