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先月の江の島にある江島神社辺津宮に続き中津宮を紹介します。
神奈川県藤沢市にある江の島。有名な観光地でマリンスポーツのメッカ。2021年の東京オリンピックでも競技会場となりました。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師にとっても重要な場所で杉山和一が修業して管鍼法を編み出した場所とされます。杉山和一とは江戸時代に実在した盲目の鍼師、按摩師。徳川将軍の加護の下、世界初の視覚障害者支援施設を作りました。江の島にはお墓と銅像があります。
その江の島にあるのが江島神社。江島神社は3つの宮からなります。前回は一番手前にある辺津宮を紹介しました。その辺津宮から歩いて約5分して現れるのが江島神社中津宮です。江の島全体のほぼ中央に位置する中津宮。サムエル・コッキング苑が近くにあります。
中津宮はもともと上之宮といいました。文徳天皇の仁壽(仁寿)3年(853年)に慈覚大師によって創建されました。平安時代初期から続いています。『江島縁起』によれば、欽明天皇13年(552年)に欽明天皇の勅命で江の島の洞窟(岩屋)に神様を祭ったのが江島神社そのものの始まりとされています。弘仁5年(814年)に弘法大師空海が岩屋本宮を創建します。そして慈覚大師が上之宮を創建したことで、現在の江島神社三宮体制の基礎が築かれることになります。
中津宮の御祭神は市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと)。市寸島比賣命は天照大神(あまてらすおおみかみ)と須佐之男命(すさのおのみこと)との誓約(うけい)で生まれた神で、宗像三女神の一人(一柱)。神様は柱で数えるので一人というより一柱とするのが正しいです。古事記によれば天照大神と須佐之男命は姉・弟の関係。無法者の須佐之男命が天照大神に会いにきたとき、天照大神は須佐之男命が狼藉を働かないか警戒しました。身の潔白を示すために誓約という儀式を行います。そこで生まれた女神が宗像三女神です。この誓約により須佐之男命は認められます。神話なのでなぜ神様を生み、その結果が身の潔白を示すのか理由がよく分からないところがありますが。しかし須佐之男命は高天ヶ原で大暴れをしてしまいます。それに怒った天照大神は岩屋(洞窟)に閉じこもってしまいます。この後に強引に岩屋から出されるのですがこれが天の岩戸隠れという有名なエピソードです。
宗像三女神は文字通り三柱の女神で、江ノ島神社三宮にそれぞれ祭られています。前回紹介した辺津宮には田寸津比賣命が、次回紹介する奥津宮には多紀理比賣命が。そして中津宮には市寸島比賣命。宗像三女神の三柱を総称して江島大神とします。
そして市寸島比賣命は古くから弁財天と習合しています。日本は神仏習合といって神道と仏教が一緒になり神様と仏様を同一視する考えが根付いていました。その一つで、市寸島比賣命と弁財天は同じものとするようになります。江島神社は日本三大弁財天に数えられるのはこの理由からです。江の島の至る所に弁財天を祭る様子がみられます。その中でも一番関りが深いのが市寸島比賣命を祭る中津宮かもしれません。江ノ島神社で唯一、朱色の社殿で非常に美しいのです。平安時代からありますが、江戸時代前期の元禄2年(1689年)に江戸幕府5代将軍である徳川綱吉により本殿・幣殿・拝殿からなる権現造りの社殿が再建されます。冒頭に紹介した杉山和一は徳川綱吉の頭痛を鍼で治して大いに加護を受けました。現在も美しい様子を保っていますが、これは平成8年(1996年)に行われた全面改修により、元禄当時の社殿を再現したことよります。更に平成23年(2011年)には幣殿、拝殿の床板を張り替え、御札授与所も再建されました。拝殿の格天井には四季折々の花鳥画(154枚)や彫刻が施されております。
弁財天は琵琶を持っているように芸能にご利益があるとされます。また絶世の美女ということで縁結びにも。歌舞伎役者の参拝も盛んでした。参道の脇には江戸歌舞伎「市村座」と「中村座」が奉納した石灯籠があります。昭和60年(1985年)には燈籠奉献200年を記念して音羽屋七代目がしだれ梅を植樹しております。また歌舞伎役者の手形(五代目尾上菊之助、七代目尾上菊五郎)も残されています。朱色の社殿が表すようにとても華やかさのある中津宮です。
更に社殿左手奥には庭園があります。なお入れる時間は指定がありますが無料で拝観できます。こちらは平成23年(2011年)に新たに整備されました。そこには水琴窟(すいきんくつ)という音響装置があり、地中に埋められた甕に水滴が落ちると音色を奏でます。
江島神社三宮で一番華やかといえる中津宮。江の島散策では中間地点といったところ。朱色の社殿を堪能してください。
甲野 功
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