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~コロナ禍の鍼灸学生~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 オリジナル缶バッジ
学生さんが持ち帰った子どもの手作り缶バッジ

 

 

ここ数日、連続で鍼灸専門学校の学生さんが来院しました。昨日は学生ペア割で2名の2年生の学生さん。その前は今年入学した1年生の学生さん。

※学生ペア割とは当院が行っている取り組みで臨床現場の体験と見学を同時に行えるように鍼灸マッサージ養成機関の学生さんや進学希望者を対象に行っているもの。従来の価格より割引いて提供しています。

 

今年の1年生・2年生というと新型コロナウィルス感染拡大後に専門学校に入学した生徒になります。言い換えるとこれまでの鍼灸専門学校の状況を知らない学生さんになります。今の3年生ですと1年生のときは従来の学生生活を送ることができました。

 

7月に母校の東京医療専門学校で鍼灸マッサージ科2年生を対象に特別授業を受け持ちましたが、この代は入学当初からずっと新型コロナウィルスの影響を受けてきました。一番大変な世代かもしれません。

今年の春に入学した1年生はコロナ禍という状況を入学前に経験し、ある程度学生生活を予想というか理解して入っています。2年生は入学段階から異例の事態が続く状況でした

 

連日で鍼灸専門学校1年生と2年生に接してコロナ禍での鍼灸学生の苦労を実感しました。

昨日の2年生ペアは東京医療専門学校、つまり私の母校ではない学校の生徒さん。互いに知っている先生もいましたが、学校の様子がどのような状況か分かりません。母校でもないのでコロナ禍の対応はもちろん、学校内の雰囲気も掴めません。東京医療専門学校の学生であれば授業をしたばかりですし面識のある先生もいるので予測がつくのですが。

 

2年生のお二人が言うのは

・授業の進度が早い

・学校で練習ができない

・外部講習などが軒並み中止

・聞いていた話と違う

などなど。

 

仕方のないことではありますが、先輩方とは学生生活が大きく異なるわけです。入学当初からコロナ禍でしたから入学式もない、登校できない、夏くらいまでリモート授業。これらは鍼灸専門学校に限らず他分野の学校もそうだったでしょう。そして感染対策のため通学できるようになっても早く下校しないといけない、クラスメイトとの交流も制限されるということに。同級生のこともよく分からないまま時間が経過します。

 

我々の仕事はある意味、職人芸ですから日々の練習が必要です。そして工芸品を制作しているのではなく人体に施す技術ですから対人関係なしに練習はできません。基礎練習は一人できますが(艾を捻るとか練習台に鍼を刺すとか)、主目的である人に行う鍼灸術は他人の体なしには体得するのはほぼ不可能。そのためには授業以外でもやらないと間に合いません。練習するためのきっかけや場所が足りないのです。

 

また経絡治療の夏期大学をはじめ多くの外部講習や学会が中止になり外部の人間と接する機会が失われました(夏期大学とは毎年お盆の時期に行われる経絡治療の大きなイベントで、全国から集まり複数日に渡って開催されます。学会はリモートでの開催がありましたが対面で知り合うチャンスがないという点で学生、特に初学者には厳しい状況です)。1年生の時に「来年はできるだろうから」と言われていたのにいざ2年生になってもコロナ前のようにはなっていない。夏期大学は今年も中止になりました。期待していた分落ち込むと言います。

 

入学前には、こういうことをする、こういうことができる、こういうことをしなければならない、といった情報がことごとく覆ってしまう。予想や期待が外れる分、精神的ダメージが大きいでしょう。

 

今年入学した1年生の学生さんは結構満足というか納得しているという感じを受けました。コロナ禍で大変であることは入学前から理解していますし、本当はこうだったはずという比較対象がほとんどありません。大変な状況ながらもやるしかないという前提となる心構えができているのでしょう。

加えて昨年一年間を通じて学校側も慣れてきていることが考えられます。学校の先生方に聞くと昨年は本当に試行錯誤で大変だったが対応できるようになってきたと言います。

 

今の2年生は一番割を食った形かもしれません。

 

ただし不満を全て学校にぶつけるのは違う話です。厚生労働省と文部科学省が管轄している専門学校の一番の役割は学生を鍼灸師にさせることではありません。結果的にそれが目標ですし、入学する学生もそれを最低限求めることなのですが。

システム上の話で言えば専門学校は「鍼灸国家試験の受験資格を与えること」が重要な役割です。国家試験の受験資格は、国が認めた条件を満たしている機関が最低3年間の学習をし、その機関が認めることで生まれます。単位取得は専門学校(大学や視覚支援学校を含む養成機関)が行って受験資格を認めるのです。

 

国家試験自体は(今のところ)4択の文章問題のみ。実技試験はありません。ですから「国家試験合格」だけを考えれば専門学校でなくとも予備校、参考書、YouTubeなどでも勉強すればできます。何なら独学でも試験合格レベルの学習は不可能ではありません。しかし国家試験受験資格は所定の機関が認めないといけないのです。

 

つまり専門学校は学生に単位を修得させることが最も必要な業務です。それができなければ国家試験に進むことができませんから学生にとって大きな不利益です。また一年追加で学校に通ってくださいね、と言われたら困るのです。学生にはコロナ禍なので休学して同じ学年をまた繰り返す選択をした人がいることは知っていますが、まてば確実に以前の状況に戻る確証はありません。国内外でまだまだ感染拡大が続いています。

よって学校側は終わらせなければならない授業をこなさないと結局学生の負担になるので必死に進めます。座学はリモート授業でも何となりますが実技は対面でないといけません。またいつ登校制限をかけないといけなくなるか分かりませんし。授業内容や学校生活が満足いかないものであるのは重々承知で専門学校の最低限の責務を全うしようとしているのであろうと推測します。まして学校でクラスターが発生した場合、更なる負担を学生達にそして学校にも負わせることになりますから慎重になるわけです。

 

コロナ禍で厳しい状況におかれた学生さん。そして専門学校。特に今の2年生は異例づくめの学校生活を過ごしていて、はざまの世代になるかもしれません。教員免許を持つ現場の鍼灸師である私にできることは、学生さんに臨床の実際を見せて、体験してもらって、授業で習った内容がどのように活用されているのかを伝えることなのだろうな、と思います。専門学校ができることやらなければならないことが厳然と存在していて、それを補完するように専門学校で対応しきれないことを地道にやっていく。それが学生さんのためになるのかなと思いました。

 

こういった活動はコロナ前からやっていましたし、他にも多くの鍼灸師がそのような舞台を作りました。しかし今は県外の移動を自粛するように言われ大人数で集まることが難しい。情報交換はZOOMや動画配信・音声配信のツールが発達しましたが現実に他人に施す実技はオフライン(オンラインではない、実際に会う)でないとできません。小規模で散発的にやっていくしかないのでしょう。もうずっと聞き飽きた“コロナが収まるまで”。

 

学生さんは実際の開業した店舗に訪れることで技術面だけではないたくさんの情報を得ます。ホームページ、SNSでは分からない多くの情報を。

開業した院はその人の個性が詰まっています。業態、立地、内装、価格、コンセプト、などなど。ポイントとなることは山のようにあります。目の当たりにして話を聞いた学生さんは将来の姿を具体的に想像しやすくなります。卒業して鍼灸師として働く時間の方が学生生活よりはるかに長くなるはずです。卒業後の情報も学生さんは知りたいものです。

昨日の学生さんは当院のロゴマークに関するエピソードを知って面白かったようです。学生限定の(私の子どもが手作りした)ピンバッチをプレゼントしました。

 

コロナ禍を過ごす学生さんに私がどのようなことができるのかを考えたこの数日でした。

 

甲野 功

 

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