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~新宿区施術所の新規、廃止状況~

新宿区ホームページより 施設一覧(医務関係施設・薬事関係施設)
新宿区ホームページより 施設一覧(医務関係施設・薬事関係施設)

 

 

今年2月に通称『あはき・柔整広告ガイドライン』が正式に施行されました。このガイドランは作成に6年の歳月をかけたもので、私は何年も前から注目していました。このガイドラン施行から、新宿区における施術所に対する調査に変化が起きていると考えられます。

私の持つ医療系国家資格が

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師

の4つ。この4資格は厚生労働省が管轄する国家資格であり開業権が法的に認められています。これらの資格を持つ者が開業する店舗(施設)を「施術所」と法的にいいます。開業することを法的には「開設する」と表現し、マッサージ院、鍼灸院、接骨院らの一般的に屋号に掲げる施設を総称して「施術所」というのです。上記4つの資格は保健所に届出(「開設届」といいます)を出して保健所職員らの臨検(現場での立ち合いのもと実地検査をすること)を受けないといけません。法律で決められています。そして保健所に登録されるのです。4つの資格の頭文字をとり「あはき柔整」と呼ぶことがあります。なお戦後にできた法律ではあはき柔整が一つの法律でしたが、昭和40年に柔道整復師法が単独法として独立しました。現在は通称「あはき法」と「柔道整復師法」に分かれています。そのため施術所に対する広告ガイドラインがあはき・柔整と・で分けられています。

 

あはき、すなわちあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師は“専ら出張のみの業態”での開業が認められています。これは店舗(施術所)を持たず依頼された場所に出向いて施術をする形です。視覚障害者のための特例措置だと言われています。特にあん摩マッサージ指圧師は江戸時代よりも前からあん摩さんといって視覚障害者の生業として在りました。鍼灸、特に鍼もそうです。視覚障害者の自立を認めるために出張専門という業態が今も認められているものだと考えられます。柔道整復師には施術所を持たない出張専門という業態は法的に認められていません。

現在、私の職場である東京都新宿区は施術所の一覧を公開しています。

 

新宿区ホーム くらし 健康・医療・衛生 生活衛生・動物医薬衛生施設一覧(医務関係施設・薬事関係施設)

 

施術所に限らず医療機関(病院、クリニック、歯医者)や薬局などもそうです。年に一度、年度末に登録されている施術所を一覧にしています。施術所の数でいうと令和7年3月31日(つまり令和6年度末)時点で新宿保健所に登録されているのは994施設となります。この数は相当多い方です。

このような情報は各自治体でも公開しているのですが、その内容はまちまちです。東京23区を例にとると、公開自体していない区もありますし、開設者が法人(企業)だけのものを掲載している区、開設者名は出していない区など、様々です。新宿区の場合、施術所名(屋号)は当然として、住所、開設日、電話番号、開設者氏名、開設者の住所、登録番号などかなりの情報を公開しています。公開内容は特に多いのです。ここまで公表しているのは私が調べた中では一番です。

 

更に新宿区では毎月10日に先月の施術所における新規施設、廃止施設の情報も公開しています。これは同業者にとってかなり重要な情報であり、思い切ったことをするというのが私の本音です。新規はひと月にどれくらい競合が増えたのか分かります。当然、住所や開設者氏名、開設日時も公開しているので開業者としては貴重な情報となります。また廃止もどれくらい施術所がなくなったのかが分かり、しかも開設年月日も分かるので何十年も続いたところが潰れたとか、始めてからあっという間に消えた、ということも分かってしまいます。

 

新宿区で開業している私にとって重要な情報であるので確認をし続けています。そこで大きな異変に気付きました。

 

まず毎月ごとの施術所新規開設数です。なお施術所は「届出制度」となっています。これは先に施術所を開設して、その後に開設届を提出し臨検を受けるというもの。対して病院、クリニックは「許可制度」といって事前に申請して許可が降りないと病院・クリニックを開設することはできません。そのため実際に施術所を開設した日付と開設届が出された日付が一致しない場合があります。よって以下に示す数字は開設届がその月に出された施術所の件数となります。

 

<月ごと施術所新規開設数>

令和6年(2024年)

4月 10件

5月 3件

6月 5件

7月 4件

8月 5件

9月 3件

10月 15件

11月 3件

12月 4件

令和7年(2025年)

1月 9件

2月 0

3月 1件

4月 3件

5月 8件

6月 2件

7月 4件

合計80件(内訳:柔整20、あ9、あはき21、はき27、は3)

 

ここで内訳内容を説明します。“柔整”というのは柔道整復師が開設する接骨院・整骨院を意味します。“”というのあん摩マッサージ指圧師のマッサージ院。“あはき”とは私のようにマッサージと鍼灸を行う鍼灸マッサージ院。“はき”は鍼灸院でマッサージをしない。“”は鍼だけで灸をしない院。施術所を開設する場合はどの業態で行うのかを明確にするため事前に申請をしておかないといけません。当院は私があはき柔整を持っているのですが施術所として登録しているのは“あはき”で“柔整”はありません。また稀に灸はやらず申請を出さないというケースもあります。

 

数でいうと令和6年4月から令和7年7月までで80件の施術所開設届が出されています。つまり新規で開設されたということ。昨年4月が二桁(10件)でとても多いです。年度の初めや年頭はきりがいいので開設件数が多くなると予想されます。当院の場合、準備に時間がかかり4月中に間に合わず5月になってしまいました。昨年10月が15件と多くなっています。ただしこれにはイベントにおける臨時施術所が含まれています。マラソンや業界団体がその日だけイベントブースを出して施術を行う場合もきちんと保健所に申請しないといけません。その場合ですと開設してその日に廃止するということに形式上はなります。また移転する場合も一度廃止して新規に開設するという手続きが必要になります。同じ新宿区や近所であっても住所が変わればこの手続きが必須。よってまっさらなところから始めるのも、ずっと継続していたところを事情により移転する場合も、等しく新規の開設届が出されるので数字として乗ってきます。また私のようにあはき柔整を持っていて鍼灸マッサージ院と接骨院を併設する場合はあはきと柔整で設備が違うと判断されてそれぞれの開設届が必要になります。よって見た目は一つの店舗を開業しているのが、法律上は2つの施術所を開設した、ということになり、数が増えます。

 

このような事情を踏まえるとここ1年半では毎月10件弱の新規施術所が開設されていることになります。移転したものかどうかまで一つ一つ精査はしていないので実際には少し数が減ることでしょう。

 

新規に対して施術所廃止はどうでしょうか。届出制度なのでまず廃業(廃止)つまり店を畳んでから、廃止届を出してそれが受理されて廃止したと保健所は判断します。事後報告になります。既に説明したように移転する場合でも廃止届を出して一度廃止したという手続きが必要です。その住所にない施術所は無いものとして処理しないと保健所は把握できません。よって純粋に施術所営業を辞めた場合と移転するため廃止届を出したのかは区別がつきません。またイベントによる一日あるいは数日だけの臨時施術所開設でも廃止届を出さないといけないのでその数字も出てきます。その上で月ごとの廃止件数を見てみましょう。数は廃止日でまとめています。

 

<月ごと施術所廃止数>

令和6年(2024年)

4月 1件

5月 1件

6月 3件

7月 2件

8月 6件

9月 3件

10月 4件

11月 5件

12月 9件

令和7年(2025年)

1月 2件

2月 5件

3月 3件

4月 2件

5月 23

6月 71

7月 101

合計253件(内訳:柔整44件、あ67件、あはき88件、はき44件、は3件、あは5件、医業類似行為含む2件)

 

どうでしょうか。今年令和7年(2025年)5月から施術所廃止数が異常に増えているのです。それまでは毎月一桁だったものが5月に20件を超え、先月には100件を上回っています。今年3月31日時点での新宿区の施術所登録が994件ですから10%ほどが7月で廃止となったことになります。この数字が異様でこのブログを書くことにしたのでした。

 

情報を精査すると1日に10数件廃止という状態。人口の多い新宿区でもおかしなことです。それも開設日が昭和とか平成初期といった年季の入ったところが多い。また同じ日に近い住所の施術所が一斉に廃止。不自然です。最初は大型のビルが建て直しになりテナントに入っていた施術所が一斉に廃止届を出したのかと予想しました。新宿の繁華街だと考えられます。ただ住所を細かくみると同じビルではないことも分かります。そして7月になると件数が3桁になり、これはおかしいと思いました。

同業者に相談してみると、施術所を閉めたのに保健所に廃止届を出していないところを保健所が廃止手続きをとったのではないか、という意見を得ました。その観点で公開情報をみると確かにそう思われる点があります。廃止情報には「廃止届収受日」と「施設廃止日」の項目があります。「廃止届収受日」は「施設廃止日」よりも後の日付になります。これは施術所としては廃止した日付の廃止届を提出する。保健所はそれを受け取り内容の確認をした上で処理をする。そのため施術所の「施設廃止日」と保健所の「廃止届受収受日」にタイムラグが発生するのだと思われます。ところが廃止件数が爆発的に増えた今年5月からは「廃止届収受日」と「施設廃止日」が一致するケースが大量に見られます。これは現実はもう無くなっている施術所を保健所が確認し、その日のうちに廃止手続きの処理をしたためではないかと考えられるわけです。このように「廃止届収受日」と「施設廃止日」が同日の廃止件数を出し、それを引いた実際の廃止件数と思われる数字を出してみました。

 

令和7年(2025年)

5月 23件のうち17件:実数と思われるのが6件

6月 71件のうち70件:実数と思われるのが1件

7月 101件のうち99件:実数と思われるのが2件

 

今年5月以前は「廃止届収受日」と「施設廃止日」が同日になるものはなく今年5月から出現します。それを抜くと6、1、2件とそれまでとほぼ同じ程度に廃止件数となります。そうなると昨年4月から今年7月までの廃止件数253件を補正すると67件(柔整28件、あ9件、あはき13件、はき13件、は3件、あは1件)となります。新規開設80件に対して67件なので妥当な数字でしょう。

 

ではなぜ今年5月から保健所の廃止済施術所のチェックが始まったのでしょうか。これも同業者(新宿区で開業する方)からの指摘ですが、今年5月のゴールデンウイーク明けに新宿区から施術所に向けてあはき・柔整広告ガイドライン施行を通知するハガキが送られました。当然当院にも届き驚いたものでした。何か違反しているのかと。すぐに新宿区保健所担当部署に電話すると、新宿区内全部の施術所に送っている通知であり、当院が特に何か広告違反をしているわけではありませんと言われたのでした。

そして廃止処理をしたと思われる件数は今年5月20日から急激に増加しています。このことを照らし合わせると5月のあはき・柔整広告ガイドライン施行通知のハガキが住所不定で届かなかった施術所をピックアップし、営業実態がないと確認できたものから順次、廃止処置をしているのではないかと考えられるのです。それを裏付けるようなケースがありました。近所にずいぶん前に潰れた治療院があり、テナントは空なのですが立て看板が付けたまま放置されていました。その治療院が先月廃止されたことになっていました。確実に今年まで営業していたとは考えられません。廃止届を出していなかったものを保健所が確認して廃止にしたように思われます。1000件近くある施術所をチェックするのは大変なので今月までかかったのではないでしょうか。

 

これらの予想はおそらく当たっていると思われます。来年の3月31日現在の施術所一覧が公表されると相当件数が減っているでしょう。すなわち新宿区の保健所がきちんと施術所の実態を調査しているのだと考えられます。業務なので当たり前のことですが、当事者側からすると本気でやり出したな、という感想です。これまではあまり調査をしていなかったと感じます。施術所の実態を確認した。その先はどうするのか。考えてしまいます。

 

甲野 功

 

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