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~鍼の話 シリコンコーティング~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 毫鍼の種類
セイリン、ユニコのSタイプはコーティングあり、山正のNEOはコーティングなし

 

 

鍼。基本的には体に刺す鍼を毫鍼(ごうしん)と言います。毫鍼以外にも鍉鍼(ていしん)という刺さないで擦る・押すという鍼もあります。他にもいくつか種類があるのですが、鍼といったら基本的に毫鍼のことだと考えていいでしょう。毫鍼を用いて接触鍼という体の中に刺さずに皮膚を突っつくような使い方をする場合もあります。また円皮鍼、皮内鍼といったとても短くトゲのような長さで体にわずかに刺す鍼の種類もあります。

鍼師という仕事は医師以外で人の体にハリを刺すことが許されている稀有な存在です海外では理学療法士がドライニードルと称してハリを人体に刺す療法が適応されている例があります。伝統的に入れ墨をいれる彫り師と言われる方々は針状のものを体内に入れています。そういった例外を除くと、医師の指示の下注射や点滴を行う看護師を除けば、日常的に他人の人体に鍼を刺せるのは鍼師くらいでしょう。

 

鍼も針もハリも全て「はり」と読みますが、私は鍼灸師が治療に用いる道具としての意味で用いるものは全て「鍼」と表記します。注射針のように医療用で用いるものは「針」、それ以外の尖ったものは「ハリ」という感じで表記を分けています。鍼師が使うものは鍼でなければ傷害罪になると考えていて、<体内に異物を刺すというリスク以上に効果が期待できる>という条件下で特別に許可されている行為が鍼施術だと認識しています。セルフケアだからといって鍼を鍼師免許を持たない人が自らの体に刺すのは控えないといけないと思います(医師は法律上、鍼を行うことが許されているので別ですが)。免許を持たない人が鍼、特に毫鍼を用いて体に刺すことはいけないと考えるのは(例え自らの体にも)免許制度という前提が崩れることもありますが、知識が無いことが一番の懸念事項です
注射針と、鍼と、安全ピンの先にあるハリは、全て別物です。注射針と鍼は医療器具であり、処分する場合は医療廃棄物として処理しないといけません。安全ピンはゴミ箱に捨てればおしまいですが、医療廃棄物はそうはいきません。危険はないから、他人に刺さないから、といって資格が無い人がネットで購入して使うことは廃棄するところまで考慮すると取り扱いに注意が必要です。一般の人が医療廃棄物を処理する知識はあるのでしょうか。注射針どうよう感染症のリスクがありますからゴミ箱に捨てる、あまつさえ山中や山に捨てるなどあってはなりません。それと医療器具である以上、鍼は滅菌処理が施されています。かつては繰り返し使うためにオートクレーブという器具で滅菌処理をして再利用していましたが、現代ではディスポーザブルといって使い捨ての毫鍼がほとんどです。これは注射針も同じです。資格が無い人に滅菌と消毒に違いが分かるのでしょうか。取り扱い方には専門知識が必要です。

 

さてここまで鍼の刺し方や種類については書いてきましたが、今回は毫鍼の素材について説明しようと思います。

 

現在の毫鍼はディスポーザブルのものが主流で、素材がステンレス製のものがほとんどです。銀製の銀鍼や金でできた金鍼の毫鍼も一部ありますが価格が高いので臨床で使われることは稀です。銀鍼は鍼灸専門学校の最初の頃に授業で触っただけでそれ以外に人に刺した経験がありません。金鍼に至っては現物を見たことが一度か二度あるくらいです。金属アレルギーがほぼ出ないという点でもステンレス製の鍼が主流です。価格も比較的安価に抑えられます。今の日本の鍼灸師でステンレス製以外の毫鍼を日常的に使うひとは相当少ないものと予想できます。その最もポピュラーはステンレス製の毫鍼には、シリコンコーティングされたものとされていないものがあるのです。その言葉通りにシリコンで鍼の表面をコーティングしているか否かの違いです。


シリコンコーティングしているかどうかで鍼師の刺す感触は大きく変わるのです

 

鍼をシリコンでコーティングすると刺しやすくなります。鍼が体内に入りやすくなります。感触としては抵抗なく鍼が進む感じです。コーティングしていない鍼は鍼がやや刺さりづらく、進むのに抵抗がある感じです。この感触は毫鍼を使う鍼師にはとても重要な感覚で意見が分かれるところなのです。鍼が刺しやすい方が患者さんは痛みを感じづらいといえるでしょう。抵抗がないのでスッと入るような。どうしても注射の印象が強いので毫鍼の経験がないひとには鍼(この場合は体に刺す鍼)は痛いというイメージがあります。実際に刺されてみると注射とは違って鍼は痛くないと思えるようにすることは重要なことです。シリコンコーティングすることで鍼が入りやすく刺入痛が一般的に少なくなります。もちろん痛い場合は痛いのですが。

それと鍼灸学生にとっては最初に刺しやすい、入りやすい鍼を使うことで技術習得に有利です。私の母校ではセイリン社の鍼を使うのですが、セイリン社のシリコンコーティングされたステンレス製の毫鍼を採用しています。刺しやすいので初学者に使いやすく受け手も負担が少ない。自信がつきやすくなるでしょう。シリコンコーティングされたステンレス鍼の前に扱いが難しい銀鍼を授業で使ったのは今振り返ると違いを知らしめるためだったのかもしれません。

 

良いことづくめのように思うシリコンコーティングの鍼。それを好まない鍼師もいます。シリコンコーティングされた鍼ではすいすい入っていくので怖い、抵抗感が無いと不安になる。鍼から硬結(こり感)が触知できない。鍼からの情報がない。抜けづらい。などなど敢えてシリコンコーティングしていない鍼を好む場合もあります。低周波パルス通電という鍼に電極クリップを刺して電気を流す手法があるのですが、そのときにシリコンコーティングされた鍼は抜けやすくなるので使わないという人もいます。特に顔に毫鍼をする場合、あまり深く刺すことができない場所ですので電極クリップの重みで抜けてしまうことがあるのでシリコンコーティングがないものを敢えて選択するということがあります。刺しやすくて入りやすいということは抜けやすいということでもあるのです。また渋り感という表現をすることがあるのですが、鍼が体内を進んでいかない感触から体の中の状態を知ることを重視する鍼師はシリコンコーティングされた鍼は敬遠されがちです。抵抗があるから分かることがあると。そしてシリコンコーティングされていなくとも技術で刺入痛や鍼が入っていきづらいことはカバーできると考える傾向があります。

 

私の場合、シリコンコーティングされた毫鍼をよく使います。その方が自分にも患者さんにもストレスがないと考えるからです。鍼灸師として就職した現場ではシリコンコーティングしていない毫鍼を使うところで、最初は苦労しました。学生時代のやり方に慣れていたので。どちらがいいのかは人それぞれで、こちらが正しいということではありません。ユニコというブランドの毫鍼はシリコンコーティングされた鍼とされていない鍼の2種類の毫鍼があるので選択することができます。なおシリコンコーティングのことを教えてもらったのが鍼灸師資格を持つユニコ(日進医療器)の営業担当さんでした。こういった話を通じるのは同じ鍼灸師でないと厳しいこともあり、色々と教えてもらいました。

 

どのような鍼を使っていくかは鍼師としてスキルアップしていく過程で方針は変わることもあるでしょう。私もこれから、シリコンコーティングがないものに限る、に変わるかもしれません。新しい鍼を発見してくこともあるでしょう。このように毫鍼の素材そのもので使い勝手がかなり変わることがあります。これに太さ、長さも加味されるので自分に合う毫鍼を探すことも卒業後の課題かもしれません。資格を取って専門家になるということは毫鍼そのものとも向き合うことです。我々鍼師は状況にあった最善と思われる鍼を選択して臨床に臨んでいます。一見針金のように見える細い物体ですが、メーカーさんの制作技術によってできいるのです。

 

甲野 功

 

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