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~鍼灸専門学校の選び方~

東洋医学概論の教科書 医道の日本社
東洋医学概論の教科書。東洋医学を学ぶ鍼灸師に必須の科目。

 

私はこれまでに進路相談を受けることがありました。


あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師のどれがいいでしょうかという資格選択の質問。中にはあん摩マッサージ指圧師になることが一番で鍼灸師も同時に取った方が良いでしょうか?というものもあります。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師は医療系国家資格であり、開業権がある資格です。私はどれも取得していて、かつ開業しているので、これらの質問や相談が寄せられます。

 

このような相談を受けた時に私が必ず行うことは、「将来どのようなことをしたいのですか?」と問いかけることです。鍼灸でもマッサージでもそれは手段であって(言い換えれば手段に過ぎず)、それらを使って何がしたいのか(つまり目的)が大切です。将来の目的があって、実現するための手段に資格免許があると考えています。確固たる目的がある方が良いでしょう。

 

私のところに相談、質問が来るのはほぼ全員、社会人で現在は別の仕事をしている方です。高校生や大学生からはありません。私の経歴が大卒サラリーマンから脱サラして鍼灸マッサージ専門学校への進学。社会人からの転向を考えている人は境遇が似ている人の意見を聞きたいのでしょう。

 

私は基本的に勧めるのが、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師をいっぺんに取る通称“本科”と呼ばれる科に行くこと。料金は割高になるかもしれませんが3年間で3つの国家資格(資格区分はあん摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師)が取得できます。


あん摩マッサージ指圧師単独を希望する方には話を聞いて意思が強ければいいと思います。実際に鍼灸は必要ない、あん摩マッサージ指圧師一本で行きたいという相談者がいて、その方には本科を勧めましたが強くは言いませんでした。その人はあん摩マッサージ指圧師専門学校に入学しました。

 

鍼灸師になりたいのです、という方には本科に入った方が良いと思いますよと言います。徒手療法が使えることで鍼灸の幅が広がりますし、別の観点から鍼灸を見ることができます。
しかし生活圏の問題があります。以前書きましたがあん摩マッサージ指圧師になるための専門学校は数が少ないのです。視覚障害者のための学校は全国にありますが、晴眼者(視覚障害がないひと)が通えるあん摩マッサージ指圧師を養成する学校は関東に固まっています。住んでいる地域のよっては通うことができないこともあります。
またあん摩マッサージ指圧師単独で資格を取れる通称“専科”と言われる科がある学校は全国で3校しかありません。個人的にはあん摩マッサージ指圧師と鍼灸師を両方取る本科を勧めますが地域によっては叶わないことがあります。

 

よって鍼灸師を目指すという人に対して、専門学校の選び方を書いていこうと思います。

 

大切なことはよく学校研究をした方が良いということ。免許を取ってしまえばみんな同じ鍼灸師ですが、習う環境によって大きく卒業後が変わります。学校ごとの特色があるのでしっかりと調べておいた方がいいと思います。どこも一緒でしょう?と思うかもしれませんが、それは大間違いで学校の差はよくも悪くもあります。

 

ホームページを見ることはもちろんのこと、必ず学校見学も行った方がいいと考えます。最低3年間関わる場所ですので通学経路、学校の雰囲気、設備、人を見ておいて損はありません。また複数の学校を見学した方が比較することができます。就職活動の気持ちを持つといいでしょう。


これまでに、近いから、学費が安いから、紹介されたから、といった理由で一度も見学しないで入学する人を見ました。上手く学校に合えばいいのですが合わずに退学する人も見たことがあるので慎重にした方が余計なお金や時間を使わずに済むことでしょう。

 

更に、実際のところは入学してみないと分からないというのが現実です。完全に理想通りとは言えないでしょう。
同級生や教員とどうしても合わない。対人関係で学校を変えた例も聞いたことがあります。
いざ学習をしてみても、鍼灸が思ったよりも楽しくない、自分に合わない、勉強が嫌という理由で退学することもあります。
期待をして入学したものの、と幻滅してしまうこともあるでしょう。だからこそ学校研究をしっかりした方がその可能性を下げることができることでしょう

 

ここで具体的に、外部からみて学校の状況がある程度わかる指標を示します。学校選択の参考にしてみてください。

 

国家試験合格率
趣味で東洋医学や鍼灸を学びたいという人は関係ないかもしれませんが、前提として鍼灸専門学校は職業訓練学校です(文部科学省の管轄である大学は研究の意味もありますが)。国家資格を受験するに足るだけの技術と知識を最低3年間学ぶ場です。国家試験の合格率は最低限の指標になります。
この数字はだいたいどの学校もホームページに掲載されています。

 

ここで注意したいのは
全体の合格率
現役生の合格率
卒業生(浪人)の合格率
を見ることです。

 

全体の合格率が60%(100名受験して60名合格)だとします。しかし内訳が現役生の合格率100%(60名受験して60名合格)、卒業生の合格率0%(40名受験して合格者ゼロ)であるとします。実際にこのようなことは起こることは考えられませんが3年生は全員合格しているので優れた学校とみることができるでしょう。


国家試験を受験し落ちると翌年に合格するのはとても難しくなります。よって国家試験浪人となる卒業生の合格率は大幅に下がる傾向があります。このあり得ない例をとると、卒業生が40名も受験して合格者がいないというのは、卒業生への手助けをしていないと見て取れます。何かの問題で力を発揮できずに国家試験本番を失敗してしまった生徒に対して非常に冷たい学校と読み取れます。
繰り返しますがこのような数字になる学校はありません

 

全国の鍼灸国家試験(正確には「はり師」と「きゅう師」に分かれる)の合格率はどのようなものかはこちらをご覧ください。


東洋療法試験財団 過去の受験者数

補足の情報を入れておきますと、国家試験は難しくなる傾向にあります。私が受験した10年以上前に比べるとずっと難解な問題になっている印象です。かつては過去問題をしておけば合格できるよ、普通に勉強しておけば大丈夫、という声がありましたが、そう簡単ではないと言えます。
”普通の勉強”がおそらく想像以上に大変です。平成30年度より学校カリキュラム変更があり、単位数、授業時間が増えました。国家試験に合格させるという最低ラインを守ることがどの学校も難しくなっています。

 

鍼灸専門学校は予備校か?という議論があるのですが、鍼灸師になるというスタートラインに立つためには国家試験合格は絶対条件ですので、国家試験合格率があまりに低いところはよく調べた方がいいでしょう。

 

その学校の受験者数
国家試験の合格率が指標になると言いましたが、受験者数も大切なのです。


例えば同じ現役生の合格率90%の学校が2つあったとします。

A校は100名受験して90名が合格。

B校は10名が受験して9名が合格。

どちらが良い学校でしょうか?


本当に状況によるのですが、一般的にはA校の方がいいです。理由は受験者数が多いということ。受験者数が多いというのは生徒が多いということ。鍼灸は人体に行う技術ですから、学生時代にたくさんの人と練習した方が有利です。一学年10名だと9名のクラスメイトと練習することになります。人それぞれですからたくさんクラスメイトがいるであろうA校の方が良いです。

 

ただし、A校も状況を確認しないといけません。科の定員はだいたい60名くらいになるので、30名クラスが2組。時間帯で別の科が30名、10名とクラス分けされている可能性があります(午前の部60名、午後の部30名、夜間部10名のように)。この場合、10名クラスに入ると練習できるクラスメイトは少なくなります。ただ他の科や他の学年に生徒がいると予想できるのでやはりA校は比較的いいと考えられます。

 

具体的に各学校で何名受験しているかを知るにはこちらをご覧ください。
看護医療進学ネット>国家試験合格者状況一覧>2020年(令和元年度卒業生)国家試験合格状況一覧

ここには全国の鍼灸師国家試験に学校別受験者数が掲載されています。
できれば過去2年分の受験者数も確認しておくといいです。


受験者数が減っている=その学校の生徒数が減少している。
既卒(卒業生)の受験者数が多い=現役の受験で不合格者が多い。
ということが推測できます。

 

生徒数があまりに少ない学校は経営が万全ではない可能性があります
今は鍼灸専門学校が廃校になる時代です。入学したのはいいが、自分たちの代が最後の生徒ということもあるのです。私の持論ですが専門学校に通うのは人脈を作るためでもあります。同期や先輩、後輩が多い方が一緒に勉強して切磋琢磨できますし、卒業後に頼ることもできます。生徒が多い方が有利だと思います。少ない生徒数の方が先生や講師にしっかりみてもらえるというメリットがあるのですが。

 

その学校の歴史をみる
その学校は何年前にできたのか。これも一つの指標です。

歴史があればそれだけ卒業生もいることになります。卒業後の進路において手助けになることがあるでしょう。ちなみに私が国家試験後に就職活動をした際に3つの職場を見学に行ったのですが院長は3つ全て学校の先輩でした。また長い時間学校運営をしているので色々なノウハウを蓄積しています。国家試験対策や生徒指導など。

 

それと古い学校は治療家が設立した学校が多いです。本人が鍼灸師で後進を育てるために設立したという。平成8年の裁判後、規制緩和により鍼灸専門学校が新設できるようになると異業種からの参入が増えました。建学の精神ではありませんが、鍼灸師によって始まった学校はそれしか無いという雰囲気が出るものです。古いから素晴らしい、新しいから悪いとは一概に言えませんが何十年も残っている学校はそれなりの底力があると思っています。

 

また業界内の基準で学校を知ることもできます。それは「公益社団法人 東洋療法学校協会」に加盟しているかどうかです。鍼灸専門学校は全て厚生労働省の認可を得て学校を設立しています。更に東洋療法学校協会に加盟していると一定の水準を満たしていると業界的に見られます。加盟校は設備や質が良いと言われています。加盟していない学校の卒業生でも素晴らしい先生はたくさんいますので、一つの目安と考えてください。

 

公益社団法人 東洋療法学校協会>加盟校一覧

 

さて、ここまで鍼灸専門学校を選ぶための内容を書いてきました。

 

改めて、何をしたいのかが大切で、その目的や夢から逆算して学校選び、もっと言えば資格を選ぶと良いでしょう。それこそあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、あるいは別の職種でもいいです。誰かの意見に流されず、妥協せずに学校選びをしてもらえれば。


間違いなく言えるのは鍼灸専門学校はどこでも一緒ではありません。各校の特色がかなり出ており、卒業後に大いに影響を受けます。人生を決める選択くらいの気持ちで学校研究してもらいたいです。

 

甲野 功

 

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