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~冬季ミラノ・コルティナオリンピック~

JOC日本オリンピック委員会ホームページより
JOC日本オリンピック委員会ホームページより

 

 

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック(以下、ミラノ・コルティナオリンピック)が閉幕しました。

 

JOC - 日本オリンピック委員会

ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック TEAM JAPAN

 

オリンピックは毎回かなり熱心に追っかける方です。過去にこのブログでも東京オリンピックパリオリンピックについて書きました。冬季オリンピックについては初めて触れます。

 

熱狂の中、閉会式を終えたミラノ・コルティナオリンピック。連日結果やニュースを追いかけていたので、終わってしまったという喪失感が若干あります。これまでの夏期オリンピックでもそうでしたが。前回の冬季北京オリンピック平昌オリンピックもかなり熱が入りましたが、今回のミラノ・コルティナオリンピックは過去最高に注目した冬季オリンピックでした。理由の一つに子ども達と録画した中継を観たことにあります。これまではオリンピックに興味を示さなかったのですが、今回はかなり気に入ったようで、特にフィギアスケートは家族で楽しく観戦しました。

 

この仕事、すなわちあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師になってからはオリンピックをみる目が変わりました。結果だけでなく選手、サポートメンバー、環境らに注目するようになります。私の仕事は競技ダンス選手のサポートが大きなウェートを占めています。というより競技ダンス選手、特に学生競技ダンス選手をみたくてこの仕事に就きました。裏方気質が強くなっていきました。競技ダンスはオリンピック種目ではないので関係はありませんが、この職に就いているならどこかでオリンピアンのケアをしてみたいという願望があるわけです。周囲にもオリンピアンの帯同でオリンピックについていくのが夢という人が何人かいました。フィギアスケートは競技ダンスと同じ審美スポーツ(※容姿が強く影響する、芸術性が重視されるスポーツ)ですから、音楽、衣装、振り付けなどが気になりますし、そのサポート内容も予想してしまいます。

 

それ以前から国際スポーツ大会はにわかファンでその都度注目します。オリンピックに限らず、サッカーワールドカップ、ラグビーワールドカップ、WBC。世界が注目する世界大会での日本選手の成績は一通りチェックしています。スポーツが好きでいつもサッカー、ラグビー、野球らを観ているかというとそんなことは一切なく、大きな国際イベントのときだけ注目するのです。それは患者さんとの話題になるからという現実的な理由があるのですが、日本の国力や政策も関わってくることが分かってきてから熱心に追いかけるようになりました。大学生、会社員の頃まではオリンピックに対して興味がなく、さすがに金メダルを取ったら注目しますが、そうでなければわざわざ情報を取りに行く対象ではありませんでした。根がマイナー思考というか、人と違うことをする、自分が好きなことに邁進する、世間がみんな向いている物事から敢えて目をそらせる、という性分でした。プロ野球人気が凄かった昭和末期にプロ野球をみない小学生で、Jリーグが大ブームでもサッカーをみない中高生。プロレスに熱中し、大学以降は競技ダンスばかりでした。意識が変わったのが2004年のアテネオリンピック(夏期)から。脱サラをしてこの業界に入っていた私は、自分で仕事を生み出し人生を切り開いていかないといけないという自覚が芽生え始めていた頃。鍼灸マッサージ専門学校に入学した年です。連日のメダルラッシュで単純に面白かったアテネオリンピック。どんどんメダルが取れるようになりました。それが後に日本が投資をした結果だと知り、より一層興味がわきました。

 

今はオリンピックを観るときは、国力、政治、地政学、戦争、企業努力、歴史といった社会的な面をよく考えるようにしています。子ども達と開会式や中継を観るときは、よく話をしています。アナウンサーが「国と地域から参加しています」と言ったときの“地域”とは何か。国ではない“地域”とは。オリンピック憲章にあるオリンピックとはどのようなイベントなのか。スポーツで優劣を決めることよりも上位ある概念があります。今回のミラノ・コルティナオリンピックでは黒人の選手をほとんどみません。それは何故なのか。2年前のパリオリンピックでは日本を倒して柔道団体金メダルをとったフランス柔道チームはほぼ白人がいなくて黒人選手ばかり。そしてオリンピックが政治アピールに利用されるようになった歴史。企業にとってもオリンピックは戦い(競争の)の場であること。そういう見方をするようになっています。

 

今回のミラノ・コルティナオリンピックでは日本は金5、銀7、銅12の合計24個という過去最高の成績をおさめました。前回北京オリンピック2022(中国開催)で出した合計18個という記録を更新。メダル個数だけで言えば世界5位でメダルランキング(金メダルの個数、同数なら銀メダルの個数、続いて銅メダルの個数、というよう算出するランキング)では10位という結果。強豪国になりました。金メダルの数でも自国開催の長野オリンピック1998と並ぶ結果です。私の年齢だと冬季オリンピックは成績が出ないのが当たり前だった時代を知っているので、この結果は感慨深いものがあります。

 

冬季オリンピックについてみてみると。第1回大会が開催されたのは1924年のシャモニー・モンブラン(フランス)。今回が第25回目でほぼ100年前のこと。夏期の近代オリンピックが1896年にアテネ(ギリシャ)で第1回が開催されてから28年後。第1回冬季オリンピックには日本は参加していません。第2回から第6回までは参加するもメダルなし、あるいは不参加。日本選手が冬季オリンピックで初めてメダルを取ったのは第7回のコルティナ・ダンペッツォオリンピック1956。奇しくも今回と同じイタリア開催でちょうど70年前のことでした。それから第8回から第10回までメダル無しが続き、第11回の札幌オリンピック1972で金1個、銀1個、銅1個の合計3個でした。これは全て男子スキージャンプ70m級(現在のノーマルヒル)で日本が表彰台を独占しました。しかし自国開催でもスキージャンプ以外でメダルを取ることができないという現実もあります。なお札幌オリンピックも1940年に開催が決定しましたが、戦争を理由に開催権を返上しています。32年を経ての冬季オリンピック開催でした。また当時は初のアジア開催でもありました。こういう背景もオリンピックを知る上で大切にしています。

第12回になるとまたメダル無しへ。第13回から第15回まではメダル1個が3大会続きます。大きく飛躍したのが第16回のアルベールビルオリンピック1992(フランス開催)で合計7個。第17回リレハンメルオリンピック1994(ノルウェー開催)では合計5個。そして第18回は自国開催の長野オリンピック1998で、金5個、銀1個、銅4個の合計10個という2桁の大台に乗せます。この時私は大学3年生でよく覚えていて、スキージャンプ団体の逆転金メダルは今でも語り継がれています。

 

長野オリンピックで燃え尽きた感のある日本代表はまた低迷していくと言えます。第19回ソルトレークシティーオリンピック2002(アメリカ開催)では銀1個、銅1個の合計2個に。次の第20回は20年前で今回と同じイタリア開催のトリノオリンピック2006では金1個だけでした。荒川静香選手の女子フィギアスケートシングルのみ。イナバウアーが大ブームに。このとき2004年のアテネオリンピック(夏期)では金16個、銀9個、銅12個の合計37個という大成果。冬季は弱いという印象を強く持ちました。20年でメダル合計1個から24個まで増えるとは想像できません。第21回のバンクーバーオリンピック2010(カナダ開催)では銀3個、銅2個の合計5個で飛躍の兆しが見えます。フィギアスケートで浅田真央選手が銀、高橋大輔選手が銅とフィギアスケート大国への片鱗が現れてきます。記憶に新しい第22回ソチオリンピック2014(ロシア開催)では金1個、銀4個、銅8個に。フィギアスケート男子シングルで羽生結弦選手が衝撃の金メダルを獲得します。またスノーボード・男子ハーフパイプでは平野歩夢選手の銀メダルも印象的。冬季オリンピックでもメダルが獲得できるようになってきます。第23回平昌オリンピック2018(韓国開催)では金4個、銀5個、銅4個の合計13個という長野オリンピックの個数記録を上回ります。そして前回第24回北京オリンピック2022(中国開催)では金3個、銀7個、銅8個の合計18個という結果。

 

このようにメダルの個数だけをみても日本の選手が長野オリンピック以降低迷したのが、驚くほどのV字回復をしたことが分かります。メダルの個数が増えたのは単純に種目が増えているという面もありますが、だからといって取れるというわけではないので、やはり競技レベルが向上しているのです。日本全体としては平成不況、失われた30年と言われるように経済が低迷している時期。2011年には東日本大震災、2020年からはコロナ禍という困難があるのに。そこには選手の努力が当然ありますが、サポートする企業、団体、地域、そして国が影響していると思います

今回のミラノ・コルティナオリンピックではフィギアスケートが大活躍をし、ペア金、団体銀、シングル男子銀、銅、シングル女子銀、銅の合計6個ものメダルを獲得しました。フィギアスケート強豪国となった日本ですが、突然こうなったわけではありません。伊藤みどり選手が金メダルを取ることができず、容姿が重要視されるフィギアスケートでアジア人が優勝するのは不可能、スタイルの良い白人には敵わないという風潮がありました。それが浅田真央選手を筆頭に4回転ジャンプを成功させた安藤美姫選手、日本人はおろかアジア人初の金メダリストとなった荒川静香選手らが登場し女子フィギアスケートを強くしていきます。一方で男子のフィギアスケートは弱いという見方をされていました。代表枠を1組取れるかという感じで。男子がメダルを取るのは夢と思われていたのを高橋大輔選手が銅メダル獲得で歴史を動かします。その後、羽生結弦選手、宇野昌磨選手らにより男子シングルも強豪となり複数メダル獲得を続けています。今大会でりくりゅう(三浦璃来・木原龍一)ペアがフィギアスケートペアで金メダルを取りましたが、ペアでメダル獲得が初めてです。ずっとペア、そしてアイスダンスは選手が育たず世界には歯が立たなかったのです。ペアダンスの成長がフィギアスケート団体銀メダル獲得をもたらしたわけです。このように長くみていると成長の課程が分かります。現在オリンピック個人では出場できず、団体戦でも点数が取れなかったアイスダンスも、今後は強化が進むことでしょう。アイスダンスが強ければ団体で金メダルが取れることは素人目にも明らかですし、当の選手や協会が一番理解しているはず。社交ダンスに近いアイスダンスに私は期待しています。

 

フィギアスケートの話を続けると、日本が強いのは確かですがロシアの選手がいなくなったことも大きな要因です。フィギアスケート王国ロシアが出場していたらこれだけの好成績は残せなかったかもしれません。国をあげてのドーピング問題でROCとしての出場となり、ウクライナ侵攻と前回大会のフィギアスケート選手ドーピング問題もあり、今回はAIUでの出場でした。ここにオリンピックがスポーツの競技会であるだけでなく、それより重要な平和の祭典であることを示唆しています。スポーツとしてみるなら選手にドーピングをすることはスポーツマンシップに反する行為。それ以上に戦争反対や国同士の政治を持ち込まないことがオリンピックで定められています。例え国同士が仲が悪い、戦争状態でも。オリンピックの場では関係ない。フィギアスケートのエキシビションで各国のトップ選手が共演し、集合写真におさまる光景はオリンピックの真の姿だと思いました。数日前まで熾烈なメダル争いをしていた選手たちが。

 

今回のミラノ・コルティナオリンピックでは連日、感動と悔しさを味わいました。オリンピックだからみる。そしてオリンピックから学ぶ。メダルに手が届かなかった多くの選手がいて、その裏に数倍のサポートするメンバーがいます。4年に一度の限られた舞台で結果を残すために人生を賭して向かうアスリートと裏方で頑張る人々を尊敬します。

 

甲野 功

 

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