開院時間

平日: 10:00 - 20:00(最終受付19:00)

: 9:00 - 18:00(最終受付17:00)

 

休み:日曜祝日

電話:070-6529-3668

mail:kouno.teate@gmail.com

住所:東京都新宿区市谷甲良町2-6エクセル市ヶ谷B202

~続・社交ダンスの陰陽論~

学連OBOGダンス同窓会にて
学連OBOGダンス同窓会にて

 

 

5月19日。その日、私は『DANCE GRAND Harajuku』で行われた「学連OBOGダンス同好会」に参加していました。学連とは学生競技ダンス連盟の略。大学で出会った学生競技ダンスの世界がその後の人生を大きく左右したと言えます。社交ダンスを競技として行う競技ダンス。大学時代は時間の多くを練習に費やしたものでした。はっきり言って大した成績を残せなかった私は色々な未練を残して卒部。その気持ち(というか怨念)がずっと残っていて今の仕事に繋がっているのです。学連OBOG同窓会は東京農業大学OBOGの新井組が主催しております。新井先生由紀子先生も同世代ということで、毎回参加しています。

 

当日は国際大会の東京オープン、社交ダンスの演劇FOCUS、地方大会の東北オープンといった多数の社交ダンス関連のイベントが開催されており、参加者は少なかったです。私も東京オープンが開催されている東京体育館を横目に会場に向かいました。参加者が少なかった分、ダンスタイムよりもレクチャータイムが多くなったのでした。毎回、簡単なステップを新井先生組が教える時間があるのですが、今回はかなり本格的な内容になりました。

 

競技ダンスはスタンダード種目とラテンアメリカン種目に分かれます。学連では専攻を2年生になるときに決定して、専攻の種目ばかりを練習します。私はスタンダード専攻(当時はモダンといいました)。新井先生はラテンアメリカン専攻。お二人の学連現役当時の姿はよく覚えています。他大学の超強豪選手でした。私の場合、ラテン種目ができなくてモダン専攻に行ったので別世界の様子に見えていました。

当日は新井先生のルンバ(※ラテン種目5種目のうちの一つ。学連では最も早く習うラテンの基礎科目のような種目)のレクチャーがありました。今までにない細かい理論とテクニック。普段、同じ『DANCE GRAND Harajuku』で「学連OBOG練習会」ラテンの部で金光先生のレクチャーを受けるのですが、それともまた違った感じでした。正直なところあまり理解しきれないというのが本音ですが。その中でとても印象的なことがありました。その話を聞いたときに私は“これは陰陽論だな”と感じたのです。

 

私の本業はあん摩マッサージ指圧師、鍼灸師。他の医療職種との大きな違いは東洋医学を知っていることです。現在の国家資格で東洋医学をきちんと学び国家試験に出るのはこの職種だけです。最近はNHKをはじめテレビ番組で取り上げられることが多くなった東洋医学ですが、東洋医学概論という教科書で全体像を踏まえて学ぶのはごく一部の人でしょう。東洋医学の基本中の基本が陰陽論なのです。

陰陽論とは簡単に説明すれば、万物は陰陽に分けられると考えること。全ては陰陽に分けられる、陰陽のバランスが崩れると人体に影響が出る。よって陰陽バランスを整えることが体調改善に繋がる。こういった考えが根本にあります。

陰陽論とは万物を陰と陽の2種類に分けることができるというもの。ただしそれは相対的な関係で、絶対ではありません。二つを比較してどちらが陰に属し、片方が陽に属すということ。少々無理やりと思われるところもありますが具体的な例を挙げましょう。

 

陰:暗い、下、重い、中心、北など

陽:明るい、上、軽い、外側、南など

 

何となくイメージで分かるかと思います。

男女では男性が陽、女性が陰。こういうと気分を害する女性がたまにいます。女は家に居て家庭を守れということか。陰キャみたいに言うなとか。ただ東洋医学で基本的に陰の方が重要で、大事なものは中心で守られてそれを陽が外側で守っているという考え方になります。ですから“陽は陰の使いなり”という言葉があり陰の召使い的な存在が陽という見方もできるのです。

 

この陰陽論を社交ダンス、競技ダンスに応用できると私は考えたのでした。

 

社交ダンスでは往々にして男性をリーダー、女性をパートナーと呼ぶことがあります。これは男性の方がリードといってタイミング、ステップの選択、進路方向を決めるのです。そのリードに対して女性はフォローという動作で受け止めます。これはルールであり、例えば女性同士で踊る場合はリーダー役としてリードする役割をする方を決めます。陰陽論に当てはめるとリーダー(男性)は陽・パートナー(女性)は陰となります。またスタンダード種目は陰・ラテン種目は陽となります。これは相対的な比較でスタンダード種目の中でもワルツとクイックステップを比較すれば前者が陰、後者が陽と言えます。同じくラテン種目でもチャチャチャは陽、ルンバは陰。さらにドレスでは黒色は陰・白色は陽、音楽ならば長調は陽・短調は陰という感じのように。

 

これが男女の役割になると陰陽が逆になります。社交ダンスでは「リーダーが幹、パートナーは花」もしくは「リーダーが額縁、パートナーは絵画」などと言われ、華やかな部分を担うのはパートナーの役割でパートナーを輝かせるのはリーダーの役割なのです。役割で考えるとパートナーが陽、リーダーが陰となります。衣装やメイクではパートナーは華やかな色合い、多彩な形から自由にドレスを選ぶことができますが、リーダーの場合はスタンダードならば原則燕尾服で色もほぼ黒のみ(今は若干色が増えていますが)。少なくともパートナーより派手な衣装を着るリーダーを競技会で見たことはありません。またショーダンスやデモンストレーションというソロで踊るときにリフトという相手を持ち上げる表現があるのですが、リーダーがパートナーを必ず持ち上げています。パートナーがリーダーをリフトするというのは(学連であった伝説のデモ以外)聞いたことも見たこともありません。上:陽、下:陰ですからここでもリーダーが陰、パートナーが陽の役割をします。このように属性と役割において陰陽が逆転するなと私は考えていました。

 

陰陽論で捉えることに何の意味があるのかという話になります。東洋医学での基本に虚実(きょじつ)という概念があります。エネルギーが足りない状態を(きょ)、余計なエネルギーが余ったり滞ったり邪がいる状態を(じつ)といいます。これを陰陽であてはめると陽実陽虚陰実陰虚の4パターンに大まかに分けられます。細かくはもう少しありますが簡単にするためにこの4つのみで考えます。この状況を競技ダンスに当てはめると

 

陽実:パートナーがやりすぎてカップルバランスが悪い

陽虚:パートナーが花になり切れず目立っていない

陰実:リーダーが前に出過ぎてリーダー本位になっている

陰虚:リーダーが踊れていなくてガタガタ

 

というように当てはめることができると考えています。社交ダンス経験者だとよくあると思うのではないでしょうか。この虚実という状態に対処する考え方が補瀉(ほしゃ)です。弱った状態(虚証)にエネルギーを与えることを(ほ)と言います。反対に余計なエネルギーを取ってあげることが(しゃ)です。虚していれば補を、実していれば瀉を、というのが東洋医学の基本的な治療概念になります。

これまで数多くの後輩のダンスを見てきましたし、当院には競技ダンス選手が来院します。このときに陰陽・虚実・補瀉の考え方が役立ちました。リーダーが動きすぎていてパートナーがついていけない(陽実)ならリーダーを抑えるようにする(瀉)。リーダーが弱すぎる場合(陽虚)はとにかくリーダーを強く見せるようにさせる(補)。個人についても前後や左右でバランスが悪いならば(虚実が生じているならば)整えるように施術をする(陰陽バランスが整った状態を中庸といいます)。もっと細かいのですがこのような見方を臨床で行っています。

 

さて本題に戻って学連OBOG同窓会でのレクチャー。新井先生は男性が外側で女性よりも少し枠が大きく、包み込むようにしましょうと話しました。基本的に男性の方が女性よりも体格が大きいので包み込む雰囲気を出すこと。由紀子先生もリーダー役をするときはメンタルを切り替えて覆うような感覚を持つといいます。それを聞いた時には私は内心で、陰陽論だ、と呟きました。ここで男女の陰陽がダンスの役割で元に戻るというか、そのままなのかと。

リーダーはパートナーよりも大きく包み込む感覚を持つ。これがとても腑に落ちたのです。そもそも私がラテンができなかった理由に、恥ずかしいという照れが大きかったです。学連時代に笑え、叫べ、外にアピール、目立ってなんぼだ、と練習会で言われてきました。それができませんでした。バカっぽくて。先輩はバカになるんだよと言うのですがなかなか殻を破れませんでした。それがこの話を聞いたときに、リーダーの陽である役目を果たせばいいのだと感じました。だからパートナーよりも大きく、強く、包み込むように。テクニック云々ではなく最低限の役目を果たすためにそう立ち振る舞わないといけない。そう考えたらメンタルが変わったのです。社交ダンスよりも東洋医学を学ぶ方が長くなったせいか、陰陽論で捉えたらスッと馴染みました。だから上手く踊れるのかというと別の話ですが、それまであったメンタルブロックは解けたような気がします。

 

もう一つ。由紀子先生がラテンのリードは肘を引いてしっかりと引く動作があると教えてくれました。金光先生もフックという表現をしていました。この感覚がよく分からなかったのです。どこかで肘を引くとパートナーが倒れるからやめろと習ったような記憶がありました(20年以上前なのでいつ誰にかは不明)。ところがリーダーは肘を引く、パートナーはしないがという話を由紀子先生から聞いて、そうなの?!という驚き。スタンダード種目ではまずパートナーを引くというリードをしません。後ろに引き込むという動作はしますが肘を引いてしっかりと引くということは。それをするとホールドという構えが崩れます。スタンダード専攻の修正なのか肘の位置を動かさずにいる癖というか先入観がありました。肘を引いてフックすることでパートナーが前進を感じる。その体重移動のやり取りが重要だと以前金光先生が教えていたのですが、感覚が掴めませんでした。結局スタンダード的なリードをしているから分からなかったようです。

これをまた陰陽論で考えたら、私はリードにおいて補しかしていなくて瀉をしていないと気付きました。与える、プッシュする補ばかり。あるいは前進したパートナーの壁になるだけ。引く、フックする瀉が無かった。中庸が大事でそれを理想とするだけ。こう思ったのでした。ちなみに経絡治療では補が基本で瀉はあまりやりません。中医学では瀉も大事します。中医学より経絡治療寄りの考え方をする私はもしかしてラテン種目のリードも同じになっていのかと思いました。そう考えたらスタンダード種目でのリード方法も観点が変わりました。レクチャー後のダンスタイムでちょっと動き方を変えるに至りました。

 

社交ダンスはペアダンス。原則男女で踊ります。文化も関係しますが、自ずと役割が決まります。そこに東洋医学の基本である陰陽論を組み合わせると新たな発見がありました。

 

甲野 功

 

★ご予約はこちらへ

電話   :070-6529-3668

メール  :kouno.teate@gmail.com

LINE :@qee9465q

 

ご連絡お待ちしております。

 

こちらもあわせて読みたい

競技ダンスについて書いたブログはこちら→詳しくはこちらへ