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~ハトマ。 東洋医学えほん~ 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 かしはらたまみ作東洋医学えほん
かしはらたまみ作 東洋医学えほん

 

 

続けて取り上げている関東鍼灸専門学校で行われた「ハリトヒト。マーケット(通称:ハトマ。)」。ハトマ。とは何ですか?という方は、こちらを読んでからこのブログを読んでいただければと思います。”マーケット”ですから直訳すれば市場(いちば、しじょう)です。お店が立ち並んでわいわい人が行きかう(行き交う、行き買う、活きかう)空間をイメージします。本イベントの代表ゆうすけ(金井友佑)先生はこのように語ります。

ぼくが「ハトマ。」を開催する理由 by ゆうすけ

コメントを抜粋

という想いで立ち上げたイベントなので、「ハトマ。」では「講演+少しの質疑応答」という形ではなく、参加者にもしっかり参加していただけるように工夫をする予定です。

また「マーケット」という名前をつけているように、いくつかの企業や団体さんも出店していただけることになっています(あえて出展ではなく出店と書かせていただいています)。
講義の合間に、お店のヒトたちとワイワイできるような時間もご用意しています。
お店のヒトたちも「ハリトヒト。」への想いをたくさん抱いてご参加くださるので、ぼくたちもとても楽しみにしています。

出展ではなく出店。こだわりがあります。鍼灸用品の企業さんはもちろん、鍼灸師でも自作した作品・商品を売り出せる場所。そもそもWEBメディア「ハリトヒト。」もネット上の記事を製本化して販売しています。マーケットとしての買い物も大きな要素でした、ハトマ。にとって。

 

当日はお買い物もする気持ちで会場に訪れました。そこで事前にチェックしていたのが東洋医学の絵本です。作者の言葉を採用すれば「東洋医学えほん」。やはり鍼灸マッサージ師のかしはらたまみ先生が作成した絵本です。どのような想いで関西から単身訪れたのかは、こちらをご覧ください。

東洋医学えほんを販売します!/やわらか東洋医学:かしはら たまみさん

治療院に置いておくグッズとして購入しました。購入したのは
・おなかがいたくなるまえに
・陰陽五行まわるき
・絵で見る五行色体表
の3点です。

 

「絵で見る五行色体表」はどちらかというと鍼灸師向けです。鍼灸師になるには絶対に覚えないといけない五行色体表。万物を5つの属性に分ける五行論(説)は東洋医学の基本中の基本なのですが、各項目で覚えます。それを色彩豊かな柔らかい絵で描いてくれます。ただただ色々なカテゴリーでそれぞれ5つに分類されているので、一般の患者さんには何でしょう?という感じかもしれませんが、鍼灸師にとっては分かりやすい教材です。学生さんにはもってこいでしょう。

 

「おなかがいたくなるまえに」「陰陽五行まわるき」は絵本でストーリーになっています。東洋医学の考え方を絵本で学ぶものになっています私には二人娘がいるので絵本は馴染みがあります。しっかりとした作りでこれはいいと思いました。個人的にネット通販が好きではなく、現物を目で見て手に取って選びたい人間です。実物を見てもしっかりとしたものだと思いました。案の定、自宅に戻って絵本を見せると、寝る前に読んでくれとせがまれて娘たちの寝かしつけグッズとなっていますおなかがいたくなるまえに」は主人公の会社員のお腹が痛くなる話です。病気がどのように体に侵入していくのかを絵本にして解説しています。


邪気(じゃき:病気のもとになる気)や衛気(えき:体を守る気)、肌肉皮毛といった東洋医学専門用語も出てくるのですが、基本的に日常使われる言葉で邪気の侵入経路や衛気の防御反応、病気になる要素や予防対策について分かるようになっています。娘たちはふーんという感じで見ていましたが、私からすると病位(邪気が入る深さのような意味合い)だとか外因・不内外因(病気になるきっかけの種類)、養生方法などを復習できるテキストでした。そういえば東洋医学概論で習ったな、と思い出しました。その中で作者の身体に関する主張も感じられました。まだ何のことか分からないであろう娘たちに東洋医学の考え方を触れさせる機会になりました。臨床的な手技や道具はよく受けて見ているので東洋思想を知らせることに。

 

そしてもう一冊の「陰陽五行まわるき」はもっと東洋医学を学ぶ作品でした。「陰陽五行まわるき」はタイトルに漢字が入っており、陰陽論五行論(説)という二大東洋医学基礎が表されています。内容は生まれた子猫が「季節をまわすのは何か」を知るために親猫のもとから旅に出る話です。可愛らしい絵に反して本格的な陰陽論と五行の考えが描かれています。特に相生・相剋という五行の関連性をストーリーと絵で解説しています。詳しくは書きませんがなかなか見事なストーリー展開です。五行は木・火・土・金・水の5つで構成されるのですが、金を岩として自然現象を説明しているのは見事だと思いました。金属として説明することが多いのですが、確かに岩の方がしっくりきます。

さてここは大きなネタバレになってしまいますが、敢えて書きます。主人公の子猫は最後寿命がつきて死んでしまいます。遺体は肉が腐り骨となり最後は土に還ります。その様子を、五行を用いて絵にしています。そのシーンを読み聞かせたときに小学校2年生の長女は声に出さず涙を流していました。昨年飼い猫のマーチが寿命で亡くなっています。私もちょっと悲しくなりました。タイトルは「まわるき」。気が回る、廻る。そこには輪廻転生も描かれていました。母猫から生まれて朝と夜が繰り返すこと(陰陽)を知り、旅の課程で五行の巡りを体験します。最期は命も廻ることを実体験します。絵本としては異例の、敢えて主人公の死を描くことで、大切なことをかしはら先生は伝えたかったのでしょう。死生観も。

 

「おなかがいたくなるまえに」でも人の<体は借り物、大切に扱いましょう>というメッセージがありました。絵本という子どもが取っつきやすいもので東洋医学の考えと大切なものを教えてくれます。絵本を読んだ娘たちはどのような気持ちになったかは聞いていません。寝てしまいますし。敢えて今は聞かず、もっと大きくなったとき聞いてみようと思います。

 

ハトマ。ハリトヒト。マーケット。マーケットで面白いものを手に入れました。このような企画を立案し実行した「ハリトヒト。」メンバーに感謝です。

 

甲野 功

 

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