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先日は雪が降る中、東京理科大学FANTASISA会主催『FANTASISA FESTA』(以下、ファンタジスタフェスタ)に参加しました。これはALL東京理科大学舞踏研究部OBOG会であるFANTASISAが年に一度行うOBOG会になります。
学生競技ダンス連盟、略して学連。昨年はネットフリックス映画『10DANCE』が世界配信されて話題になっています。本作はプロダンサーを描いた作品ですが、学連という組織に所属した大学生が参加する世界があります。アマチュア部門の一つですが、学連はその歴史と性質から特異な世界になっています。社交ダンス界でも学連の存在は大きく、現在のプロ選手にも学連経験者は多数います。紹介した『10DANCE』で俳優さんにダンス指導を行った先生の多くは学連卒です。私は東京理科大学に入部して学連を知りました。そこで後の人生が決まったと言えます。
学連の部活名称はなぜか「舞踏研究部」とすることが多いのです。競技ダンス部という場合もありますが。舞踏研究部を略して舞研、そこから学連選手を舞研人と呼ぶことがあります。「舞研人」という言葉が通じるのは学連経験者の証といえます。ALL東京理科大学舞踏研究部と表記しましたが、頭のALLは何を意味するのか。学連独自のシステムで共同加盟校という制度があります。東京理科大学は理系大学であるため女性部員が少ないこともあります(年によりますが)。そこで学習院大学と提携して活動をしています。東京理科大学が代表校で学習院大学が共同加盟校。学連の世界ではひっくるめて「理科大舞研」とみなします。ですから学連経験者が対面すると、大学はどこですか?それは共同加盟校の方?という質問が最初によくあります。女性部員だと代表校なのか共同加盟校なのか分からないことがあります。出身大学が共同加盟校でも代表校をまず話すというのが学連の常。そういう事情もあり正式名称はALLと付けて共同加盟校も込みで「理科大舞研」であるとします。
理科大舞研はまた特殊な歴史があり、昼間部と夜間部で部が別々だった時代があります。東京理科大学は東京物理学校から始まり、設立当初は夜間部の私立学校でした。働いたあとに理学を学ぼうという。そのため、今も一部残っていますが、夜間部が充実していた大学。学連でも夜間部の理科大舞研と昼間部の理科大舞研が別々に学校登録していた時代もあります。そして夜間部と昼間部が統合されました。その際に軋轢があったそう。私が入部した当時も昼間部舞研の部室と夜間部舞研の部室が別々にあり、それぞれ主将、部長、会計など係がいました。私が4年生の時はⅠ部(昼間部)主将でALL副主将という役職でした。学校からみると主将で学連からみると副主将という。昼間部と夜間部の区別なく共同加盟校も含めて“一つの理科大舞研”であることを示す意味でALLが付いていました。このような歴史から長らくOBOG会がありませんでした。他校からなぜ理科大はOBOG会が無いのかという声もあり、OBOG会が発足したのが約20年前。その名称がFANTASISAとなりました。そしてOBOGが集まるイベントとしてファンタジスタフェスタが誕生します。
新型コロナの影響で数年間ファンタジスタフェスタは開催されず。また毎年土曜日に開催され、土曜日も院を開けている私はしばらく参加しませんでした。10年前の創部50周年記念パーティーで一つ役割を終えたという気持ちもありました。昨年、役職のオファーを受けたのと父が亡くなったことも遠因でファンタジスタフェスタに参加しました。それから1年。今年も参加しました。
最初は恒例ではなかったのですが近年はファンタジスタフェスタで卒部デモンストレーションを行います。部歴が4年生、あるいは事情により卒部するという部員が最後にダンスをみせる。今年の4年生には、2年生の頃から当院に来ていた選手がいます。やはり思い入れがあり、昨年は出場する学連公式戦のほとんどを観戦しました。最後の4年生で結果を残せるか気になっていました。昨年12月に最後の全国大会、全日本選手権大会を終えて引退となりました。余興のような大会を経て、今回のファンタジスタフェスタ卒部デモンストレーションで完全に引退となります。文字通り、二人のラストダンスを見ておきたいと思い、仕事を早めに切り上げて東京理科大学葛飾キャンパスに向かいました。
総会では新しい世代の役員が仕切ります。来年度は創部60周年なので記念パーティーを開催するといいます。私は50周年パーティーが大変だったことを思い出し、新しい役員でまたやるのかと思いました。10年の月日を感じます。
ファンタジスタフェスタではダンスタイム、卒部デモンストレーション、プロデモンストレーション、トライアルなどがありました。私が入部したときの4年生がいて、またもっと上のOBOGさんも。この年齢でも先輩がいるということに歴史を感じます。そしてよく動いている。年を感じる日々ですが、先輩方ががんがん踊っているのを見ると情けないことを言っていられないという気持ちになります。
現役生と踊るとそのレベルの高さに驚きます。成績をチェックしていて、競技会で上位に残ってはいないのに。令和の学連はここまでレベルが高いのかと。新型コロナの影響を受けていない世代は着実にコロナ前の学連状況に戻り、かつ上達スピードはコロナ前よりも速い。かつては学連で初めて競技ダンスをする初心者しかいませんでしたが、今は経験者が珍しくない。小学校からやっている選手もいます。更にSNSで無数の動画が無料で観ることができ独自で研究できます。私の学連時代は高価なVHSビデオしかなく、店頭で流れされている動画を食い入るように観て記憶したものでした。練習にしても簡単に動画撮影ができませんでした。今はスマートフォンで簡単に撮影、すぐにチェックできます。普段学連時代OBOG練習会に参加していますが現役生の実態は想像以上に進化していることを痛感しました。正直、今の理科大舞研は強豪校ではないのです。それでもこれだけ上手いのです。
プロデモンストレーションでは理科大舞研を卒部したプロ選手がラテン種目を披露しました。歴史的にラテンの方が強い理科大舞研ですが、プロとなると圧倒的にスタンダード(ボールルーム)選手が強いです。久しぶりにラテンのプロが誕生し安定して活動しています。コロナ禍の学連を経験した若い世代のプロが登場し、新しい時代を感じました。
ファンタジスタフェスタ後は懇親会。駅前の居酒屋で数十名規模の飲み会。未成年者が固まって飲酒させないことを厳守していますが、私が学連時代の平成初期と変わらない光景。令和ではもう珍しいことでしょう。酒を注ぐ。先輩にグラスを持って挨拶にいく。上級生の許しがないと食事をしない。コロナ禍を経て絶滅したような光景があります。頼むはビールのみ、上級生が食事に手をつけなければ下級生は食べてはいけない。時代錯誤のようなルールが学連にはあります。これは個人で飲み会をするときに全体の価格を抑える学生の智恵。無理なルールを強いる代わりに上級生からお金を払うので下級生は無料或いは非常に安価になるというもの。この学連ルールは学連OBOG練習会では続いており、年齢を問わず女性は無料、部歴が上の方からお金を(当然多めに)支払います。飲み放題で固定料金の場合は意味がないのでファンタジスタフェスタ後の飲み会は食事をどんどんしていましたが(そうでないと食品ロスになります)。
個人的に印象深かったのが、もう社会人になった後輩のOBOGからお世話になりましたと挨拶に来られること。もう卒部して10年以上経って子どもがいる後輩から、現役時代はお世話になりましたと。失礼ながら私としてはあまり手をかけた実感も記憶もなく。特に何か助けたかな、と内心つぶやきます。私としてはさほど現役時代に接触がなかったと思う後輩でも、向こうは印象が深いのかもしれません。私の方は10年、20年も前のことで忘れていることもあります。あの時の大学生が社会人となり、結婚して家庭を持ち。成長したのだなと感慨にふけます。後輩からしても私の独身時代や開業前のことを知っているのだなと思い返します。
先輩たちが現役生に、何で舞研に入った?と質問をしています。そして自分のことを話す時に、これで人生が決まった、と述べている。本当に学連を知り、理科大舞研に入ったことで、その後の人生が決まりました。私もそうです。人生の岐路に立っている若者たちをみているのかもしれないと考えてしまいました。60年続く理科大舞研。大勢の人生に関わったきたのだろうな、と思った一日でした。
甲野 功
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