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~ペルソナ勉強法~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 学生時代合宿した体育館
学生時代合宿した体育館 

 

現役の鍼灸専門学生に対して「勉強すること」と「国家試験(国試)対策」はイコールでは無い、試験対策だけに集中していると鍼灸師となった段階で苦労をする、という旨を書きました。

 

これには現役の学生からすると

(問題が簡単な時期の)国家試験を合格した人間の言い分だ

という釈然としない気持ちもあることでしょう。
10年前と現在では、今の方が学ぶ量も試験の難易度もずっと上です。教科書の内容も改訂されていますし。

 

また専門学校の教員からすれば、

とにかく国試に受からせないと話にならない、臨床の事など卒業後に考えてくれ

という本音があると思います。


実際に、このような意見を色々耳にしています。
学生と接する機会があるとはいえ、私はもう学生でなく臨床鍼灸師です。更に教員免許を持っていますが専門学校の教員をしているわけではありません。学生も教員の立場も、完全には理解できません。

 

ですが、現役の開業鍼灸師として臨床現場に立つ者としては

いま鍼灸専門学生である人達の多くが国家試験をパスして鍼灸師の資格を取り、その大多数が現場に出てくるはずで、その時にせっかく苦労して取得した資格を活かせるのか?続けていられるのか?

ということを懸念しています。

 

業界の隠語で「3年生存率」とか「5年生存率」なる言葉があり、鍼灸師の資格を取っても卒後3年から5年でかなりの割合で鍼灸の世界から身を引くと言われています。妊娠出産、育児、体調不良、介護などやむを得ない理由で離脱することもあるでしょうが、単に生活できない面白くない、といった理由では悲しいことです。

 

国試対策は必要ですが、将来に活きる勉強も学生のうちにしてもらいたい。


そこで私自身がどのように学生時代、いや現在も、勉強しているか方法を紹介したいと思います。苦言を呈したでけで対策を述べないのはフェアではないと思います。できるかできないかは別としてこのような勉強方法があることを知ってもらえれば幸いです。

 

まず書いている私の鍼灸専門学生時代はどうだったのかを述べてみましょう。

 

はっきり言えば、成績は良かったです
鍼灸マッサージ科では成績優秀者に入り(呉竹会賞)、卒業式で表彰されました。卒業試験とお灸の実技試験で各一度再試験になりましたがそれ以外は大丈夫。国試本番も9割の得点を取り合格しました。
次に進んだ柔道整復師科では1年時に学科から一人しか選ばれない特待生になり、半期分の学費免除を受けました。柔道整復師科では学科も実技も再試験になったことはありませんでした。国試も9割くらいの得点で合格しています。
そして鍼灸マッサージ教員養成科では学園賞という一番上の賞状を頂き、名目上は首席で卒業しています。

 

ではどうして成績が良かったのか。

地頭が良いのでしょうと言われることがありますが、実はそうでもありません。勉強に限らず、慣れていないことは焦りが出てミスが多いです。


何が違うかと言えば2つあると思いますが、その一つが私が「ペルソナ勉強法」と呼んでいるものです。それを説明します。

 

マーケティングの世界にはペルソナマーケティングというものがあります。

商売をする際にどの層をターゲットにするのかは重要な事で、それにより広告や宣伝、価格帯、内容などが大きく変わります。一般的には年齢や地域、男女、収入などで分けるのですが、ペルソナマーケティングではある一人の人間を想定してターゲットにします。実在の人物でも架空の人物でも構いませ


架空であれば詳細に設定を作ります。

例えば

東京都新宿区牛込柳町駅から徒歩5分のところに住んでいる34歳女性。既婚。3歳と0歳の娘がいる。育休明けで金融の仕事に復帰した。共働きなので時短勤務でも生活は苦しくない。低層マンションの3階に住み、近所に実家がある。大学まで実家暮らしで、大卒後に就職し独立。28歳で結婚し、第2子妊娠を期に実家のそばで暮らすことを決意。配偶者は公務員で年収500万。二人の娘を保育園に通わせている。趣味は学生時代からしていたスキー。子供が産まれてからは運動不足を感じている。授乳のため好きなスイーツが食べられない。

といった感じ。

 

細かくペルソナ(人格)を設定し、この人に響く方法で商品、サービス、広告、宣伝などを決めていくというやり方です。一人に絞ることにより方針が統一されブレなくなり、その人だけに狙ってたとしても引き寄せられるように他の人にも響く、という手法がペルソナマーケティングの大まかな説明です。

 

開業してこのペルソナマーケティングを知ったのですが、専門学生時代には同じような事を考えて勉強していたと思いました


すなわち、ある特定の誰か(ペルソナ)のために勉強するということ。

 

私がこの業界に入った理由は競技ダンサー、特に学生競技ダンス連盟の選手をサポートしたかったからです。専門学校で勉強するのと並行して母校の競技ダンス部のサポート及び研究を行っていました。特に夏の合宿は大いなる学びの場でした。

 

そして学校の授業では、後輩の選手の顔を思い浮かべて彼ら彼女らにどう活用できるか、を意識していました。
授業内容がつまらない、これが何の役に立つのか?、今後の人生に関係ないでしょう、ということがあっても、あの子には使えるかも、この子がもしかしたら病気になったらどうしよう、という気持ちで受けていました。

 

最初は筋肉、神経、経穴、経絡、など覚えることがありすぎて全体が掴めませんでした。

それらを、「後輩に伝えるにはどうしたらいいか」とか「この(授業で習った)エピソードは話のタネになるな」など頭で浮かべて勉強をしていました。筋肉の勉強では作用をダンスに置き換えて覚えたものです。
そうすると反対にダンスの動きが、あの筋肉を使ってあの関節をこのように動かし神経はどこを使っているといったことが理解できるようになってきます。それに伴い神経を通る骨の穴や隙間、筋肉の走行まで考えが及び、疾患まで頭が入るようになります。


授業で習ったことは全て後輩の選手に還元できるように意識することで、当事者意識が生まれて頭に入ってくるようになります。東洋医学の哲学ですら社交ダンスに当てはめたらどうなるだろう、と考えて理解していきました。

 

他人事だと意欲がわかず、記憶も理解もしづらくなります。それを「国試に出るから!」という必ず通る大イベントに合わせて当事者意識を持つこと自体は間違ってはいないでしょう。
しかし、国試だけが全てになれば、国家試験合格と共に勉強したこと全てが他人事になり、頭や心から消えてしまうことでしょう
勉強をする時点で具体的な誰かを思い浮かべて、その人に活用することを意識して考えると効率が良くなり、生きた勉強になると思います。

 

では具体的に思い浮かべている人に全く関係がない項目はどうでしょうか。
例えば仲の良い男性をペルソナとして想定していたときに、婦人科疾患の勉強はどうするのか。鍼灸院を開業するための法律はどう覚えればよいのか。
その人と関係ないことは他人事ですから勉強に身が入らないことになります。

 

そういったときは、ストーリーで合わせるか、本当に想像の中で将来会う人を作り上げてみてください
前者は想定している男性が結婚して奥さんが病気になったときに助けられるように婦人科疾患も勉強しておこう。後者ですと、将来出会う大切な女性が婦人科疾患を患っていたらその時は助けたい、といった感じです。もしくは、大切な人のために将来鍼灸院を開くから開業要件、例えば待合室の床面積はいくつか施術室の床面積はいくつか、を覚えていくのです。

 

また未来の理想の自分をペルソナにしても良いでしょう

私も鍼灸専門学生当時は独身でしたが、将来結婚して子どもが生まれるときに先天性疾患や妊娠出産に関する知識を理解しておこうという気持ち授業に臨みました。

 

具体的なペルソナを設定する
誰かのために勉強をする

 

このような姿勢があると、受け身から能動的に頭が切り替わります。あの人のために活用できる知識はないか、技術はないか、という気持ちになると勉強が頭に入ってきます。
私は鍼灸でも柔道整復でも国家試験過去問題集を購入したことがありません。たまに図書館で借りるくらいで教科書、授業のプリントだけで勉強していました。


鍼灸専門学校3年間の勉強が卒業後に役立ったことは言うまでもありません。それは4択を解くための勉強ではなく、人間の問題を解決するための勉強だったからだと信じています。

 

甲野 功

 

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