治療時間

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~視野を広くもつ~

先日行った鍼灸学生向けの勉強会のこと。テーマは「産後~育休中のママさんのための「鍼灸マッサージの実際」でした。


その日はほとんど話だけで終わったのですが、ひとつだけ実技の注意点を話しました。小さなお子さん(赤ちゃんから乳幼児)が同伴のママさんを治療するうえで、一番そして唯一、気を付けることを。

 

その注意点を話す前に、参加した学生さんに一人が患者さん(ママさん)役をしてもらい、一人が術者として模擬で腰に鍼を刺してもらいました。実際に体に刺すことはなく、鍼管(鍼を刺すための道具)を腰に当てて鍼を刺すふりをするだけでした。

 

この動作の中で注意点を意識してもらう意図がありました。

 

私の予想では、学生さんは誰もできなくて、そのことを指摘するつもりでした。ところが予想が外れて3名全員ともしっかりできていたのでした。嬉しい誤算といいますか。後輩は優秀だったと思いました。

 

このとき私が何を見ていたかというと、
患部である腰部分だけでなく患者さん(ママさん)役の人の様子を確認しているか
ということでした。

 

3名とも全員患者さん役の表情を見ようと目配せをしていました。1年生だから経穴の場所とか刺入角度とかに気をとられるものだと予想していたのですが、きちんと受け手のことを気遣うことができていました。実際に鍼を刺しているわけでもないのに。
まだ1年生の夏です。これはちょっとした驚きでした。

 

たまに後輩に、鍼にせよ按摩指圧(いわゆるマッサージのこと)にせよ、教えることがあります。
そのとき特に言うことが、
患者さんの状態をしっかりと観察すること
なのです。

5月に行われた学生向け施術見学会でも話した内容です。


上手く鍼が刺せているか、経穴(刺す場所)があっているか、押している場所が適切か、圧がしっかり入っているか、など技術的な事はもちろん重要なのですが、患者さんの事をないがしろにしないように言います。自ら行っている技術に集中しすぎて、患者さんが痛がっていたり、不快に思っていたり、我慢していたりしていたりしていないか“顧みない”。これは大きな問題だと考えます。

 

専門学校の授業ならば受け手も学生であり、正しい技術を習得するための場でありますから、相手のことは二の次で良いと思います。失敗すること、上手くいかないことも勉強ですからある程度は学生同士で痛い目辛い目にあわせる、自分もあう、というのも構わないと考えています。
対して、私が教えるときは専門学校教員ではなく臨床鍼灸マッサージ師の立場でするのですから、絶対に患者さんの事を忘れないようにしてもらいます。

治療を施している患部だけでなく、患者さんの手(指)や足に目を配らせること。これを必ず言います。


信頼関係が構築されていなかったり、患者さんが鍼灸マッサージ師に対してへりくだったりするときは、痛くても「大丈夫です」と口にすることが往々にしてあります。辛い、苦しい、痛いという状態でも「良薬は口に苦し、痛いのは仕方ない」とか「頑張っている先生に悪いわ」といった気持から我慢させてしまうことがあります。


治療に痛みが絶対に無いとは言いませんが、余計な我慢は交感神経を優位にさせるため(リラックスしないため)効果が消されることがあるのです。
我慢しているときは口では平気と言いながらも指先が動いたり、体がぴっくと反応したり、足の指がせわしなく動いたりするものです。このような反応を見過ごさずに、ちょっと変だなと思ったら再度患者さんに確認する必要があります。それ以前に患者さんの口に出さない動きを見過ごさない意識が必要なのです。

 

この点をチェックしたのですが、試した学生さんは見事に全員できていたというわけです。

 

このことが、小さなお子さん連れのママさんではより重要になります


月齢によりますが幼いわが子が心配でありますから、術者は患者さんだけでなくお子さんにも目を配ることが絶対に必要です。(※なお、これは一人でお子さんとママさんを同時に診る状況を想定しています。誰か別の人が補助に入ってもらって育児をしてもらう場合では話は変わります。誰かにお子さんを預けてくるのが難しいので同伴OKの鍼灸院に需要があるわけですし、その環境を選択してうちに来院されます。

 

うつ伏せになればママさんの視界からお子さんが消えることもあるので私が様子をみておかないといけません。その時に大切な事が
視野を広くもつこと
なのです。
患部だけでなく、患者さんのことだけでなく、お子さんの状態まで確認できるように視野を広くもつこと。このことを学生さんに教えたかったのです。

 

月齢によりますが、お子さんの動向は常に見ておきます。
ハイハイもできない赤ちゃんならば、寝がえりで顔が下になり息ができなくなることを注意します。
歩き回れるならば院内の機材を触らないか注意します。お子さんが怪我をしてはいけないし、院内の機材が壊れてもいけません。
用意してある玩具に飽きたら走り回ったり、ママさんの身体に乗っかってきたりすることがあります。鍼をする場合は患部に手を出してこないように細心の注意を払います。

 

このようにお子さん連れの場合は常に視野を広く持って全体に気を配らないといけません。
その上でできる範囲の治療方法を選択していくことになります。過去の例ではお子さんが動くので鍼は避けて按摩指圧といった徒手手技だけで対応しようと考えていましたが、思ったよりもお子さんが馴染んでくれて大人しくしてくれたので鍼治療に変更し、更に低周波パルス通電まで行ったことがありました。特に低周波パルス通電は鍼に電気を流す方法で、重たい器材を使うのでお子さんが側にいると危険なので考えていなかったです。

 

患者さん、自らの技術、そしてお子さん。どれにも目を配ることが小さなお子さん連れのママさんを一人で診るときに必要です。

目の前の患者さんに集中したくてベッド一床、マンツーマンでしか治療に入れないシステムで開業したのですが、鍼灸整骨院時代の不特定多数の患者さんが出入りする職場の経験が活きているというのが奇妙なものです。

 

甲野 功

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