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~柔道整復師業界の異変~

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等
厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等

 

ここ最近、柔道整復師業界に大きな出来事が立て続けに起きています。

 

柔道整復師とはかつて骨接ぎと言われた、急性外傷(骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷)を専門に扱う業種です。3年以上の勉強をした上で年に1回3月に行われる厚生労働省認可の国家資格試験に合格したら柔道整復師免許を得ることができます。開業権があり、接骨院(整骨院)を開業することができます。
私は接骨院をしていませんが柔道整復師免許を2011年に取得しております

 

最近知ったことですが、大阪にある大阪行岡医療専門学校長塀校の整復科(柔道整復師科)が募集停止するというニュースを知りました。

 

大阪行岡医療専門学校長柄校ホームページより
大阪行岡医療専門学校長柄校ホームページより 整復科募集停止

 

大阪の行岡と言えば日本で最初の柔道整復師養成学校。東京の柔道整復師専門学校に通った私でも名前を知っている名門校です。

その行岡が柔道整復師科の募集停止をする事態になるとは。どのような経緯か知りませんがとても驚きました。行岡医療専門学校は他にも科があるので学校は継続するようです。今後柔道整復師科を再開するのか不明ですが。


鍼灸専門学校も同様ですが柔道整復師専門学校の学科が減っている、あるいは閉校していることは知っていましたが、ここまで事態が進んでいるとは。業界状況が変化していることがうかがえます。

 

 

また企業においても、接骨院業務から撤退するという発表がされました。
株式会社大盛工業の連結子会社であるエトス株式会社が鍼灸接骨院業務を撤退するという発表です。

文章を一部抜粋します。



1.事業廃止の理由
当社は、当社グループの事業の多角化を図るため、子会社としてエトス株式会社を設立し、アトラ株式会社が展開する「ほねつぎ」ブランドの鍼灸接骨院チェーンに加盟し、鍼灸接骨院事業を進めてまいりました。


しかしながら、同事業においては、当初予定していた来院者数を確保できず、同事業は事業開始以来不採算のまま推移いたしており、今後も大幅な収益の改善は見込めないと判断したため、この度、エトス株式会社による鍼灸接骨院事業を廃止することを決定し、これに伴い2019年7月期第3四半期連結会計期間(2019年2月1日~2019年4月30日)において減損損失9百万円、店舗閉鎖損失引当金繰入額1百万円を特別損失に計上する予定であります。

 

株式会社大盛工業発表文書 連結子会社における事業の廃止及び特別損失の計上に関するお知らせ
株式会社大盛工業発表文書 連結子会社における事業の廃止及び特別損失の計上に関するお知らせ
株式会社大盛工業発表文書 連結子会社における事業の廃止及び特別損失の計上に関するお知らせ
株式会社大盛工業発表文書 連結子会社における事業の廃止及び特別損失の計上に関するお知らせ

 

 

株式会社という”企業”が鍼灸接骨院経営に手を出していたことも意外ですが、損失を出した上で業務撤退するということにもっと驚きました。私の個人事業主とは資本の桁がはるかに違うわけです(資料によれば資本金3千万円)。それにも関わらず2016年設立で、わずか3年で撤退です。

 

 

エトス株式会社は文面にあるようにアトラ株式会社が展開する「ほねつぎ」ブランドに加盟していました。このアトラ株式会社も訴訟を起こされております

 

朝日新聞デジタルより
鍼灸接骨院展開のアトラを元加盟店が提訴「説明が虚偽」

記事

東証1部上場企業で、「ほねつぎ」ブランドで鍼灸(しんきゅう)接骨院の事業を全国展開するアトラ(大阪市)と契約して開業した元加盟店10社が、アトラから虚偽の説明を受けてフランチャイズ(FC)契約の判断を誤ったとして、アトラに対し総額約8億7千万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地方裁判所に起こした。提訴は4日付。


 原告は東京都、大阪府、沖縄県などの元加盟店経営会社10社で、各社の請求額は約5千万~1億6千万円。訴状によると、原告は契約前、アトラ側から「既存店舗は全店黒字」「一部の例外を除き、月の平均売り上げは350万円以上」などの説明を受けたものの、実際の売り上げは説明を大きく下回り、損益分岐点を超えることもままならなかったという。原告らの主張によると、2016年4月時点で営業していた77店舗のうち、月の平均売り上げが350万円以上だったのは13店舗で、残り64店舗は下回っていた。原告側は「アトラが虚偽の情報を提供し、契約の判断を誤らせた」などとしている。


 アトラは「まだ訴状が届いておらず、コメントできない」と回答した。アトラは16年6月に東証1部に上場し、17年度の売り上げは約37億円。(松田史朗)

 

朝日新聞デジタルより 鍼灸接骨院展開のアトラを元加盟店が提訴「説明が虚偽」
朝日新聞デジタルより 鍼灸接骨院展開のアトラを元加盟店が提訴「説明が虚偽」

 

このように鍼灸接骨院事業がうまくいっていないことが伺えます。元加盟店10社が提訴というので少なくとも10社は経営不振だと分かります。

 

 

最近では、北海道で柔道整復師が保険金を不正請求して逮捕されました。
交通事故装い保険金だまし取る 整骨院経営者を逮捕


交通事故の治療だとウソの届け出をし、保険金およそ100万円をだましとったとして、整骨院経営の男が逮捕されました。


整骨院経営の勇保則容疑者は、おととし12月、交通事故にあった男女と共謀し治療の回数を水増しして、保険会社からおよそ200万円をだまし取った疑いがもたれています。勇容疑者は、今回の事件とは別に、同じ手口でおよそ200万円を騙し取ったとして、先月逮捕されていて、10年ほど前から合わせておよそ1億円を不正請求していたとみられています。また、客を増やす目的でHPに「交通事故専門」や「弁護士による法律相談」などの文章を掲載し、道内では初めて柔道整復師法違反などの疑いで書類送検されています。勇容疑者は「収入を増やしたかった」と容疑を認めています。

 

 

ネット記事より 交通事故装い保険金だまし取る 整骨院経営者を逮捕
ネット記事より 交通事故装い保険金だまし取る 整骨院経営者を逮捕

  

この手のニュースはもう珍しくなくなって個人的に注目していませんでしたが、この容疑者は逮捕歴があり再逮捕ということと、交通事故専門を謳うホームページ広告によって書類送検されたという点が気になりました。特にホームページ広告で柔道整復師法違反に問われるのは珍しく、ニュースでも北海道内初としていました

 

 

これらのように老舗柔道整復師専門学校の募集停止、企業の接骨院(整骨院)経営不振、整骨院による不正請求事件は繋がっていると考えられます。


発端は柔道整復師が増えすぎたことだと考えられます。その後いろいろ要因があるとは思いましたが増えたことが最初だと。数字ではどのようになっているのか。データで見ていきましょう。そこから見えてくることがあります。

 

 

公益社団法人柔道整復研修試験財団
回数別 受験者数等一覧

 

公益社団法人柔道整復研修試験財団ホームページより 回数別 受験者数等一覧
公益社団法人柔道整復研修試験財団ホームページより 回数別 受験者数等一覧

 

合格者数のピークは第18回(平成21年度)の5,570名でその後減少しています。私が柔道整復師を取るための国家試験が第19回(平成22年度)でしたからその年から減少が始まっていたのでしょう。

今年3月に行われた第27回(平成30年度)国家試験では受験者総数は6,614名で合格者数は4,054名(合格率は63.8%)でした。前年度に比べて合格率が上がり合格者数も4千名台に戻りましたが、受験者数は減少していっています。

 

 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料
参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等

また専門学校における定員充足率も平成24年から27年にかけて減少しています。つまり定員割れが進んでいるということ

 

 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等
厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等

 


さらに資料を見ると全体の定員数は横ばいでありながら、厚生労働省定員数は減少し文部科学省定員数は増加していることが分かります。これは専門学校(厚生労働省管轄)が減り大学(文部科学省管轄)が増えていることを示しているのです。


 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等
厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料5.柔道整復師学校・養成施設数等

 

 

しかし施術所(つまり接骨院・整骨院)は増加し就業する柔道整復師も増加していることが資料から分かります。

 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料
参考資料7.就業柔道整復師数・施術所数 年度別推移

平成10年から26年の推移を見ていますが施術所数も就業柔道整復師数も見事な右肩上がりです

 

 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料7.就業柔道整復師数・施術所数 年度別推移
厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料7.就業柔道整復師数・施術所数 年度別推移

 

 

人口10万対柔道整復師数でみれば平成10年に23.0名だったのが平成26年委は50.3名と2倍以上になりました。都道府県別では特に大阪府の増加率は突出しています。他には沖縄県も増加率が高いです。

 

 

厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料7.就業柔道整復師数・施術所数 年度別推移
厚生労働省 柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会(第1回) 資料 参考資料7.就業柔道整復師数・施術所数 年度別推移

 

このことから柔道整復師の供給過剰が推測され、特に大阪府では厳しい競争になっていると考えられます。大阪行岡医療専門学校の募集停止もそのような背景が伺えます。アトラを訴えている会社も東京、大阪、沖縄の10社とありますから人口が密集している東京は別として大阪、沖縄では柔道整復師の増加が影響していることが想像できます。

 

このように柔道整復師が増えすぎた結果、専門学校の募集停止、事業の業績悪化、不正請求、といった流れができていることが予想できます。他にもカリキュラム変更や管理柔道整復師を置く義務など要因が考えられますが、専門学校や大学といった養成施設が増加したことが事の始まりであると思われます。そこから淘汰させる時期に入っているとも言えるでしょう。

 

今後柔道整復師業界はどのような方向に進むのでしょうか。

 

甲野 功

 

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