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~SNS利用の危険性~

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる 尾原和啓著 幻冬舎
プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる 尾原和啓著 幻冬舎

 

 

10年以上前からSNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用してきました。2ちゃんねると言われた匿名掲示板(現、5ちゃんねる)にはのめり込まなかったのですがmixiにはじまりFacebookと日常的につかっていました。あじさい鍼灸マッサージ治療院を開業してからは特に広報する場が必要であり、当初はホームページよりもFacebookに力を入れていました。その後、TwitterInstagram公式LINEと段々と手を広げています。今のところ動画(YouTubeやTikTokなど)、音声(clubhouse、Spoon、Voicyなど)、配信(インスタライブ、Twitterのスペースなど)には手を出していませんが、毎日利用しているわけです。

 

そのせいなのか、おかげなのか、開業鍼灸師の立場からSNSについて話す機会を頂くことがあります。母校の東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科では毎年特別授業をやらせていただきましたし、先月は灸法臨床研究会という技術学術団体で話をする機会を得ました

2年前までは鍼灸師業界ではまだまだSNSを活用する人が少なかったこともあり、その利点を中心に話すことが多かったのです。それがこのパンデミックにより非対面(リモート、オンライン)の交流が一気に加速し、SNSを含めてネットツールを使うように社会が変わりました。3年前、2019年ではZOOMもクラウドファンディングも、その存在を知らない人がたくさんいたことでしょう。

 

オンラインによる交流が増えたことで弊害、問題が噴出してきたと感じています。特に昨年は身近のコミュニティでも大きな問題が大小色々と起きました。そのため昨年の教員養成科特別授業ではSNS利用する上での利点でだけでなく、問題点も話すことにしました。年が明けた灸法臨床研究会でも最後に注意点を入れることにしました。

 

SNSが普及したことでプロセスエコノミーという概念というかビジネスモデルが生まれました。過去にこのブログでも二度このプロセスエコノミーについて触れました(~プロセス・エコノミー~~鍼灸学生とプロセス・エコノミー~)。

プロセスエコノミーとは何かをざっと説明すると、完成品(アウトプット)では差別化できず、どれも高品質で差がない、あったとしてもあっという間に技術がコピーされてしまうため価格競争に陥ってしまうようになった今、製品なりサービスなりの過程に価値が生まれる、というもの。その製品が生まれるにはどのような過程(プロセス)があったのか。それが物語(ストーリー)となり購買の決め手になる。何を買うかよりも誰から買うかという時代になったわけです。

 

パンデミックによりアマゾンや楽天といった通信販売利用が加速し、全国から全世界から商品をネット上から買うことができるようになりました。近所のスーパーよりアマゾンで日用品を買う。近くのレストランに行かないでウーバーイーツで注文する。このような生活が当たり前に。そうなると商圏が大いに拡大して価格競争になるか圧倒的品質のものしか売れない状況が生まれます。「買い支える」、「食い支える」という言葉ができたように、購買や消費が”手助けや支援”の意味を持つようになってきました

未熟でまだ成し遂げていない人が、成長過程を主にSNSを通じて見せていくことで共感を呼びファンを作り支援される。そのプロセスに価値があり、利益を生むというのがプロセスエコノミー。

このことを私は日々実感しています。実体験で理解しているようなプロセスエコノミーをもっと学ぶために本を読みました。

 

プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる 尾原和啓著 幻冬舎

 

タイトルの通りプロセスエコノミーを解説した一冊になっています。

 

最初の方は既に私が知っていることを実際の事例や参考資料を用いて説明しています。そのため個人的な感想として、まあ知っていることばかりだな、と冷めた感じでした。しかし最後の方にプロセスエコノミーの危険性について書いており、これはすなわちSNSを利用する上での危険性でもあり。それを論理的に説明していたのです。私が目にしてきたこと、考えていたことと合致して、とても参考になりました。このことを紹介しながら今のSNS社会の危険を考えていきます。

 

本書では、SNSに限りませんが、プロセスを上手に開示することによって実力以上に資金やファンを集めてしまう懸念を述べています。これは実際にあることで、都合の良いことを(ときに虚偽も含めて)発信することで実態以上の評価を得てしまうことがあります。また意図的にそれを得ることができます。プロセスに価値があるので、応援します、話を聞きたいです、もっとチャレンジしてください、といった声やお金が入るようになると、その期待に応えるためにどんどんプロセスの刺激を増やしていけなくなります。少年マンガの名作「ドラゴンボール」では次々と“史上最強の敵”が現れます。それと同様でスーパーサイヤ人になった悟空が亀仙人と戦うのでは話が盛り上がりません。その結果、“強さのインフレ”が起きて未就学児の悟飯(悟空の息子)が異常な強さになっています。

ドラゴンボールならばどれだけ強い敵でも倒していきますが、現実では毎回勝てるとは限りません。チャレンジできない、しても成功しないとなれば、そのプロセスを見てきた人は怒り出したり詐欺師呼ばわりしたりします。攻撃しないまでもつまらないから支援しなくなることもあるわけです。

ドラゴンボールでも、セルという最強の敵を倒して平和になった世界で、超人的な能力を隠して日常生活を悟飯は過ごすのですが、当然読者からは面白くないということになり、結局また新たな最強の敵が登場することになります。

 

逆に熱心なファンは、アンチの言うことは気にしないで、と応援してくれます。多くの注目を集めたインフルエンサーと呼ばれるような存在になっていると批判する人も増えますが、それ以上にファンもいます。その状況が行動すべてを肯定するいわゆるイエスマンばかりが周りを固め、真っ当な批判する人は活躍する自分を羨ましくて弾圧しているに過ぎないと考えるような、カルト宗教化することがあります。裸の王様になってしまい、自分のやる事は全て正しい、間違っているのは世間だと偏った思考に陥ることも。周りは賛同する者ばかりしかいない状況になればあり得ることです。

これは推論ではないでしょう。ユーチューバーや芸能人でもニュースになることです。頭が良いはずなのにファン向けに人権を蔑ろにした暴言を吐いてしまうとか。客観的に見てどうしてそのような判断をしてしまうのか理解に苦しむことをするとか。活動を認めてくれるファンの声に自身の行動が正当化されているようだと私には見えてしまいます。このことはインフルエンサーとか有名人とか何万人もフォロワーがいる人だけではなく、いわゆる普通の人でも陥ることだと思うのです。実際に昨年は割と身近な人でそういうものを目にしました。

 

私自身も気を付けていないとこのような問題を起こしかねません。実態以上に評価されていることがままあります。それはやはりSNS上の姿から判断されているからです。全てを公表しているわけではありません。イメージが何割増しか良くなってしまっていると感じることがあります。ですからなるべく自分を大きく、良く見せないようにSNS上で等身大であるように心掛けます。

以前ある鍼灸学生さんに言われました。「甲野先生はネット上と実際の姿に差がありませんね」と。その学生さんはこれまでに、ネット上では素晴らしいと思っていたが実際に会うとギャップがあるという経験をしていたのでした。メディア関係の職に就いていたそうで、事前にかなりネットで調べて来院するとのこと。悪くいうと“盛っている”人が少なくないのだとか。

 

コロナ前までは現実世界で出会うことが主体でネット上の交流は優先順位が下でした。芸能人やアーティスもネット上で交流するのはライブに出かけるためのきっかけという位置付けだったと思います。それがネット上の交流が主体になることで以前と質の異なる問題が増えたと考えられます。今やスポーツ選手を含めて不特定多数に顔が出る職種はSNS利用に関して研修をするようになっています。注意することを一般の人にも強く迫られている状況になってきたのかなと感じています。

 

甲野 功

 

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