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~学生向けあん摩実技セミナーを開催~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 9月2日あん摩実技セミナー
1年生の学生向けあん摩実技セミナーの一幕

 

 

昨日9月2日にあじさい鍼灸マッサージ治療院で按摩の実技セミナーを開催しました。

参加者は都内鍼灸マッサージ専門学校の1年生4名

感染予防のため換気をしながら全員マスク着用で行いました。

 

5月にも実技セミナーを行いましたが今回はその時とメンバーが異なり、内容も揉捏に注目した内容でした

鍼灸の外部セミナーは数多くありますが按摩の実技セミナーはあまりありません。ちょうど最近、同業のあん摩マッサージ指圧師さんと交流をして新しい考えを仕入れたところでした。臨床で使える内容を伝えたいと意気込んでいました。

 

事前に参加学生さんへ内容に関する要望を募ったところ、頭部への手技揉捏に関することが届きました。頭部への手技は満足度が高く、世間のリラクゼーション店でも人気です。もう一つは揉捏。「じゅうねつ」と読み、按摩の基本技術であり最も使用頻度の高いものと言えるでしょう。個人的な意見としては揉捏がしっかりできれば按摩の大部分はできると考えています。反対に簡単に真似できるようで実は難しいものだと言えます。

 

1年生の学生さんは入学後初めての実技試験が終わった、あるいはこれからという時期。技術が評価されることを意識している頃。クラスメイトでも上手い人、そうでない人のバラつきが出ていると思います。頭部への手技はさておき、揉捏にしっかりと向き合う回にしようと決めました。前回のセミナーでも感じましたがまだまだ揉捏ができていないな、という。できていないというより理解していないなと思いました。

 

揉捏とは平たく言うと「主に筋肉を揉む動作」。揉むことなど子どもできるでしょう?と思うかもしれませんが、しっかりと筋肉を捉えて揉むというのはそう簡単なことではありません。

 

なぜできないのかを初学者の動きを観察して出した結論は

・皮膚の遊びをわかっていない

・単純な圧力不足

の2つでした。

 

細かくみると解剖学知識が乏しいとか指の使い方とか他にも原因はあるのですが、大きくはこの2つだと考えました。

皮膚の遊びとは皮膚表面には可動性があるということ。体の表面を指で軽く触って動かすと動くと思います。これを便宜上“皮膚の遊び”としています。例えると枕カバーを動かしても中に入っているクッション材は動かないような。筋肉を揉んでいるつもりでも皮膚表面を動かしているだけでその下にある筋肉を動かせていない(揉めていない)。皮膚の遊びを越えられていない、皮膚表面が動いているのを揉んでいると錯覚している。そのようなことが起きているなと感じました。

 

ではなぜそのような事態になるかというと単純に圧が入っていないから。皮膚の遊びの奥にある筋肉まで圧が届いていない。枕カバーしか触っていなくて(動かしていなくて)中にあるクッション材まで届いていない感じ。

 

圧が入らないのは純粋に押す力が弱いのと垂直圧ができていないからだと考えました。垂直圧とは指圧の三原則の一つ体の表面に対して垂直方向に圧を入れること。これが斜めになると皮膚の遊びにより滑って奥まで圧が届きません。また圧を入れるためには力が最低限必要ですが、それに耐える手ができているかどうかが重要です。押す力があってもそれに指先が耐えられないと圧を入れることができません

これらのことがこの時期の1年生には課題になっていると判断して内容を決めました。

 

まず自己紹介の時間を取ります。今回は別の学校の学生も参加したので初対面もありました。少し互いの素性を知るようにします。

続いて、あん摩と指圧とマッサージの特徴や体の使い方について座学で説明をします。

 

 

あじさい鍼灸マッサージ治療院 9月2日あん摩実技セミナースライド
スライドで解説

 

 

そしてペアになってもらい、被験者と術者役に分かれます。被験者役の頭部に垂直圧を入れる練習をしてもらいます

 

頭部は頑丈で少し押し方が変でもダメージが小さい。形が丸いので垂直に圧を入れることは、場所によって大きく角度が変わります。ほとんど筋肉がなく皮膚の下が骨であるので皮膚の遊びを認識しやすい。仰向けで行い、被験者が感想を言えばすぐに分かるという利点もあります。

 

頭部に対して手掌(手のひら)、手根、指腹、指尖など色々と押します。敢えて斜めに押し皮膚を滑らせてその感触を体感してもらいます。圧が表面に対して垂直に入っているときの押している手の感覚を覚えてもらいます。そこから頭皮を揉む動作をして揉捏の練習をします。頭部には大きな筋腹が無いので割と揉捏しやすいので感触をつかんでもらいます。

 

頭部ばかり刺激しているとのぼせてくるのでその後はスネにある前脛骨筋を母指(親指)で垂直圧を入れた後に線状揉捏(縦に揉む動作)をします。前脛骨筋は筋腹がしっかりしていますが胴体ほど太くないので角度を定めるが難しく揉捏するのも簡単ではありません。頭部に集まった血を下の方に流す意図もありますし、被験者が目視で確認できる場所でもあります。

 

実際に参加した学生さんにやってもらうと頭部の垂直圧は割とできています。圧が斜めに入ると感じ方が変わるので被験者も術者も分かりやすい。術者もやっている感がありますし、被験者も効いている感覚が得やすい。ところが前脛骨筋になると途端に困惑しました。事前に私が予想していた通りでした。

垂直圧を入れるには体勢を定めないといけません。ポジションの取り方が分からない。圧のかけ方も姿勢が悪いと垂直に入れているはずが斜めになって滑ってしまいます。しっかりと皮膚の奥の筋肉を捉えられたとして、それを動かす(揉む)ことができない。皆さん四苦八苦しました。

 

参加者各々に改善点を伝え、ペア同士で話し合いながら試行錯誤します。ここでは前脛骨筋を母指線状揉捏するという課題でしたが、きっと想像以上に難しかったと思います。

更に応用で腓骨筋(長腓骨筋、短腓骨筋)の揉捏をしてもらいます。腓骨筋はスネの外側で前脛骨筋よりも細くスタンスや触り方が変わります。授業で習った解剖学や経絡経穴の知識を思い出してもらいながらやってもらいました。

足ばかりでは足りないので背中の脊柱起立筋や殿筋の輪状揉捏や線状揉捏も試してもらいました。表面積が大きくなるとまた体勢が変わります。

 

学生さん達は揉捏という技術に向き合ったと思います。ただ揉む。されど揉む。その人の癖や体格、指の形など個人差があるのでかなり細かくみました。4名と少数なので一人一人指摘できたと思います。

良かったことは、どんどん学生同士で意見を交わして改善案を挙げていたこと。言われた通りするだけでなく、なぜできないのか、今良かったのはどうしてなのかを議論して能動的に練習していた姿見られました。一つのことができるとまた別のことができるようになっていきます。短時間でも成長が見られますし個性も出てきます。自然と自分にあったやり方がみえてくるものでした。

 

私も十数年前、習ってああでもない、こうでもないと悩みながら練習した頃がありました。自分自身まだまだ発展途上で、学生さんの成長過程をみると基本を振り返ることができます。今回は臨床に使える応用みたいな話は一切せずに細かく基本的な動作に集中しました。私もこれだけ揉捏という基本手技に向き合ったのは久しぶりで、よい復習になりました。声を挙げて、そして参加してくださった学生さんのおかげです。

 

甲野 功

 

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