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~審美六鍼をテーマにした鍼灸師の勉強会~

審美六鍼の前後比較 葉月先生より
審美六鍼の施術前後の比較 葉月先生より提供

 

今日は鍼灸屋月日藤田葉月先生がいらっしゃいました。

 

出張 鍼灸屋月日

 

審美六鍼について試してみましょうということが発端です。

 

今年の2月。母校の東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科卒業論文発表会を公聴しました。その中で発表された気になる研究の一つに「審美六鍼による施術前後の客観的及び主観的変化」というテーマがありました。そこでは私は初めて「審美六鍼」なるものの存在を知ります

 

「審美六鍼」とは古代九鍼と言われる古来使用された鍼の中から6種類を選び美容用に改良されて作られたものです。古代九鍼も文献に残っているレベルであり、臨床現場で使いこなせる鍼灸師は少なく、現行の法律(医師法、医療法など)では違法に当たるようなものもあります。鍼というより現在の外科用メスに近いものもありますので。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 審美六鍼
審美六鍼

 

 

 

審美六鍼は刺さない、一般的に言われる鍉鍼(ていしん)の一種になります。鍉鍼も古代九鍼の中の一種類であり、刺さない鍼だから鍉鍼というわけではありませんが細かい説明はここでは省きます。

 

今年の卒業論文発表会にて審美六鍼を用いた実験でとても効果が出たことを知ります

スキンチェッカーで肌の水分量・油分量・弾力を、画像分析スマートフォンアプリでシミ・シワ・キメ・クマ・肌指数・肌年齢を、測定します。客観的な数値データで表すのです。審美六鍼を用いた施術の前後でそれらの数値が変わったのかを計測し、数学的統計処理をしました。すると全項目で有意に好ましい方向になっていたのです。「有意に」という表現は平均値だけを見たのではなく、統計処理をして「この差には意味が有る」という結果が出たということ。

 

私自身も卒業研究で実験をしましたし、毎年教員養成科の卒業論文を見てきましたが、ここまで結果に有意差が出ることは非常に稀です。圧倒的に効果が数値(客観的データ)として出ているのです。この結果に驚いた私は審美六鍼を手に入れて検証し、よければ臨床で取り入れてみようと考えました。

 

そして4月頃。審美六鍼を入手した私は使ったことがないのため、被験者を集めて練習しようと試みました。ところが。新型コロナウィルスの流行により人と会うことが自粛することになり、被験者を快諾してくれた人にも断りを入れることになりました。緊急事態宣言も出ましたし練習するような環境ではありませんでした。その後段々と日常が戻ってきましたが審美六鍼を使って練習することはできず、使ったことも使っているところも見たことがない私はせっかく用意したアイテムを箪笥の肥やしにしていました。

 

そして先日、知り合いの葉月先生から連絡が入り審美六鍼を使った施術ができませんかという話がきたのです。先生とは以前から面識がありました。

 

葉月先生はあることから審美六鍼に興味が出でインターネットで検索したところ、私が話題に挙げていた投稿が引っかかり連絡してきたのです。

日頃美容面をしっかりとやっている同業である葉月先生に、大して使用したことのない審美六鍼を用いて施術するのは気が引けるというか無理な話だと思い、練習台になってもらうという提案をして落としどころにしました

せっかく来てくださるので導入検討の元となった教員養成科卒業論文を調査するという約束もして。

 

本日、あじさい鍼灸マッサージ治療院まで来てくださりました。

イベントで幾度も一緒になったことがありますが自院まで来るのは初めてです。葉月先生は鍼灸師らしく普段使っている道具一式も持ってきました。

 

私は今年出された教員養成科卒業論文から美容鍼に関する論文をピックアップして渡しました。東京医療専門学校教員養成科ではここ数年、毎年美容に関わる研究テーマが発表されておりなかなか面白いデータがそろっているのです。今年は審美六鍼以外にも咬筋という顔にある筋肉を鍉鍼で刺激した実験研究と、皮膚に刺す毫鍼(ごうしん)で本数で効果に差があるのかを比較検証した実験研究がありました。それらの論文を眺めて皮膚に刺さない鍉鍼の効果について話をしました。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 教員養成科卒業論文
論文。

 

 

葉月先生は伝統鍼灸が強い鍼灸専門学校の出身です。私は現代派鍼灸が強い呉竹学園の出身です。出身校における文化の差を大いに感じました。

 

葉月先生は鍉鍼は表面の衛気(えき)を動かしやすく、内部の営気(えいき)や血(けつ)を動かすのは毫鍼の方がいいのではという話でした。また顔面・頭部には陽明経、太陽経、督脈が、頭頂部は厥陰経が繋がっているという経絡に関する意見も。このような東洋医学について、私は知識として知っていますが実践レベルで考えたことがほとんどなく、気を衛気と営気に分けて動かすという発想がありませんでした。

割と解剖学や生理学といった現代医学で考えていく私にはカルチャーショックのような感覚でした

確かに東洋医学を学び実践する鍼灸師でありますが鍉鍼でそういうことを考えたことがなかったので。

 

審美六鍼を使って私が葉月先生に施術することにしました

審美六鍼に同封されていたマニュアルをみるとほぼ「かっさ」のような使い方をするようにみえます。「かっさ」とは皮膚を擦って使用する鍉鍼のもとになったとも言われる道具。これだけみると改めて審美六鍼として使用するメリットがあまり感じられませんでした。

 

論文に記載されていた方法もやってみました。6種類の道具を各部位で使い分けてみました。想像以上に小さいので細かい部分に当てることができますが扱いづらい感じがあります。何が正解なのかもわからないまま見よう見まねでやってはみました。

 

 

審美六鍼の前後比較 葉月先生より
審美六鍼の施術前後の比較 葉月先生より提供

 

 

 

結果を葉月先生が自撮りして画像で比較してみました。確かに小顔効果が出ているようです。日常手に美容鍼を行っている葉月先生はさすができちんと前後比較する資料を残していました。画像加工はせずに極力前後で同じ画角になるように撮影しています。もらった画像を見ると遠近法の問題か?と疑問に思うくらいですが、全体的に輪郭が小さくなっているように見えます。葉月先生の実感としては肌の様子が良いといいます。

ただ審美六鍼を使わなくとも他のかっさや徒手療法でもこれくらい効果は出せる気がするので少々疑問が残ります。

 

私の審美六鍼を受けてみてやり方を頭の中で考えていた、日常的に美容鍼を行う葉月先生が、今度は顔を貸してください、ということで交代しました。今度は私が受ける番に。

 

それは結構衝撃的な体験でした。

 

部位によって審美六鍼の種類を変えます。また顔に手ぬぐいを被せてその上から行いました。手ぬぐいの上から鍉鍼、審美六鍼を使うという考えがなくてとても驚きました

 

按摩をする場合は必ず手ぬぐいの上から行うと習い、皮膚を直接触らないようにします。反面、鍼は直接皮膚にするという対比で頭が固まっていました。確かに薄い繊細な顔面部ですから手ぬぐいを間に入れた方がいいかもしれません。手ぬぐいを介すことで刺激が優しくなり安心感が生まれました。受ける感覚が変わるのでした。

 

手ぬぐいの上から顔を押すのは指圧で習いました。普段でも顔を手ぬぐいを当てて押すことはあります。それは指先で分かるからできるとも言えます。視覚が遮られるので指の感覚で探る必要があります。そうでないと眼球や眼窩内を押してしまうのは危険だから。鍉鍼で手ぬぐい越しの顔を押すのは気を付けないといけません。当たり前のようにしていて凄いなと思いました。

 

また頭部や顔面部の経穴、つまり点で刺激する方法も使います。この場合は先に挙げた経絡を意識しています。すると首肩から上しか触られず、主に顔と頭への刺激なのに背中や腰、手足にも効果が出るのが体感できたのです。触れられていないのに緩んでいく感覚があるのです

教科書上では経絡が繋がっていることを知っているしそう覚えましたが、きちんと実感したことはそうありません。手足を刺激して肩腰お腹らの体幹部に影響を出すことはよくありますが、顔・頭で全身に効いたという体験は初めてのこと

 

改めて人体の不思議、東洋医学の凄さを痛感したものでした。道具の使い方次第で大きな可能性があるのだと。どこかでこれくらいだろうと枠にはめていたようだと気づき、再度、経絡経穴図を確認し東洋医学概論を読み直してみようと考えました。

 

今回は審美六鍼というアイテムが発端になった交流会でしたが東洋医学と人体の繋がりを再認識しました。東洋医学をより深く理解して実践している先生の手技を受けて得ることが多かった体験でした。

 

甲野 功

 

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