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~講義再現 柔道整復師とは~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 講義集合写真
某日、あじさい鍼灸マッサージ治療院に鍼灸マッサージ師が集まりました。

 

 

少し前の話になります。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師向けに
「柔道整復師とはどのような存在か?」
というテーマで講義をしました。


あじさい鍼灸マッサージ治療院で数名の参加者を前に話をする機会に恵まれたのです。

 

柔道整復師

 

ダブルライセンスとも言われますが、鍼灸師(正確な厚生労働省の資格免許分類では「はり師」と「きゅう師」に分かれます)、あん摩マッサージ指圧師と柔道整復師の資格免許を両方持つ人も一定数います。

私がそれに入り、
あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師(はり師、きゅう師)、柔道整復師
の4つの資格免許を保有します。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 柔道整復師専門学校時代
柔道整復師専門学校時代。柔道の授業が必修です。

 

専門学校には鍼灸師もしくはあん摩マッサージ指圧師のみが取得できる通称専科と鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師が同時に取得できる本科があります。


3年以上の勉強で所定のカリキュラムを修め、学内認定が取れれば、厚生労働省認可の国家試験(毎年2月末)を受験することができ、それに合格すれば免許を取得できるのです。
そのため鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師を両方持つ人がある一定数います。鍼灸とあん摩マッサージ指圧とは互いの業務内容が割と知っている関係です。

 

これが柔道整復師になるといまいち何をしているのか分からなくなります。知っているようで本当のところが分からない。


そこで柔道整復師でもある私が、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師側から疑問に感じている、もしくは知らないであろう<柔道整復師とは?>という点をレクチャーしました。

そのときの講義内容の一部を再現します。


これまで人前でしてきた内容は共有しておくことと、文章に残しておいた方が良いと判断したため、鍼灸専門学校教員養成科の特別授業パルス通電についてのときと同様にやっておこうと。

 

※実際の講義内容を省略して書いています。
※甲野個人の考えが多分に含まれています。柔道整復師免許だけの方が読むと違和感をおぼえる可能性があります。
このような注意を事前にしておきます。

 

 

それでは始まります。

 

柔道整復師の成り立ち
時代を遡り、戦国時代。この頃の武道には「殺法」と「活法」がありました。両者は表裏一体の関係です。


「殺法」は字のごとく相手を殺害、もしくは制圧するための攻撃手段、「活法」は反対に怪我を治す技術と大雑把に捉えてください。稽古や修行で傷を負うからこそ治す方法も身に付くといいますか。書籍『医心方』(丹波康頼.984年)には脱臼、骨折、打撲、創傷などの記載があります。


江戸時代では武術家が道場を運営しながら市井の人々の外傷治療を施し生活をしていたと言います。明治維新以降近代になると柔道家がそこに位置するわけです。

活法が発展し後の柔道整復術へ変わっていきます。なお殺法は平和な世になるにつれて精神修養の手段、スポーツ、競技へと変化していきました。
柔道整復術は明治時代までは漢方医学の一部としてあり、大正時代では柔道家が行う施術であったのです。

現代でも柔道家が道場と併設して整骨院を設置しているところがあります。また総合格闘技の選手が柔道整復師になり道場と整骨院の両方を運営している場合もあります。流れは今でも残っています。

柔道整復師が行う柔道整復術は武道、武術から生まれたと言えます。


この点が主に養生を起源とする鍼灸やあん摩・指圧とは発祥が異なるところでしょう。日常生活で自然と起こりうる問題に対応するのではなく、外傷といういわば能動的な問題に対応して発展してきました。
(主に)知らぬ間に起きた体の不調と予防に対応してきた鍼灸やあん摩指圧と外傷起点(ケガをしたきっかけ)がはっきりしている急性外傷を扱ってきた柔道整復術。
対照的ですね。

 

柔道整復師の本分
このように柔道整復師は急性外傷を取り扱います。具体的には主に脱臼、骨折、捻挫、打撲、挫傷の5つ。

 

言い換えると柔道整復師は
外傷治療における保存療法のプロフェッショナル
となるでしょう。


保存療法とは「観血療法」と対になる言葉で、手術(血が出る=観血)を行わないでギプス固定や包帯固定、徒手整復で外傷に対する処置を行うこと。
もちろん<観血療法のプロフェッショナル>は整形外科医にあたります。


柔道整復師が最も得意とする症例は整形外科領域になり、本来整形外科医とは連携すべき関係にあるのです。

 

柔道整復師は医師の指示がないまま応急処置として<骨折、脱臼の整復>を行うことが許されています。「整復」とは骨、関節を正常な位置に戻す操作のことです。


原則として医師以外に整復操作をすることは法律で認めてられませんが、応急処置に限り整復ができます。その後、患部を適切に固定し速やかに医療機関(病院、クリニックなど医師がいるところ)へ患者さんをおくることが必要です。
脱臼・骨折の場合、医師の同意があればその後の経過観察や後療(外傷後の回復を促す治療)を行うことができます。

 

「柔道」家が主に担ってきた。加えて「整復」をすることができる(法律面、技術面、知識面どれにおいても)。よって「柔道整復」師という名称になるわけです。

 

実はここが凄い柔道整復師
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師に比べて優れている点を紹介しましょう。

 

まずは包帯をはじめとした固定術
包帯には綿包帯、弾性包帯、ギプス包帯などの種類があります。弾性包帯にはゴムが入っていて弾力があるので巻きやすいのですが、綿包帯はまさに綿でできているので巻くのがとても難しいです。簡単にはできないので練習が必要です。

 

柔道整復師は一反(30m)の綿さらしを裂いて綿包帯を作ります。
2等分に裂くと幅15cmのものが2つできます。それを2裂包帯といって幅15cm。これはさらし包帯とも言われてギックリ腰の際にコルセット代わりに巻くことがあります。また妊婦さんのお腹に巻いて安産祈願をする風習が残っていますがこのときに巻くのもさらし包帯。私も妻が妊娠中に巻きましたが、市販の腰ベルトより調節できて快適だと言われました。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 さらし包帯
1反の綿を裂いて作ったさらし包帯(2裂、幅30cm)


3等分ならば3裂包帯(幅10cm)、4等分ならば3裂包帯(幅7.5cm)、以下5裂(幅6cm)、6裂(幅5cm)となります。固定する部位によって適切な幅を選ぶことが重要で、整復術と並んで重要な柔道整復師の技術になります。

 

環行、亀甲帯、折転帯、麦穂帯といった基本固定法からデゾー、ベルポー、ジュールといった固有名詞のついた応用まで、疾患と部位によってかわる固定術を広く学びます。

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 綿包帯による下腿の折転帯固定
綿包帯による下腿の折転帯固定


包帯固定だけでなく三角巾、シーネ、ギプス、テーピングなどの固定法も習得します。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 ホワイトテープによる足首のテーピング
ホワイトテープによる足首のテーピング
あじさい鍼灸マッサージ治療院 キネシオテープとホワイトテープによる膝のテーピング
キネシオテープとホワイトテープによる膝のテーピング

 

そして整復技術。整復操作は柔道整復師の重要な技術。最も多い肩関節脱臼の整復をはじめ、徒手整復のやり方を学びます。

 

整復をするためには病態把握が必要です。骨折しているのか脱臼しているのか。神経や血管が傷ついていないか。
診断は法律上できませんが、応急処置のためには病態を把握して手を加えるべきか否かの判断が必要です。


例えば複雑骨折(開放性骨折)の場合、感染症の恐れがあるので速やかに救急搬送すべきです。整復ができる技術があってもやるべきではありません。最善策を選ぶために病態把握能力が求められます。

 

私は鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師を先に取得した経験から言いますが、その緊急性ゆえ病態把握能力は柔道整復師の方が上だと思います。東洋医学を学ばない分現代医療に勉強時間を割くことが理由にもなりますが。

 

 

以下、省略。

 

 

このように鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師との比較で柔道整復師とはどのようなものか説明しました。
講義は続きがありますが、ひとまず文章ではここまでにしておきます。

 

甲野 功

 

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