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~あましセミナー総論編開催~

あじさい鍼灸マッサージ治療院 アジサイ塾あましセミナー総論 スライド
アジサイ塾 ~あましセミナー 総論~ スライド表紙

 

 

昨日は当院に学生が集まり『あましセミナー』をしました。

あん摩マッサージ指圧師。これが正式な厚生労働省管轄の医療国家資格の名称です。あん摩、マッサージ、指圧の頭文字を取って「あまし」と略します。あましセミナーとはあん摩マッサージ指圧に関するセミナーです。

あましセミナーを最初に開催したのは新型コロナウィルスが流行する前の2019年8月。当時鍼灸マッサージ専門学校の1年生だった学生さんが、鍼灸の外部セミナーはたくさんあるのにあましは無いのは何故?という疑問を呈し、学校外での学びもしてみたいという要望がありました。そこで私が講師を引き受けて開催したのでした。あん摩マッサージ指圧師は鍼灸師に比べると人数が少ないです。また総数には視覚障害者の割合が高いのです。そのため鍼灸ほどセミナーを開催することが多くありません。他にも理由はありますが、それは後で説明します。あん摩マッサージ指圧師という語呂も悪く長い名称。これは

あん摩(按摩)

マッサージ(massage)

指圧

の3つの技術を並べた用語です。修飾子はなく独立名称が3つ並んでいます。按摩という言葉は日本最古の法律とされる大宝律令にも登場する1000年以上前からある言葉。我が国では視覚障害者の生業として共存してきました。視覚障害者をアンマと呼んだのは多くの視覚障害者が就く職業が按摩師だったからです。この呼称は現在視覚障害者を侮蔑する表現として放送コードで放送禁止用語に入っていると言われています。しかしあん摩マッサージ指圧師は国家資格免許の名称ですし、按摩は1000年以上続く徒手療法の技術です。マッサージというのは明治時代に日本に持ち込まれたヨーロッパ由来の技術。世間が想像するマッサージはあん摩マッサージ指圧師の言う按摩になります。そのため私は敢えて英語のmassageと表記することがあります。そして指圧。日本発祥の技術とされていますが、単に指で押すことを指圧というわけではなく、多種の技術が混ざっています。3つの異なった技術を、全て手や指で行うから一つにまとめてしまったのがあん摩マッサージ指圧師という資格です。かつてはあん摩師と呼ばれていました。

 

あん摩マッサージ指圧師だとしてもこれら3つの技術を全て臨床で用いている人は少ないです。指圧のみ、マッサージのみ、按摩のみを行う。やっても2つまで。あましの3種類を臨床現場で行っている例は非常に稀です。私は全てきちとやりたいというこだわりがあるので按摩、massage、指圧のどれも練習し実践しています。だからこそ3つの違いや特徴を説明できる。そのような考えであましセミナーを初開催したのが2019年。

そして世界がコロナ禍に入った2021年。また按摩を中心としたセミナーを学生向けに開催しました。このときは按摩を学ぶために他のmassageと指圧とを比較してみようというもの。

そして今回、久しぶりのあましセミナーを行いました。今回は複数回に分けて行うことを事前に決めております。要望のあった学生さんと協議をしてからの開催。1回目は総論。按摩とmassageと指圧の比較。各々の特徴。更に歴史や私の考察、理論も加えました。初めての開催から6年経過。その間に私も知見を広げ練習や経験を重ねてきました。そして今年、当院のテーマとして~按マ指を探求する~を掲げており、あん摩マッサージ指圧技術の研究をしており、その成果発表という意味合いもあります。現時点で分かっていることをまとめました。ですから学生に向けたレクチャーでありますし、私自身の研究発表でもありました。その内容をかいつまんで紹介します。

 

●あん摩マッサージ指圧師とは

まずあん摩マッサージ指圧師の定義。そして按摩、massage、指圧においてそれぞれ発祥した国・地域、主となる技術、独自の特殊手技、やり方の特徴を挙げました。これは『あん摩マッサージ指圧理論』の教科書に記載されている内容で専門学校の授業でやりますし試験に出るところ。ちょうど授業でやっていて小テストで出題されたと言われました。ただ項目を暗記させるのではなく、なぜ遠心性・求心性という方向があるのか理論も紹介しました。

 

●参考:按摩の歴史

参加した中には教員養成科学生さんもいます。教員養成科は専門学校の教員になる課程。既に国家試験をパスしています。その方に向けた細かい歴史の紹介です。医学史は国家試験に出題されないのですが、現在を知るために過去とこれまでの経緯=歴史を知ることは大切。将来、教壇に立つことになるかもしれません。大宝律令「醫疾令」に按摩師が登場するするも明治維新後の近代国家に向けて舵を切った、医制制定(明治7年)から伝統医療の按摩は認められず、明治44年まで空白の時期があること。一方、視覚障害者の生業としてあったため、視覚障害者の按摩はその間も残ったという。按摩は福祉としての一面を持ちます。

 

●遠心性と求心性

按摩、massage、指圧の比較で登場した手技の方向性。末端から中枢に向かう求心性と、中枢から末端に向かう遠心性。その違いを説明し、按摩・指圧は遠心性でmassageは求心性である理由を解説します。

 

●参考:指圧の歴史

あん摩マッサージ指圧師のいう“指圧”というのは多くの要素が組み合わさっています。その経緯を大まかに説明します。按摩の歴史で触れた通り明治時代に一般の按摩が禁止されたことで、按摩ではない何かの徒手療法が生まれ、それが代用するという状況に。それが時代を経て医業類似行為に関わることになる。歴史的経緯からあん摩マッサージ指圧師がいう“指圧”は何か。その社会的背景、事情。政府の思惑。それの一説を紹介しました。

 

●次元の話

ここは数学の話です。私は理数系出身なので技術を0次元から3次元で考えるところがあります。それを鍼灸やあましに当てはめてみようという話です。

 

●体重と重心

あましの体の使い方を説明するのに体重と重心の区別ができないといけないと私は考えています。その説明に一つ前で触れた数学的次元が必要になります。体重とは何か。重心とは何か。そして支持基底面内を重心線が通らないと立位を保てないという話。これはリハビリテーション学で学ぶ内容でもあります。

 

●体重移動と重心移動

あましの体の使い方をより細かくみていくために体重移動と重心移動の違いを区別する。あましではこの2つの移動方法に関して配分が変わるという特徴があると私は考えています。またそのように説明すると技術の理解が早いとも。競技ダンス経験者ゆえの身体の意識です。

 

●押圧法の三原則

垂直圧の原則、持続の原則、集中の原則という教科書に出ている項目です。指圧で垂直圧をするためには、持続圧をするためには。スタンスを作る、重心移動で圧を入れる。それが必要になります。

 

●治療すること以外の手

これは私の持論で圧を入れる、患者さんの身体に刺激を与えること以外にも、術者の手にはいくつか役割がある。そのようにこれまでの経験から私は考えています。これらを意識できているかは臨床で差がつくと思います。試験に受かるための技術ではなく、患者さんに向けての技術。

 

●視覚障害者と晴眼者の手技比較

晴眼者とは視覚障害がない健常者のこと。視覚障害者のものとして存在してきた按摩、そして職業としてのあん摩師。私達のように晴眼者とは置かれた状況が変わります。それが技術にも関係するのではないか。数年前から様々な話や視覚障害者の手技をみて考察してきました。一つの私の仮説ですが紹介しました。

 

●欧米人と日本人の違い

鍼灸は中国を発祥として朝鮮半島、日本に伝わりました。現在でも鍼灸の先進国は日・韓・中とされています。十数年前の経穴を世界で統一するという動きがあったときもこの3国が会議で決定したといいます。現時点ではアメリカ式鍼灸、ヨーロッパスタイル鍼灸といったものは定説としてありません。一方、中医学や経絡治療というように中国独自、日本独自のやり方は鍼灸で確立されています。それに対してあましの場合massageはヨーロッパから伝わった技術ですし、指圧は米国3大整体が組み込まれているとされています。つまりあましの場合は一部に欧米文化の技術が入っています。そこに着目して大雑把に欧米と日本の体の使い方や文化、技術理論の違いを紹介し検証しました。

 

●参考:各学校のあまし流派

これは私がこれまで調査してきた内容の現時点でのまとめです。鍼灸は流派の差異が比較的知られており、また専門学校毎の特色が分かっています。一方、あん摩マッサージ指圧師を養成する専門学校は晴眼者向けで21校だけなのですが(※鍼灸は90校弱ある)、その技術の特徴は未知数。あまり交流したり他と競ったりしたりしないので分かっていません。私が知らないだけかもしれませんが。数年前からその調査を地道にしています。昨年、衛生学園と京都仏の情報を得られて大きな前進でした。よく知られた浪越、長生、吉田流按摩も含めて全国に点在するあまし学校における技術の特徴を挙げてみました。

 

●実技デモンストレーション

最後はあましの実技をデモンストレーションして事前に説明した技術の差を見てもらいました。

 

このような内容を駆け足で行いました。私自身、6年前とは理論体系が構築されていて教える順番や教え方も練られてきている気がします。今回は単発ではなく回数があるのでブラッシュアップしながらやっていきます。

 

甲野 功

 

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