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~東京新聞の「整骨院」名称ダメ報道~

東京新聞TOKYOWeb より
東京新聞TOKYOWeb より

 

 

本日の朝、以下のような記事が東京新聞から出ました。

<東京新聞TOKYO Web

厚労省の広告ガイドライン案 「整骨院」名称ダメ 競争激化、ネット規制対象外の方向

2023年12月28日 08時06分>

 

 街中でよく見かける「整骨院」の看板。柔道整復師の施術所として広く使われているこの名称が、今後は禁止される方向となった。もともと法的に使えない名称で、利用者が適切に選べるように厚生労働省が広告ガイドラインを作ってあらためて規制する。背景には、施術所の増加で競争が激しくなり、一部に誇大な広告で利用者を集める実態がある。(五十住和樹)

 

 柔道整復師法は「ほねつぎ」か「接骨」と広告するよう定め、「整骨」は認めていない。だが、実際には多くの施術所が「○○整骨院」の名称で「交通事故、専門相談員が対応いたします」「キャンペーン 初回マッサージ30分2000円」などと広告している。厚労省によると、こうした誘い文句も指導対象だ。

 

 柔道整復師や、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の施術は「医業類似行為」と呼ばれ、国家資格が必要。整体やカイロプラクティックなどは無資格でもできる。これらの施術所に通う人に健康被害が相次いでおり、施術所を適切に選べるようにと、2018年に検討会を立ち上げ、ガイドラインを作ることになった。病院や歯科医院など医療機関は同年、厚労省が「医療広告ガイドライン」を出している。

 

 検討会では、柔道整復師の団体が「全国で約6割の施術所が『整骨院』を使っている。開設届を受ける保健所も認めてきた」と主張。「そもそも法令が認めていない」とする委員らと平行線をたどったが、今年に入り、新規の施術所には「整骨院」の名称を認めず、既存の施術所は移転や看板のかけ替えなどがない限り、当面の間、名称使用を認めることで合意した。

 

 柔道整復師は外傷を扱い、保険で療養費を請求できる。だが、実際は外傷の患者が少なく「もみほぐしや整体、ストレッチなど無資格でできることで稼ぐしかない」などと打ち明ける柔道整復師は多い。これらに医療保険は使えない。

 

 「肩こり、腰痛、骨折、脱臼」などと適応症を表記することも多いが、法的には認められていない。しかも、骨折や脱臼などの外傷と、医療保険が使えない肩こりや腰痛など慢性症状を区別せず表記した看板も多い。

 

 日本柔道整復師会(東京)の長尾淳彦会長は「どれが保険対象なのか患者に分からないのはよくない」と認めるが、「例えば高齢者向けの体操や運動選手のメンテナンスなど、柔道整復師の業務を広げ、それに合わせて広告のルールを決めてほしい」と訴える。

 

 厚労省のガイドライン案は、ネット広告は規制対象とせず、整体なども含め自主的な取り組みを促す方向だ。だが「どこよりも多い口コミ数」「どこに行っても治らなかった人。あきらめないで」など誇大な内容のサイトは多く、交通事故で通院する人に数万円の見舞金を贈るとアピールする整骨院もある。京都市で整形外科医院を開業している岩田啓史医師は「整体も含めてネット広告を規制しないと、死亡事例があった『赤ちゃん整体』のような危険な施術に患者が誘引されてしまう」と指摘する。

 

<医業類似行為> 国家資格のあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は主に腰痛や肩こりなど慢性疾患を扱う。柔道整復師は打撲、ねんざなど外傷を扱い、骨折と脱臼は応急処置以外は医師の同意が必要。運動療法や手技、温熱・電気という物理療法で自然治癒力を高める。医療保険が適用される外傷は、患者が自己負担分を支払い、施術所が残りの費用を保険に請求する「受領委任」が認められている。

 

内容を読んだときに、なかなかきちんとした報道内容だと感じたのと、そうなのか?という疑問と、そうだったのかという納得が、入り混じりました。東京新聞というメディアが接骨院業界について記事にしていることを素直に驚き、世間への影響を苦慮しているのかなと思いました

 

まず前提として、私は柔道整復師という国家資格免許を取得しています。普段はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師の業務範囲で仕事をしていますが柔道整復師免許を持っています。そして柔道整復師が開設する施術所が接骨院と言います。施術所というのはあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師(免許制度上ははり師ときゅう師に分かれている)、柔道整復師が開設できる医療機関(東京都の分類では。新型コロナウィルス流行した際に自粛要請がかからない施設の分類として病院、クリニックと同様医療機関とされた。)を施術所といいます。施術所というのは分類名で個別を判断するものではありません。あん摩マッサージ指圧師なら“マッサージ院”や“指圧院”、鍼灸師なら“鍼灸院”などが多く付けられる施術所の名称で、その前部分に個々をしめす文言がつきます。例えば“新宿西口マッサージ院”のような。場所+区分(この場合はマッサージ)+院という形式です。当院ですと“あじさい鍼灸マッサージ治療院”なので“あじさい”という花の名前(個人的に好きな花です)に“鍼灸マッサージ”という資格免許区分、そして“治療院”が付いています。なお「治療」という言葉は医師しか用いることができないとされていますが、“マッサージ治療”、“鍼灸治療”などその区分が前についていてはっきり分かるものはよしとされています。もちろん厚生労働省が管轄する医療系免許で施術所開設が可能な免許のものに限るようですが。

(※記事本文に出てくる広告検討会で「治療院」は不可だが、「鍼灸治療院」は可能であるという見解が示されました。また厚生労働省が運営するSNSでも“鍼治療”という文言を使用しております。しかし○○治療を一様に認めないという意見は医師側から出ていると言われています。それは根拠の乏しい行為も○○治療と称してあたかも医学的効果があるように宣伝されることを懸念しているからです。)

 

そして柔道整復師が開設できる施術所の名称は“接骨院”や“ほねつぎ院”、“柔道整復院”が法令で許されています。しかし巷で見かけるのは多くが“整骨院”で“接骨院”は少ないと思います。“ほねつぎ院”や“柔道整復院”などまずお目にかからないと思われます。記事の冒頭で今後施術所に「整骨院」という名称(屋号)が使えなくなる方向だということを述べています。この部分は正確で広告検討会で「整骨院」名称禁止の方向が示されてほぼ確定事項ですが、実行はまだという段階です。また完全に「整骨院」を使うことが禁止になるのではなく、新規で開設する柔道整復師の施術所に「整骨院」という名称を用いてはいけないというもの。今後は既存の「整骨院」に対して屋号を変更するように求めるようになるかもしれませんが、今日現在決まっていることは、今後新規で開設する施術所に「整骨院」名称が使用できなくなる方向である、ということです。

 

この事実は業界関係者は知っていることですが、世間の人にはほぼ浸透していないことでしょう。なんなら整骨院と接骨院と整体院と整形外科の区別もつかないという人もいるでしょうし。私が注目したのは「整骨院」名称禁止の方向へということをニュースとして東京新聞が取り上げたことです。そうすることによって(業界関係者だけの)知る人ぞ知る決定事項が、世間にも周知されるきっかけができたのです。柔道整復師側からすると、どうせ分からないだろうという言い訳ができなくなるな、という考えが浮かびます。

 

そもそもなぜ「整骨院」は使用できないの?なぜ過半数は整骨院の看板を掲げているの?といった疑問を記事では解説しています。実は法令で「整骨院」という名称は認められていない。そのことを記事で述べています。実は柔道整復師国家試験でも施術所に「整骨院」は使えないということを知らないと解けない問題が出ているのです。それくらい柔道整復師なら知っておかなければならないことなのです。ところが柔道整復師の団体が「開設届を受ける保健所も認めてきた」と主張していると記事で紹介。そのまま読むと法令禁止を分かった上で柔道整復師は「整骨院」の名前で施術所開設申請をして、管轄する保健所が認めてきたのが現実であるとなります。実際そうなのですが、法令禁止を無視する柔道整復師が悪いのか認める保健所が悪いのか、という問いを世間に投げかけていると私は感じます。

 

記事では「整骨院」名所を禁止にするのは誇大広告で集客をする実態があることを知らしめています。どのような点が誇大なのかを示すために画像には禁止されている広告事項を表にまとめて具体的に示しています。世間の人からするとこれら全部ダメなの?!と驚かれると思います。それくらい法律では広告内容を制限し、広告ガイドラインでも規制しております。そして誇大広告をうつ背景に、外傷患者が少なく「もみほぐしや整体、ストレッチなど無資格でできることで稼ぐしかない」などと打ち明ける柔道整復師は多いと取材から明らかにしています。更に具体的な広告内容を述べて問題を指摘しています。新聞なのですから当然ですがきちんと取材しているなと思います(失礼は承知で)。

 

ただ記事後半の内容は首をかしげます。『厚労省のガイドライン案は、ネット広告は規制対象とせず、整体なども含め自主的な取り組みを促す方向だ。』とありますが医療広告ガイドラインではネット広告も規制対象になっているはずです。かつてはホームページやネットは広告とはみなされませんでした。広告の3要素が当てはまらないため(詳しい説明は省略します)。ところが今はホームページもネット広告も広告とみなすというように変更した判断を出しています。柔道整復師に対する広告検討会もそれに準じてネット広告を規制する方向になっているはずです(医療広告ガイドラインを無視して独自ルールを示すことなど不可能でしょう)。また景品表示法は医療広告ガイドラインとは関係なく誇大広告全般を取り締まります。たとえ厚生労働省の医療広告ガイドラインが規制対象にしなかったとして結局誇大広告をして不当な集客をしていれば摘発されます。この記事を読んで“ネット広告は規制対象にされないからやりたい報道できる”と読み取られるのは危険なことだと思います

 

「整骨院」名称禁止の方向へ。広告検討会の決定は世間一般に対しては知る人ぞ知るものだったはずです。それが東京新聞が報道を出したことで周知されるようになっていくかもしれません。またAIが学習することになるでしょう。今年令和5年は従来見過ごされてきた問題が明るみに出て問題視されたと考えています(芸能、企業など)。柔道整復師業界もその流れに加わってきたように感じた記事でした。

 

甲野 功

 

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