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~考えを改めてさせてくれた営業さん~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 大阪訪問
ファロス社(当時) 次村さんと

 

先日の大阪訪問ではファロス社(当時)の次村勇人さんに大変お世話になりました。
次村さんは鍼灸用品・テーピング専門店である株式会社ファロスの営業担当です(当時)。

次村さんは以前から名前を知っていましたし、先月の第4回若手鍼灸師の会ではお会いしました。

 

ファロスは大阪に本社があり、関西を拠点にしています。正直、最近までこのメーカーを知りませんでした。SNS上で名前が出てくるので知ったしだいです。

 

今回、私が大阪のさまんさ鍼灸院を訪れることを次村さんが聞いて、時間を作ってくださり、ご一緒することになりました。10月に少し話しただけでほとんど面識がなかったのですが、半日行動を共にして、長年持っていた私の見方が変わりました

 

次村さんは鍼灸のことは素人です。メーカー勤務ですから自社製品の知識はありますが、実際に鍼を刺すことは無いですし、鍼灸の流派などの知識も一般人程度です。そこで色々な鍼灸師と接点を持ち理解を深めているようです。このさまんさ鍼灸院訪問でも鍼灸治療を見学しながら勉強していました。

 

治療後は車を出してもらい、私がリクエストした大阪の神社に連れて行ってもらいました。神社参拝のあとも夕食を共にし、最後は新大阪駅まで送ってくれました。

大阪訪問 車中にて
車中にて さまんさんと次村さんと

 
土地勘のない私には、さまんさ鍼灸院がある河内長野から堺や新大阪までの位置関係も距離感覚も分からず、ただ車に乗って連れて行ってもらうだけ。特に神社は分かりづらいところにあり、車でないと厳しい場所でした。事前に調べてルートを確認してくれました。

 

これまで大阪を訪れたことは何度かありますが、観光した記憶がなく、楽しい思い出はありません。仕事でピリピリしながら滞在したか、朝いちで訪れてダンスの競技会を観てすぐ帰ることしかなかったので。初めて大阪という土地を楽しむことができました。

 

大阪での食事
大阪での夕食

 
接待といえば接待なのですが、アテンドしてもらったこと、色々話したことで次村さんの人柄が分かりました。そしてこれまで抱いていた「営業」という仕事、職種のイメージが大きく変わりました

 

私はこれまで営業という仕事を蔑んでいました。はっきり言って営業マンは大嫌い。極力触れたくない人種でした。

 

私は東京理科大学を卒業したのですが、大学で半導体の研究をしていた関係で半導体商社に就職しました。そこには技術開発部門があり技術部門希望で就活をしていました。新人研修が終わり配属されたのは技術営業部門。技術が分かった上で営業をする。商社ですから、全社員営業マンであれ、という社風です。技術といえど営業重視の部署。希望ではなかったので少なからずショックでした。

 

会社員時代はあまりいい思い出がありません。

 

営業マンという職種は尊敬できないものでした

お客の前では勢いで「できます!」といって後始末は技術や後輩に丸投げ。「技術的なことは分からないからさ」と押し付けてきます。自動車部品の製品を扱ったときは、安全性能を確保することは必須ですが、大丈夫大丈夫と根拠ない調子のよい返答をして、メーカーを含めて後処理が大変でした。


支店に行けばパワハラが横行しており、今ならば間違いなくアウトな仕打ちを後輩にしている先輩営業。セクハラもあり、女性派遣社員が歓迎会の次の日会社を去ったこともありました。


日報、週報、月報、半期報、議事録と毎日バカみたいにテキストを作りました。いちいちチェックが入るのですが、他の科からは長すぎると言われ、書かなければなんで出ていないのだと文句を言われる。今の様に文章をたくさん書く訓練をここで行いました。


自社の営業からのお願い事で手一杯になり、お客のところに行くことなどできません。それでいて部長は会社にいたって仕方ないからもっと外に出ろと言います。新人社員に先輩からの仕事を断ることができませんでしたから矛盾が生じます。


常に10個以上のタスクを抱えてパンク状態になり課長に相談したら「俺は支店で面倒な事を下に押し付けて成果を上げて昇進して帰ってきた」といった趣旨の返答をされて唖然としました。その押し付けられている状態が今であり、下が入ったらお前も押し付けて成果を横取りしろ、という意味にしか聞こえません。

学生時代に自ら実験、実証を重ねてきた理科系には信じられない対応でした。

 

この年になれば若さゆえの無知、馬鹿正直ということは理解できますが、当時24歳の私には受け入れがたいことでした

 

そして所属していたチームのナンバー2が離職・異動が続き、入社2年目にしてチームのナンバー2になりました。その立場になると更に仕事量は増えて追い詰められていきます。チームトップの上長から圧力と後輩指導で仕事がまわりません。

今思えばトップの上長はもっと追い詰められていたのでしょう。突然1週間のリフレッシュ休暇をとると言い出しました。その分仕事はこちらにまわってくるので段々やけくそ気味に。
営業部門全体の会議入社3年目の私と同期で出席することになりました。そのときにはっきりと、「こちらに丸投げし過ぎで業務が回らない、上長だって倒れているのだからもう少し考えろ」という内容の意見を会議で発言しました。
部長以下先輩社員だらけなの中で失言に近い言い方だったでしょう。それくらい我慢できませんでした。反対に営業部部長からは、若いのに意見が言えて見込みがあると思われたらしいという皮肉。

 

その会議の直後、チームの上長が帰ってくる前に私は体調不良で会社を休みます。2日寝込んでいても全く快方に向かわず、少し大きな病院を受診したら麻疹と診断。即入院が決まりました。会議で「このままだとチームの上長が倒れますよ」と脅しておいて、発言した本人が先に倒れるという更なる皮肉。


営業という仕事も含めてその会社自体がもう嫌になっていました。9日間に及ぶ入院生活でもう会社を辞めて、健康に関わる仕事、手に職をつけようと決意したのでした。

 

こうして営業職を捨ててこの業界に入ったあとも、営業に対する印象は悪いままでした。


会社員時代に勧誘があまりにしつこいので貯蓄目的で加入した生命保険。鍼灸整骨院時代に当時の担当が保険内容を変えて毎月の貯蓄額は100分の1に。当時朝から晩まで働いて、生命保険にまで頭が働いていなかったときでした。契約内容をきちんと把握していないで判を押してしまいまったのです。同様の提案を鍼灸専門学校時代では断ったのに、その時は甘かった。
数年後開業して全ての金銭のやり取りをチェックしているときにこのことに気づいたのですが、当時の担当はとっくに退職。今は勉強料と割り切っていますが、当時は騙されたと心底恨みました。

 

開業してからは失礼な電話営業がたくさんかかってきます。最初は実際に会ったこともしましたが、誰もこちらが得する話を持ってきた人はいませんでした。一度その場で断ったら目の前で本部に電話をして、いかに僕が熱弁したのですが相手は頭が悪いようですみません、と報告する営業もいました。
100件に1回くらい丁寧な電話をしてくれる人もいますが、アポを取っている、既に依頼を受けている、(ありもしない)口コミを見た、など平気で嘘をついて話を続けようとする人も少なくありません。

 

商社を辞めて営業職から離れもなお、営業マンの印象は最低であることは変わりませんでした
社会に出て初めて仕事を共にする「大人」の多くに幻滅し、生死にかかわるほど体調を崩し、その後も嫌な思いばかり。
近寄ってくる営業は絶対に心を許さない人間になっていました。

 

今回大阪でアテンドしてくれた次村さんは、私の持つ営業の嫌悪感を変えてくれました。ああ、このような営業もいるのだなあと感心しました。

 

次村さんは気取ったところがありません。私がいた会社や治療院に訪れる営業は、ちょっと派手なスーツを着てごつい腕時計を身に着け、「院長様」と二重敬語の間違った日本語を使い、言葉は敬っているようにみせて腹の内はそんなことを思っていない人ばかり。
人を診る仕事であり年齢も重ねてきて、観察眼は若い頃より鋭くなっています。見た目を繕ってもすぐにばれてしまう人が多い中、次村さんは普通の服。丁寧語は使いますが過剰な敬語を使うことはありません。きちんと私を人として接しています。反対に私を売上の元としか見ていない人もたくさんいるということなのですが。

 

また分からないことをきちんと分からないと言います。鍼灸や東洋医学のことに疎いことを隠さない。だから素直に鍼灸師から物事を学べる。知ったかぶりや根拠のない「できます」を言いません。
若手鍼灸師の会で少し話をして人柄が分かっていたので神楽坂のお菓子を用意し、業界情報の資料を作成して渡しました。私も彼を一人の人として誠意を還そうと思える人物だと思いました

 

次村さんは芯があります。お父さんという理想像があるそうで、営業とはどのような存在か、核となるものを持っていると感じました。彼がポロっとこぼした仕事の愚痴があったのですが、そこに「正当な怒り」を感じました。身勝手なものではなく求める理想に合わないことへの不満。これがある人は、私の経験上、しっかりとしています。

 

一緒に居たさまんさんも彼を、若いのにしっかりしているよね、と評していました。同感です。鍼灸師という人を診る仕事をしているからこその意見だと思うのです。
やけに彼を手助けする鍼灸師が多いなあと内心思っていたのですが、理由がわかりました。初めて好感度がある営業に出会いました。

 

次村さんの年齢を知って驚きました。私が商社にいて同僚や先輩に嫌気がさして腐っていた年齢です。心底サラリーマンは嫌だ、営業はどうしようもない仕事だとメンタル面がおかしくなっていた時期。
もしも次村さんのような営業に出会っていたら、例え商社を辞めるにしてもその後の生き方が変わったかもしれません。
当時の私は若くて不満だらけ。この年になり、次村さんと接して恥ずかしくなりました。


営業はモノではなくヒトを売れという言葉があります。モノがあふれて差がなくなっている現代では、何を買うかよりも誰から買うかが重要、と言います。
次村さんは露骨にファロスの鍼を使ってくださいよ、など言いません。色々なところに出向いて交流し、ヒトを売っています。ちょこっとホームページを見て電話してくる人とは大違い。足を使って情報を取りに行く姿勢があります。

 

開業鍼灸師も営業のようなもの。どれだけ高い技術があってもその鍼灸師が嫌われたら絶対に患者さんは来てくれません。行動して人に会い信頼関係を作る。その後に製品が売れるという次村さんの姿に重なるものがあります。随分年下の彼に教わりました。

 

大阪では色々していただいてありがとうございました。それ以上に人の勉強になったことが収穫です。そのことにも感謝します。

 

甲野 功

 

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