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~マーケティングの変遷~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 マーケティングの変遷
マーケティング1.0から4.0

 

 

院を開業すると必ず付きまとう課題が経営です。程度の差はあれ、臨床ができれば問題なしというわけにはいきません。患者さんが来なければどれだけ素晴らしい技術も宝の持ち腐れ。余った時間を埋める趣味ということなら別ですが、継続してやっていくには必ず集客、広報、宣伝といったところが目の前にきます。

 

開業鍼灸師には技術があればそんなものは必要ないと断言する方がいるのですが、それは必要ないところまで安定した人の言い分です。特に意識しなくても軌道に乗る人はいますし、そういう時代や環境もあるのです。

 

マーケティングなど無くても腕があればいい。こういった言い分を聞くと、マーケティングというものを“安易な金儲けのノウハウ”とでも認識しているのかなと思います。以前も紹介しましたがマーケティングの定義、何を持ってマーケティングというのか?という答えは複雑です。見解が色々とあって実ははっきりとした定義が定まっていません。ちょっと調べてみると

日本マーケティング協会の定義:『マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。

アメリカマーケティング協会の定義:『マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

と出てきます。

 

これらを読んでも抽象的というか壮大というか少々要領を得ません。他にもユニバーサルスタジオジャパンを再建した森岡毅氏、社会生態学者ピーター・ドラッガー氏らの定義も若干異なります。

つまりマーケティングとは単なる営業活動ではなく非常に広い分野に渡る活動で技術を磨く、知識を蓄えるといった“実力をつける努力”もマーケティングに入ると言えるでしょう。メーカーであれば企画開発からマーケティングが関わると言いますし。

 

あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、それに柔道整復師は厚生労働省管轄の医療系国家資格免許でありますが開業権があるためキャリアの中に「開業する」という選択肢がずっと付きまといます。専門学校の専任教員や研究機関の研究員で生涯を終えるというのならば別ですが、定年後に開業する可能性もあるのでやはりそうでしょう。開業する以上大きな意味でマーケティングは関わります。

 

問題はマーケティングの定義がはっきりしないことから分かるように時代によってその手段や意義が変化していること。特に社会環境が激変したこの2年はそうでしょう。これまでにどのようにマーケティングというものが変化していったのかをざっと見てみます。

 

マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)。これまでに何度も取り上げましたが、彼はアメリカの経営学者(マーケティング論)であり、世界的に強い影響力を持っています。研究会も存在するほどで経営関連の本を眺めているとどこかでその名前を目にする、あるいはその理論が出てきます。コトラーの提唱するのがマーケティング1.0から4.0。前に紹介しましたが改めてその内容と歴史背景を紐解くとみてくることがあります。

 

 

・マーケティング1.0

コトラーの生まれた1900年代のもの。大量生産すればモノが売れた時代のマーケティングです。需要に対して供給が追い付かない時代で、消費者が企業の提供する製品を買うことで喜びが得られた時代の考え方、やり方。よい品をより安くすれば売れたといいます。“製品志向”のマーケティングと言えます。製品を中心に考えていきます。

この頃に生まれたのが4P分析で4つのP、すなわち①Product(製品そのもの)②Price(製品の価格)③Place(流通)④Promotion(販促活動)で考えます。順番のようにまず製品、次に価格ということ。どのような場所で売るか(流通)、どのように周知させていくか(販促活動)よりも優先するという。

 

鍼灸院においては、技術があれば開業しても大丈夫という考えはこのマーケティング1.0に近いかもしれません。

 

 

・マーケティング2.0

日本では高度経済成長を果たした1970年代のもの。第二次世界大戦の影響も薄れ経済が豊かになり、競合が増えて価格競争が厳しくなった時代。技術が進歩して製品を安く作ることができ、模倣品や類似品が出回ります。供給が優位だった時代は終わり、製品を作れば売れるというわけにいかなくなります。企業はお客さんの要望を満たすために考えることになり、製品中心から消費者中心へ考え方が変わります。いわば顧客志向のマーケティングになるのです。“どのような製品を”から“どのようなお客さんへ”と主語が変わったと言いますか。

製品を比べることができようになった消費者は何を求めているのかに注目しないといけなくなります。マーケティング2.0で生まれたのがSTP分析。すなわちSegment(消費者をどう分けるか)、Target(どこに狙いを絞るのか)、Position(どの位置にするのか)の3つ。消費者を中心に製品展開や売り方を考えます。

 

鍼灸師が開業する際に自分の技術をどのジャンルにするのか(例えば腰痛、肩こり、美容、スポーツ、高齢者、婦人科疾患といったような)、そしてどのようにするのか(高価格帯・低価格帯、保険を使う、訪問するなど)を考えることに繋がるでしょう。鍼灸院が町医者のように幅広く疾患を扱っていた時代もあるでしょうが、段々と専門性を高める方向に変わっていることにも符号しているかもしれません。

 

 

・マーケティング3.0

インターネットが始まった1990年代。第3次産業革命と言われるネット環境の整備が進みました。Windows95の登場で日本でもパソコンブームが起きました。1990年代前半に中学生だった私も中学校でパソコンが導入さていました。インターネットの登場によりブログや掲示板といったデジタルツールが登場します。マスメディア以外の情報を得る機会が増え、インターネット上の口コミが大きな影響力を持つ時代になっていきます。その結果、直接製品の質に関係のない地球環境への配慮や適正な労働条件(フェアトレードかどうか)といった社会的関心が高まりました。

マーケティングにおいても企業の社会的責任を考慮するようになります。マーケティング3.0で生まれたのが3iモデル。これはブランド・アイデンティティ(identity)、ブランド・イメージ(image)、ブランド・インテグリティ(integrity)を指します。

 

鍼灸院でもコンセプトやポリシーをはっきり打ち出すところが増えました。働く女性のために、健康に美しくなる、健康寿命を延ばす、といったものを掲げる。ただ「鍼灸院を開きました、鍼灸を受けに来てください」とはいかなくなっています。

 

 

・マーケティング4.0

2010年代以降の現代のもの。今はソーシャルメディアが台頭した“接続性の時代”と言えて、社会的影響を抜きにして消費者の購買行動を説明できなくなった時代の考え方。モノが溢れて性能に差がつきづらく(すぐに製品が真似されてしまう)かつてより一層売れなくなっています。SNSの影響が強く買うことで精神的価値を満たすことに重きが置かれています。消費者は製品あるいはサービスを購入してそれを自ら情報発信することが当然になっています。

マーケティングにおいては消費者の購入後の行動まで考える必要に迫られています。マーケティング4.0では5A理論が生まれました。認知(Aware)、訴求(Appeal)、調査(Ask)、行動(Act)、奨励(Advocate)の5つです。製品を手に取った購入者が周囲にそれを推奨してもらうことが購買行動に繋がるわけです。そうなるように道筋を作っていくわけです。

 

鍼灸院に置き換えれば、鍼灸を受けた体験や感想をすぐに情報発信する、他人に勧めるという動きが活発化しています。鍼灸院側がどれだけ美麗字句を並べて宣伝しても実際に体験した者の情報がそれを上回る信頼があります。口コミサイトよりも個人アカウントで出した情報の方が上。インスタグラムの#(ハッシュタグ)検索でお店を探すように。

 

このように見てみると状況に応じて対応していくことがマーケティングの根幹にあるように思います。丁寧に丁寧に合わせていく。環境を見据えて考えをアップデートすることが大切なのではないでしょうか。

 

甲野 功

 

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